こちたま/フットサル研究者、アナリスト、指導者

フットサルを対象としたゲーム分析と学術研究の応援記事など。 現場と研究をつなぎたい。 …

こちたま/フットサル研究者、アナリスト、指導者

フットサルを対象としたゲーム分析と学術研究の応援記事など。 現場と研究をつなぎたい。 大学スポーツについても、色々と語ります。

最近の記事

展示会を有効活用しよう

 お久しぶりです。早くも11月...ワールドカップは1か月も前の話になるのですねぇ。  さて、来月1日~3日に東京ビックサイトでスポーツ・フィットネス・健康に関する展示会が開催されます。平日の開催ではありますが、事前の申し込みをすれば無料で参加できます。    以下にリンクを張り付けておきます。  スポーツ系の大学に進学している方や将来スポーツに関わる仕事を目指している方は、参加されてはと思います。 自分の知らない業種を知ることができる 学生が参加する最大のメリットではな

    • 日本のスポーツ現場は大の苦手!?コンテクストの理解

       お久しぶりです。ワールドカップが終わり、ワールドカップロスに浸る間もなく、分析を進めている今日この頃です。  10月になって、大学によっては論文の締め切りに追われている方も多いのではないでしょうか?  私自身も含めて、学生がまず躓くのが、「背景~目的~方法」をコンテクストとして捉えることです。私が古い人間なだけかもしれませんが、学校では実践的に学んでこなかった概念です。少なくとも、スポーツ系の学生も思いっきり壁にぶち当たっているように見えます(笑)。 コーチング現場のコ

      • こんな状況だからこそ考えてほしいこと

         世間はオリンピック終盤に向けて盛り上がっている状況だが、フットサル界は残念なお話が2つ。全日本大学フットサル大会と全日本U-12フットサル選手権大会(通称:バーモントカップ)が中止となってしまった。  どちらも感染拡大阻止の観点から、やむなく決断されたものであり、関係者の皆さんの無念はいかばかりか。一方で、オリンピックや高校野球の予選が華やか(?)に報じられているのを尻目にやるせない思いを募らせている方も多いと思う。  もちろん、これは感情的な話で片づけるわけにはいかな

        • 幕間閑話1~所長のひとりごと

           気づけば7月ですね。色々と記事を作成しているのですが、手が遅くて・・・。定期的な発信をされる皆さん、凄いなぁ。  本命の記事はもう少し時間がかかるので、幕間つなぎを少し挟みます(^^;) 料理や絵画の玄妙さ 残像メンタルトレーニング(RCT)を主宰されている高岸弘先生が勉強会で、よく仰っていたのが、  美しい絵画をよく見てみ、”汚(きちゃな)い”色の集まりなんやで と。美しい色ばかりを集めても、美しい絵画にはならないんですよね。  調理においても、クセの強い素材が

          F1リーグのアノマリー1

           F1リーグがついに開幕しましたね。今シーズンも熱い戦いを見せてくれています。  今回はFリーグにより興味を持ってもらうために、なんか理論的に説明はできないけど、こういう傾向あるよね。というものをまとめてみました(年寄りの自己顕示欲が暴走した。とも言います)。 アノマリーとは、ある法則・理論からみて異常であったり、説明できない事象や個体等を指す。科学的常識、原則からは説明できない逸脱、偏差を起こした現象を含む。(wikipediaより) 得点後の1分間は注目 公式記録を見

          フットサルでGPSは使えない?ウェアラブルデバイスの正しい知識

           近年のIT革命によってスポーツ科学の分野も大きく進化しました。サッカーやラグビーでは、GPSを用いて試合や練習中における選手の速度や走行距離を知ることができ、様々な場面に応用できるようになりました。  フットサルでもGPSを用いて、「選手位置情報を調べられないだろうか?」と思う方も多いと思います。  しかし、ちょっと待ってください!  GPSには使用上の制約があります。この制約を理解した上で、正しい装置を選択し、研究計画を立ててみてはいかがでしょうか。 そもそも、ウェ

          フットサルでGPSは使えない?ウェアラブルデバイスの正しい知識

          LNFSチームを対象とした位置情報システム(LPS)を用いた研究

           研究紹介シリーズ。今回は、世界最高峰と言われているスペインフットサルリーグ1部のチームを対象にした研究です。 Carlos Serrano, Jose Luis Felipe, Jorge Garcia-Unanue, Enrique Ibañez, Enrique Hernando, Leonor Gallardo and Javier Sanchez-Sanchez. (2020) Local Positioning System Analysis of Physic

          LNFSチームを対象とした位置情報システム(LPS)を用いた研究

          パラダイムシフト

           久しぶりの更新です。記事のテーマを考えているうちに色々とモヤってしまい、気づけば5月なかば・・・(汗)。  この先、明治維新のような時代が大きく変化することになるんだろうなぁ・・・と。そして、スポーツがどうなっていくんだろうか?とか、考えているとモヤってくるわけですよ。  ひとつ言えるのは、江戸時代の習い事の中には、義太夫や三味線、剣術があったんですが、それらは今どうなっているか?ということ。考えていなかったような、パラダイムシフト(価値観の劇的な変化)が起きる可能性が

          ゲーム分析でも倫理審査は必要?

           倫理審査。研究を行っている方なら一度は聞いたことがありますよね(苦笑)。最近では投稿論文はもちろん、修士論文レベルでも審査会の承認が必要な場合が多いです。  この倫理審査、場合によっては映像分析を中心としたゲーム分析でも倫理審査が必要な可能性があるというのをご存じでしょうか? 研究倫理とは 倫理とは、「人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの。道徳。モラル。」(デジタル大辞泉)とあります。科学技術が発展する中、研究対象や方法がより広範になり、

          フットサルがサッカー選手育成に影響を及ぼすのか?に関する研究1

           お久しぶりです。少し時間が空いてしまいました(汗)。定期的な更新は大変ですね。  さて、今回はフットサルに関わっている人、特に育成年代のフットサル指導者にとって非常に興味のある話題だと思います。現場レベルでも、「有益だ」、「悪い癖がつく」など喧々諤々の議論が毎日のように見られます。実は、このテーマは日本だけではなく、世界中で議論されていて、いくつかの論文でも発表されています。 Atakan Caglayan, Kamil Erdem, Vedat Colak, Nurp

          フットサルがサッカー選手育成に影響を及ぼすのか?に関する研究1

          現場で見られるゲーム分析の落とし穴1

           研究の話ばかりでは面白くないので、少し現場の話をします。フットサルでもアナリストを目指す方が少しずつ出てきました。まだまだ、予算的な側面でアナリストだけで生活ができる環境ではありませんが、大学生チームではちらほらと見かけます。 分析は必ず行われている フットサルだけではないのですが、ここ最近のマスコミによるマーケティング(印象操作?)が効きすぎたせいか、データによって勝敗が決するというような印象を受けがちです。  しかし、現場によってはデータを重視しない(できない)とこ

          現場で見られるゲーム分析の落とし穴1

          ゲーム分析を進める上での注意点

           こんにちは。今日は暑いですね。極端な天候です。体調を崩しやすくなるので、注意しましょうね(主に自分が...汗)。  さて前回、ちょうどゲーム分析に関する研究だったので、ゲーム分析を研究とする場合の注意点を紹介したいと思います。 映像をどのように入手するか? 映像を用いてゲーム分析をする場合は、まずこの問題をクリアにする必要があります。 1.テレビやYoutubeなどの公開されている映像を用いる場合  サッカーを対象としたゲーム分析では、今までテレビ放映されていたものを

          日本におけるゲーム分析研究1

           以前、海外の研究を中心に紹介すると言いましたが・・・いきなり日本国内の研究を紹介します(汗) 鎌田 修平 , 八板 昭仁(2020)フットサルのゲームにおける攻撃結果とそれに結びつく諸要因との関連.九州共立大学研究紀要, 11(1), 31-38 https://kyukyo.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=404&

          この記事をはじめたきっかけ

           こんにちは。近所の桜も満開です。今週は卒業式や修了式という大学も多かったですね。新しい環境に戸惑うことも多いですが、頑張ってください!  さて、新しい環境にチャレンジする方の中には、「フットサルという競技を深く研究してみたい!」と考えているかたもいるのではないでしょうか? この記事を始めたのも、そういった学生の方たちをサポートしたいと考えたのが、きっかけです。 論文投稿数の圧倒的な差 すでに研究を始められた方ならお分かりですが、日本におけるフットサル研究は非常に少ない状

          部外者も利用できます!大学図書館活用のススメ

           卒業式シーズンです。来年以降に卒業を予定している皆さんにとって、修士論文、卒業論文は一つの関門ですね(汗)  大学は春休みですが、大学図書館は開館されているはずです。今回は、論文執筆の頼りになる相棒、大学図書館の利用法について、簡単に紹介します。 大学の施設は大いに利用しよう 特にスポーツ系の大学生は用がないので、入館したことがない学生も多いと思います。しかし、そもそも大学の施設は学生の学費で賄われています(それだけじゃないですが・・・)、学生が利用しない手はありません。

          部外者も利用できます!大学図書館活用のススメ

          体力的要素、運動特性に関する研究1

           今回は体力的要素、運動特性に関する研究を紹介します。 J. C. BARBERO-ALVAREZ, V. M. SOTO, V. BARBERO-ALVAREZ, & J. GRANDA-VERA. (2008) Match analysis and heart rate of futsal players during competition. Journal of Sports Sciences 26(1):63-73  ご存じの方もいると思いますが、以前ご紹介した