「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは、
「不思議な薬箱を開く時」です。
お薬は、苦しみや痛みから逃れるために利用します。
あなたを楽にしてくれるというわけですね。
薬を服用することに、罪悪感に近い感情を
持ってしまう方もいるようですが、
あまり深く考えないで、
楽に病気を治した方がいいと思います。
では、今日も、お薬箱を開けてみましょう。

お薬番号・45

「好きな幻影を見ることができる薬」

幻は、幻。
現実ではありませんが、
幻でもいいから、見たいこと、
経験したいことは、あるのでは?
違法ドラッグを使用したとしても、
どんな幻覚を見ることができるのかは、
環境設定をしたり、イメージトレーニングをしたりと、
それでも、なかなか思い通りの幻覚には、
到らないとのことです。
自分が作り上げた最高のお芝居を見ているかのような。
それも、今で言うところのCGとか、3Dとかを越えて、
本当に起こっているかのような。
これは、娯楽のために服用すること以外に、
どのような使い道があるのでしょうか。
このお薬は、1277年のイギリス、
エドワード１世の時代に、開発されたものです。
エドワード１世は、4度もの侵攻を
ウェールズに行いましたが、
侵攻軍にエマソン・ウォルターという智将がいました。
エマソンは、戦略の天才、奇襲の軍師と呼ばれていましたが、
高いの前になると、必ず、一人でテントに入り、
瞑想していたと言います。
実は、エマソンは、当時の高名な薬草師であった、
アルフレッド・カリナンに依頼し、
重い通りの幻覚を見る薬を調剤させていました。
その薬を服用すると、ありありと戦場の様子の幻覚が、
頭の中の設定通りに繰り広げられるのです。
不安点、着目点を確認し、
敵の盲点を仮定したままに見ることができました。
おかげで、高い確率でエマソンは勝利を重ねます。
しかし、この事実が暴露される時がきました。
テントを覗き見した１人の兵士が、
白目をむき、がくがくと震えながら、
我が身を椅子に縛り付けているエマソンに恐れをなし、
怪しい術を使っていると、上に報告してしまったのです。
エマソンは、あまたの輝かしい戦歴にも関わらず、
不名誉と共に、将の座を追われただけではなく、
悪魔と通じていると誹られ、火焙りにされてしまいます。
アルフレッドの方は、あらゆる処方箋を没収され、
絞首刑に処せられました。
没収された薬剤書は、王立の医学院の奥深くに、
収蔵されています。
では、調剤料をご紹介しましょう。

「好きな幻影を見ることができる薬」処方

アスプ・ヴェルスの毒のシロップ・・・・・・・・・小匙2杯
ブフォ・ブフォの毒汗・・・・・・・・・・・・・・小匙2杯
皇帝の蜂蜜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大匙1杯
悪魔の爪の蜜滴・・・・・・・・・・・・・・・・・小匙1杯
ニガヨモギのチンキ・・・・・・・・・・・・・・・大匙１杯
バーリンカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大匙3杯
メドヴーハ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大匙２杯
ベラドンナの根汁・・・・・・・・・・・・・・・・大匙1杯

諸注意
強力な毒を扱いますので、
手先はもちろん、呼吸器官などにも、
炎症や傷がないかどうかは、
よく調べてください。
皇帝の蜂蜜は、皇帝の月、8月に採集される、
蜂蜜のことです。
悪魔の爪は、麦角菌に寄生されてできた、
黒い角状の突起です。
バーリンカの主原料である林檎は、
サボルチのアルマバーリンカを使用してください。
メドヴーハは、本来、度数は低いのですが、
使用に適しているのは、20年物から、
30年物の、高い度数のものです。

備考欄
これは、まず、エマソンのように、
大真面目に、国家のために使用するなんてことは、
まず、なかなかないでしょうね。
仕事の成功のために、イメトレをしよう!なんて方もいます。
しかし、まさに、現実そのもののような、
見事な幻覚が繰り広げられるとしたら。
アーティスト、画家、小説家などの、
イメージ力、想像力が主体の仕事の皆さんは、
ぜひ、服用したくなるでしょうね。
ただ、一つ、注意事項があります。
このお薬は、自分が見たい幻覚がある方に限ります。
とりあえず、美しい幻覚を!とか、
面白い幻覚を見たい!ではいけません。
ある程度のシナリオを頭の中に用意しておくこと。
そうでなければ、野放しな幻覚の世界に、
放り出されてしまいます。
行く先を告げずに、タクシーに乗ってしまうようなものですね。
お薬の作用は、あなたの深層心理まで浸透し、
思わぬ幻覚をあなたに見せてきてしまうかもしれません。
それも、いい!という、命知らずな方は、
エマソンのように、椅子に我と我が身を
しっかりと縛り付けておいてください。
現実世界に無事に戻って来るためには、
あなたの事前のシナリオという、
導が必要なのです。