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学生創業で年商6000万円超!植えられるペーパー事業~SDGsの使い方が上手なスモールビジネス事例

事業に関する部分は無料で読めます。

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日本で一番スモールビジネス経営者を生むマガジン、SMBマガジン10回目です。

先日Twitterで書いたのですが、ケーススタディを学んでスモールビジネスに活かすというこのマガジンとは別で新しく起業のあれこれをまとめるブログを作ろうとしてました。

が、辞めました。それに至った経緯などを有料部分でちょろっと話していきたいと思います。

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月商40,000ユーロ(500万円)のステーショナリー事業

今回紹介する事業は、ステーショナリー事業"Sheedo"のケーススタディです。

https://sheedostudio.com/

ステーショナリーは直訳すると文房具なのですが、本記事におけるステーショナリーはちょっと意味合いが違うので、語源である「大学の前に店のある本屋で売っているもの」→紙製品的な意味合いだと思ってください。

私たちの主な製品は、衣料品産業から出る廃綿で作られた紙で、生産ラインで木を切ったり、有害な化学物質を使ったりしていません。しかし、私たちが他と違うのは、組成物に種を加えているので、使用後に植えることができることです。

最近では、名刺や企業のギフトなど、従来のマーチャンダイジング製品の代替品として販売しています。

このプロジェクトを始めたのは2年ほど前で、最初の頃は教えてもらってばかりでしたが、今では月に4万ユーロを稼ぐまでに成長し、コカコーラ、インディテックス、ソニー、デロイト、エールフランスなどの大手ブランドと仕事をするようになりました。

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今流行りのSDGs等の文脈に載せて事業をしている例ですね。
記事が公開されたのは2019年の10月31日なので、創業は2017年ということになります。そこから2年で月商500万円を超えるまで成長してきた軌跡を学んでいきましょう。

起業アイデアのきっかけは大学の講義、長期にわたるブランドを立ち上げようと競合調査してたらアイデアを発見

大学でLEINNという新しい学位(イノベーションツール、マネジメント、プロジェクトアントレプレナーシップについて学ぶ学位)を取得しようとしていた創業者は授業の一環として、いくつかのプロジェクト立ち上げの経験をしたそうです。

ただ、大学の講義の一環として立ち上げたプロジェクトはどれも小さいもので、短期的なプロジェクトしかなかったのですが、ある時いいアイデアが思い浮かんだそうです。

それが、"自分たちのエスパドリーユ・ブランドを立ち上げること"です。
エスパドリーユというのは靴底がジュード縄、上部はカンバスや木綿布でできている靴の事です。

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最初のステップとして市場調査を行い、将来の競合他社の一つを見てみると、彼らはエスパドリーユに「植えることができるタグ」を使っていることがわかりました。

そのコンセプトに惚れ込んだ私たちは、そのエスパドリーユ・ブランドにサンプルを依頼し、タグに使用する植物性の紙を探し始めました。しかし、長い調査の結果、既存のプランタブルペーパーは印刷可能ではなく、スペインでは誰もこのような紙を作っていないことがわかりました。そこで、自分たちでやってみようと思ったのです。

つまり簡単に説明すると
「あ、靴ブランド作ろ!」
「競合調査してたら、タグが植えることができるらしい、それってなんかいいな。」
「あーでも、印刷できるわけじゃないのか…。!?そうや!自分たちで作ればいいやん!」

って感じで靴ブランドを作ろうとしてたら、植えることのできる印刷紙を作る事業を始めてたんですね。

最初は紙漉き、印刷、種子、市場について何の知識もないただの学生

まず、種紙を開発してくれる人が必要でした。残念ながら、年齢的に誰も耳を傾けてくれませんでした。しかし、そんなときに出会ったのが、経済的にも健康的にも厳しい状況にあったトニだったのです。彼は手漉き和紙の達人で、私たちのアイデアを説明すると、彼はこのアイデアに惚れ込み、最初の試作品を作り始めました。

何度も何度もテストを繰り返した後、ついに最初のシードペーパーが完成しました。カモミール色のものです。そして、種を壊さずに印刷する方法を考えなければなりませんでした。私たちは、最初の注文を受けてから、自分たちで国内の印刷機を使って印刷を始めました。もちろん、それでは持続可能ではありません。そこで、拡張性のある印刷方法を見つけるために研究を始め、1年後にそれを見つけたのです。どのようにプリントするかは、ここでは説明できませんが、私たちの最大の秘密です。

話を聞いてくれる紙製造の達人に出合い、事業はスタートしましたがしたのですが外注できるような拡張性のある印刷方法をみつけるまでに1年かかっています。

注文は受けて、自分たちで印刷を始めたと書いているので、受注がまったくなかったわけです。
とはいえ、初期の売上は本当に微々たるものだったのではないかと想像はできますね。

そんな中、拡張性のある印刷方法を研究していくのはランニングコストが0に近い学生起業だからできたことです。

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投資はゼロで全部ハンズオン(自分たち)で作成

大学在学中の起業なので、投資はゼロ、全部自分たちの手持ち資金で賄っています。

Webサイトのコーディングを学んで、学内の無料オフィスを使って、友人、家族にプロダクトを購入してもらう。

これは、めちゃくちゃ素晴らしいです!

toBで起業をすると、最初の顧客を探すのはめちゃくちゃ大変なんですが、toC事業なら知り合いや家族に売れば良いんですよ。

こういうと必ず、「いや、でも友人とか家族に売るのはちょっと…」という方がいますがはっきり言ってそんな事業やめたほうがいいです!

友人や家族に紹介できないようなものを他人に売ろうとするって恥ずかしくないですか?

「マーケティングの技術で売れるようにしてるだけで商品力に自信はない!」と自覚して販売しているなら別にいいと思います。
また、「ぶっちゃけエロ系グッズで黙ってても売れるから知人や友人に売る必要がない」パターンも問題ありません。

ただ、普通の商材を作って売れなかったのなら、まず知人、家族に販売する。これはtoC事業で鉄則です。学生起業なら教授やポスドクなど、探せばいくらでも売れる相手はいるはずです。
その時の評価を聞いて、LPにモニターさんの言葉として紹介してもいいわけです。メリットこそあれどデメリットなんて存在しません。

起業コンテスト、インキュベーションプログラムに応募して資金調達と無料での宣伝をする

学生起業でランニングコストがかからないので、利益は全て再投資。

学生起業家コンテストなどに参加するチームの中で実際に事業化し、プロダクトを作っているライバルはかなり少ないので、コンテストやインキュベーションプログラムに応募して数多くの賞を受賞したようです。

学生のメリットを最大限生かして、賞金による資金調達や無料での宣伝効果を得るというのは、本当にThe 学生起業のお手本ですね。

2年間で得た利益は、マーケティング、ウェブサイト、製品開発などに再投資しました...

私たちのプロジェクトを立ち上げる鍵として、コンテストや賞を挙げなければなりません。私たちはすべてのインキュベーションプログラムに応募し、可能なすべての賞を受賞しました。幸運なことに、これらの賞の多くを受賞したことで、資金を調達し、新聞、ソーシャルメディア、テレビなどで無料で多くの人に見てもらうことができました。

この過程で私たちが学んだ最大のことは、経費をできる限り抑え、プロジェクトのコミュニケーションとストーリーテリングに力を入れることです。

そしてもちろん、製品が完璧でなくても発売しなければならないということも学びました。なぜなら、後から改良できるからです。

発売後、集客や顧客維持に効果があったこと

当社はB2B企業なので、ソーシャルネットワークを使ったマーケティングキャンペーンにはあまり力を入れていません。私たちのコミュニケーション戦略は、展示会とSEOに基づいています。私たちにとっては、潜在的な顧客がキャンペーンで使用する持続可能なマーチャンダイジングを探しているときに、インターネット上で私たちを見つけることが重要です。

通常、お客様には満足していただいていますが、新しいお客様を獲得するためには口コミも非常に重要です。それ以外にも、業界の知識を得るためにさまざまな会議や展示会に参加しています。

では、どのようにして評価するのでしょうか?もちろん、Google AnalyticsやSEOプラグイン、Eメールマーケティングなどのツールを使っています。最後のツールは、既存のお客様にプロモーションや新製品に関する最新情報を提供し、お客様に戻ってきていただくために非常に重要です。

SEO、展示会、Eメールマーケティングを主戦場としているようですが、こういったSDGs系のtoBビジネスならPR戦略が有効そうですよね。使用してくれた法人名義でプレスリリースを出して、被リンクを獲得し、バズの可能性を微妙に残すみたいな。恐らくこの事業もやってると思いますが。

ちなみにこういった、時流に乗っている綺麗なビジネスというのはメディアに取り上げられる可能性もあり、普通のスモールビジネスと比較すると大きな認知をとるチャンスが上がります。

とはいえ、上で説明したように「法人が購入するメリット」を簡潔に説明できなければそこから大きな商いにつなげるのは難しいです。できれば大きな認知をとる前にビジネスモデルを最後まで通してみて引っかかるポイントを少なくしておくことが理想ですね。

事業を始めて学んだ、特に役に立ったこと、有利になったことはありますか?

もちろん、いろいろなことを学びました。しかし、この数年間で私が学んだ最も重要なことは、重要なことに集中するということです。

会社を設立したとき、私たちは優先順位の低い活動に多くの時間を費やし、緊急かつ重要な課題を放置していました。
例えば、製品ではなくパッケージに注力したり、販売ではなくお客様の体験を重視しすぎたりしていました。

私たちの場合は、多くのインキュベーションプログラムに応募したことで、優先順位をつけ、計画を立て、最初に解決すべき重要なことに集中することを学ぶことができました。

最も影響を受けた書籍、ポッドキャスト、その他のリソースは何ですか?

No Logo(邦訳: ブランドなんか、いらない)」です。私たちは、この本から学んだことをブランディングに活かしました。
Lean Startup(邦訳: リーンスタートアップ)」。最初の製品を発売し、テストし、変更するのに役立ちました。
The Green Marketing Manifesto(未邦訳)」。ストーリーテリングについて学びました。
Delivering Happiness(未邦訳)」。優れたカスタマーケアの重要性と付加価値を学びました。

これから起業したい、あるいは起業したばかりの他の起業家へのアドバイスをお願いします。

常識を持つこと- あまり革新的なことはしないでください。たいていの場合、何かを達成するための最も簡単な方法が最良の方法なのです。

自分のアイデアに惚れ込まないこと - 起業したばかりの頃は、クソみたいなことが起こるもので、計画やコンセプトの変更に柔軟に対応しなければなりません。最初のアイデアに惚れ込んではいけません。毎月変化していきます。

重要なことに集中する - 明日の自分のために重要な分野の仕事に、ほとんどの時間を割きましょう。完璧さや細かさに多くの時間を費やす必要はありません。

計画を立てすぎない - 計画は、自分がどれだけ悪い計画を立てているかを知るために役立ちます。ビジネスを始めようとしているときには、計画通りにはいかないので、完璧な計画を立てることに多くの時間を割かないでください。現実的で測定可能な目標を設定し、それに向かって進むだけです。

失敗を覚悟する - 遅かれ早かれ失敗は起こります。

ブログを辞めた理由と「スモールビジネスの教科書」の今後(有料)

今回の有料部分はマジで、買わないで大丈夫です。
RTによる【無料プレゼント】も今回は無しです。

以下有料部分の内容ですがざっくり言うとこんな感じ

- どうして、SMBマガジンとは別口でブログを立ち上げようとしたのか?
- 結局やめた理由
- 新ブログで書くつもりだった内容
- 今後SMBマガジンをどうしていくのか

海外事例の続き的なのは書いてないのでそういうの期待している方は悪いですが購入しないでください。

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