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ビットコインの5万倍の性能を持つ「Solana」のスゴさをブロックチェーン初心者でも分かるように解説する

最近話題の「ブロックチェーン」、ありますよね。ビットコインやイーサリアムなど、ある程度成熟してきて知名度もあるものもあれば、いままさに開発が進められている、次世代のスタンダードとなるべきものも数多く存在します。

その中で今日書きたいのは、今までのブロックチェーンとは桁違いの性能を誇る「Solana」の話です。日本人でこのプロジェクトを知っている方はかなり少ないと感じています。この記事を読んでくださった方が少しでも興味を持っていただけるととても嬉しいです。

この分野はあんまり知らない...という方にも分かりやすいように書くつもりです。(実際自分も初心者なので、考えを整理しながら書いてます)

Solanaとは?

そもそも「Solana」は、今までにないシステムを採用することで他を圧倒する性能を誇るブロックチェーンを開発するオープンソースのプロジェクトのことです。ちなみに「Solana」という名前はアメリカ、カリフォルニア州の「Solana Beach」という海岸から来ています。とても美しい海岸です。
ここ↓

このプロジェクトの中心となっているのは、アメリカに拠点を置く「Solana財団」です。以前は法人として活動していましたが、よりSolanaを公益に適うものにするため、今年4月に権利が財団に引き継がれました。

他を圧倒する性能

Solanaの特徴は、なんと言ってもネットワークの圧倒的な性能です。公式ホームページには2020年2月に行われたネットワークのテスト結果として「59940トランザクション毎秒」「ブロックタイム400ms」「トランザクション手数料0.00004ドル」とあります
それぞれどれだけすごいのか、見てみましょう。
(ちなみにここでは詳しく触れませんが、「グローバルバリデータ」とはネットワークを支える裏方のことで、これが多ければ多いほどネットワークは丈夫になります)

59940トランザクション毎秒

これは、「1秒あたり59940件の送金を処理できる」ということを示しています。これはブロックチェーンの世界ではもちろん、実世界で日常的に使われている大きなシステムと比較してもとても優秀な数字です。

例えば、ビットコインのネットワークは、だいたい15分で1000~3000件の送金を処理できるので、1秒あたりに換算すると1~4件の処理で精一杯です。

ビットコインなどと比べて実際の使用に向いていると言われるイーサリアムはどうでしょうか。イーサリアムはだいたい13秒で150~200トランザクションを処理できます。1秒あたりだと12~15件です。ビットコインよりはだいぶマシですが、実生活の利用はまだ厳しいですね。

では実際に世界中で使われている決済ネットワーク、VISAはどうでしょうか。

VisaNetは、ドル、ルーブル、ルピー、円など様々な通貨で、1秒間に最大56,000件の取引を処理できます。      ーーVISAについて

さすがは現役のネットワーク、1秒間に56000回の処理が可能なようです。これなら世界中で使われるシステムでも、遅滞なく処理できますね。

つまり、VISAと遜色ない59000回/毎秒の処理が可能なSolanaは、このような現実世界での日常的な利用にも耐えうる性能を持つ、(おそらく)初のブロックチェーンであるということです。ここまでの性能はビットコインやイーサリアムなど、既存のブロックチェーンは持っていません。

これはとても重要なことです。これまでブロックチェーンは、どうしても投機的なものとして見られる機会のほうが断然多かったです。しかし、その壁を乗り越えて、真に社会に役立つものとなるためには、「実際に使える」ことが必要不可欠だからです。

ブロックタイム400ms

ブロックタイム400msとは、ブロックチェーンに一つのブロックを追加するのにかかる時間が400ミリ秒、つまり0.4秒ということです。

知らない方のために説明しておくと、ブロックチェーン上では、いくつかの送金(トランザクション)をまとめて、1つの「ブロック」を作ります。このブロックを生成し、ブロックチェーンに記録して初めてその送金は成立したことになります。
つまり、ブロックタイムが短ければ短いほど、すぐに送金が成立することになります。

これも他のブロックチェーンと比べて見てみましょう。
ビットコインの平均ブロックタイムは15分です。つまり、送金は最大15分待たないと成立しないのです。しかも、前述したようにビットコインが1ブロックで処理できる件数はわずか1000~3000件です。このため、処理待ちのトランザクションが何万件もある状況では、送金が数日間成立しないこともままあります。これでは全く実生活で使い物になりません。

イーサリアムではどうでしょう。イーサリアムの平均ブロックタイムは13秒ほどのようです。かなりいい数字のように見えますが、これを実生活に当てはめるとどうでしょうか。スーパーで買物をして、カード(スマホ?)をかざし、「イーサリアムで払います」と伝えます。そして13秒待つのです。これは普及するでしょうか?おそらくしないでしょうね。

では、Solanaの0.04msという数字はどうでしょうか。送金をネットワークに申請すれば、1秒と経たないうちに処理が完了します。クレジットカードや交通系電子マネーと遜色ないスピードです。これならオンラインでもオフラインでも普及できそうです。

トランザクション手数料0.00004ドル

これは言わずもがな、一回の送金で利用者が払わなければならない手数料はわずか0.004円です。
ブロックチェーンという技術が生み出された理由の一つは、現在の金融機関の使いにくさを変革するためでした。というわけで、金融機関の手数料を見てみましょう。

こちらのサイトによると、日本国内で他の銀行へ送金する場合、「全銀システム」というシステムが利用されます。このシステムを使うとき、送金する側の銀行は3万円未満なら117円、3万円以上なら162円を手数料として払わなければなりません。ここに送金する側の銀行の手数料も上乗せした振込手数料を、利用者は払わなければなりません。

海外へ送金する場合はさらに面倒です。銀行を通して海外へ送金する場合、「SWIFT」というシステムを使用して、いくつかの銀行を経由しながらお金が送られていくことになります。このとき、経由するすべての銀行が手数料をその都度取るので、手数料は数千円にもなります。お金を送ることそのものに何千円も使うなんて馬鹿らしいですよねw

おまけに、これらのシステムはブロックチェーンを使ったシステムのように、数秒〜十数分で処理完了とはいきません。場合によっては数日かかることも多いようです。

最近はTransferWiseなどの銀行ではない送金事業者も増えてはいますが、ブロックチェーンほどの低コスト・短時間送金は実現できていないようです。

話がそれました。

他のブロックチェーンとも手数料を比較してみましょう。ビットコインはどうでしょうか。こちらのサイトによると、現在のところトランザクションあたりの手数料は1ドルほどのようです。

イーサリアムでは、ネットワークに支払う手数料(「GAS」といいます)は現在7〜10円くらいが推奨されています。銀行送金と比べればはるかにいいですが、なにか企業のキャンペーンなどで数千、数万のアドレスに送金する必要がある場合は負担になるかもしれません。

一方Solanaは、1円を遥かに下回る金額です。これならば、何かのシステムに組み込まれる形で利用されても、送金手数料は極めて低く抑えることができます。

スーパースペックを支える新技術

Solanaがこれまでの技術よりも目立って優れていることがお分かりいただけたでしょうか。では、このスペックはどのようにして達成されたのでしょうか?

Solanaのホームページを見てみると、8つのコアテクノロジーによって構成されているようです。僕はエンジニアでもなければブロックチェーンの専門家でもないので、ここではそのほんの一部、「PoH(プルーフ・オブ・ヒストリー)」について書きたいと思います。その他はまた機会があれば書くかもしれません。

PoH(Proof of History)

プルーフオブヒストリー(以下PoH)は、Solanaが導入した新しいトランザクションの処理方式です。(コンセンサスアルゴリズムといいます)
PoHの特性を、ビットコインなどで使われている代表的な処理方式のPoW(プルーフ・オブ・ワーク)と比べてみましょう。

PoWは、簡単にいうと、「ネットワークに参加しているすべてのノード(コンピュータ)が計算競争に参加し、その競争に勝利したノードが新たなブロックをブロックチェーンに登録する。そして、お互いに他のノードが持つブロックチェーンを確認しあい、もっとも多くのノードに採用されているブロックチェーンを『正しい』ブロックチェーンとみなす」というものです。

一方SolanaのPoHは、「ネットワークに参加しているすべてのノードがブロックを(自分が持っている)ブロックチェーンに登録する。そして、お互いに他のノードが公開している情報を確認して、自分が持つブロックチェーンの正しさを証明する」というものです。

わかりにくくてすみません。つまりどういうことかというと、PoWはノードがお互いに、

A「ちょっと君が持ってるブロックチェーンの情報見せてや」
B「いいよー」
A「よし、私のと同じだ。」
.....これをすごく多くのノードと繰り返す
A「.....うん。みんな私と同じブロックチェーンを持ってる。これが正統なブロックチェーンってことだな。」
というやりとりをしているわけです。

一方PoHは、

A「Bが持ってるブロックチェーンの情報はどんなやつかな?」
ーーBが公開している情報を参照して自分のものと照合するーー
A「よし、私のと同じだ」
他のノードとも繰り返す
A「.....うん。みんな私と同じブロックチェーンを持ってる。これが正統なブロックチェーンってことだな。」
という動きをしています。

これが、PoHで動作するSolanaがPoWで動作する他のブロックチェーンより圧倒的に優れている理由です。

PoWでは、ノードは自身が持つブロックチェーンの正しさを確認するために、他の多数のノードに問い合わせをして、しかもその応答を待たなければなりません。この処理のせいで、ネットワーク全体の処理能力がなかなか伸ばせないのです。

一方PoHでは、ノードは他のノードがすでに公開している情報を参照します。相手に直接呼びかけるわけではなく、その応答を待つ必要がないので、ネットワークの処理能力も上がるというわけです。

コミュニティ

ここまで、Solanaが従来のシステムと比べて優れている点、それを可能にしている技術に触れてきました。このプロジェクトに関心を持ってくださった方もいらっしゃるのではないでしょうか。(そうだと思いたい)

そんな方はぜひ、Solana日本コミュニティを覗いていただきたいです。Twitter(@SolanaJapan)では英語のプレスリリースを日本語に翻訳したものがアップされているので、簡単にプロジェクトの近況について知ることができます。

また、日本語版Telegram(Solana Japan)もあります。こちらでも情報のアナウンスがされたり、メンバーの質問に答え合ったりしていますので、ぜひ見てみてください。

実際のところ、日本語コミュニティの参加者はまだあまり多くないです。ですから、もしあなたがこのプロジェクトに興味を持っていただけたのなら、あなたにもアーリーアダプターとしてこのプロジェクトの発展を手伝っていただきたいのです。

終わりに

Solanaはこれまでで最も実社会に受け入れられる可能性の高いプロジェクトであり、暗号資産が社会の中で一定の地位を得る上で重要な役割を果たすものだと思います。今年に入ってからはBinanceという取引所にも上場し、ちょうど今日、中国の取引所に上場が決定するなど、現在進行形で急速に発展中です。だからこそ、このプロジェクトをより多くの方々、特に日本人の方に知っていただき、そして応援していただきたいです。

今回はSolanaの特徴に的を絞り記事を書きました。技術についてはあまり触れられなかったので、これからも機会があればまた記事を書こうかと思っています。

ここまでお読みいただきありがとうございました。下にいろいろリンクを張っておきますので、興味を持っていただけた方はぜひとも覗いていただければと思います。
それではまた。

リンク集

Solana公式HP(日本語): https://solana.com/ja
Solanaのネットワークについての情報: https://solanabeach.io/#/
Solanaの紹介記事(日本語): https://coinchoice.net/what-is-solana_202004/
PoHについての解説記事(日本語): https://coinchoice.net/solana-proof-of-history_202004/
使用したツール: https://btc.com/ , https://eth.btc.com/ , https://ethstats.net/ , https://ethgasstation.info/    

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