【短編小説】迷子のチンアナゴ
顔を出すと周りは一面緑だった。
仲間と一緒にどちらが先に顔を出すか競っていたら、ずいぶん遠くまで来てしまったらしい。
周りに道を尋ねるも誰も返事をしてくれやしない。
チンアナゴは途方に暮れた。
ただなす術なく天を見上げていた。
すると突然、下からモゴモゴと地面が動いた。
仲間だ!チンアナゴは大層喜んだ。
しかしそこにいたのは筍だった。
チンアナゴは戻らないところまで来てしまったのだ。
このまま地面から出てしまう他ないのだった。
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