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2020.5.25 中国の疫病が変えた世界史⑦

東亜の病夫

こうした公衆衛生インフラの欠陥によって、中国は国外に疫病をまき散らしてきましたが、国内での不健康状態も日本人の想像を絶します。

揚子江流域は、世界最大のB型ウィルス感染地帯であり、感染者は1億人を超えています。

農村では6千万人から1億人の住血吸虫患者がいます。

WHO(世界保険機関)の資料では首都の北京でも、人口の5割は寄生虫保卵者であるとしています。

そのほか肺結核感染者が4億人いると中国の衛生省が発表しています。
さらに栄養不足や環境悪化からくるカルシウム不足が深刻化していて、1億5千万人が歯の病気や骨粗鬆症に罹っていると言われています。

また、エイズに至るHIV感染者・患者数は、2001年末の中国の公式報告では3万736人だったのが突如、上方修正され2002年上期では感染者・患者数は100万人を突破し、「対策が不十分だと、2010年には感染者は1千万人に達する」との予測が発表されていました。

これらに比べると中国にとってはSARSや新型コロナウイルスの被害などは、ほとんど無視できるレベルのものです。

ただ諸外国が大騒ぎをして、中国の経済発展に直接的なダメージを与えたから中国政府は真剣な取り組みをしただけで、現実には中国国民はそれ以上に幾つもの深刻な病気に脅かされています。

戦前の中国は「東亜の病夫」を自認していました。
今は病気で弱っているが、いずれ健康になれば「眠れる獅子」が目覚めるのだという一種の強がりであると同時に、もう一つ疫病、風土病に悩み続けている国という意味もありました。

現在、沿岸の都市部こそ経済的にも「眠れる獅子」は目覚めましたが、後者の意味での「東亜の病夫」はまだまだ続いています。

つづく…

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