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虎に翼101話(重遠の孫)

「こちらは遠藤時雄さん今俺がおつきあいしているお方だ!
佐田には 時雄さんとの関係をうそで取り繕いたくなかったんだ。

前々から 時雄さんには佐田を紹介したいと話していたんだ」

   ・・・・・

「なあ お前(よね)のその態度は 一生治らんのか?」
寅子「私 よねさんが弁護士になってくれて本当にうれしいの」

よね「こいつが私のところに来る時は大抵 自分の話を聞いて欲しい時だ」
寅子よねさんって
本当に私のこと よく分かってるのね」

寅子「でも思ってしまったの。
今更 結婚する必要があるのかなって。子供を作るわけでもない。
支え合わなくても経済的に
自立し合っている。
それぞれの家族もいる。
それなのに 結婚する意味を見いだせないというか」

よね「それを私たちに話して何になる
相手に今の言葉をそのまま
話せよ」

寅子さん 遠藤さん。
私さっき お二人を見て何とも言えない顔をしてしまったと思うの」

「ああ。別に謝ってほしいわけじゃない」

(の結婚観、寅子の結婚観。よねの態度は相変わらずだが、よねの声の調子は和らいでいる)

   ・・・・・

寅子「お返事の前に、
どうして結婚がしたいのかもう 一度 航一さんにお話を
お聞きしたくて。
私が法律を学び始めたのはね、
戦前の民法における婚姻制度に『はて?』って思ったことがきっかけなの」

航一「僕は 東京に戻る日まで
寅子さんとおつきあいが続いていたら結婚を申し込む気でいました。

理由その1。新潟は単身での赴任でしたので 僕も時間の融通がききましたが東京に帰れば そうはいかないこと。

理由その2。婚姻することによって
互いの家族を養い 財産を残すための法的な後ろ盾が生まれます。我々も いい年です。
お互い 旅立ったあとのことを考えると安心し合うことができるのではないかと。

理由その3。民法763条「夫婦はその協議で離婚をすることができる」。婚姻自体が永遠の愛を誓うわけではなく
永遠を誓わない愛であることに気付いたからです」

   ・・・・・

玲美「それをまねして ウエディングドレスを作ろうと思うんだけど母が 自分の着た着物 着ろって」

直明「だったら両方 着ればいいんじゃないか?
お姉ちゃんはさ どうするか決めたの?」
寅子「あっ…前向きに検討中です」

   ・・・・・

百合「今日 物置になっていたお部屋を片づけました。
優未さんにもお部屋がいるでしょうから。
航一
さんや子供たちの支えになってくださるお相手ができることは本当にうれしいんです」

   ・・・・・

花江「結婚となれば家に住んで 家の人になるんだから」

寅子「民法 第750条。
夫婦になれば どちらかの名字が変わる」

玲美「すてきじゃないですか。
星 寅子も何だか神秘的で すてきだし星 優未も女優さんみたいだし」

寅子「はて?どうして
私たちの名字が変わる前提なの?」

直明「それは さんに佐田になってほしいってこと?」

寅子玲美さんは 猪爪の名字に変わることに抵抗はある?」

玲美「いえ。むしろ早くなりたいです。
小さい頃から たぬきの田沼からかわれてきたので強そうな名字になるのはとってもうれしいです」

花江「名字が変わって初めて結婚を実感する子は多いんじゃないかしら?」

   ・・・・・

寅子は理由が欲しい。自足していないから、理由が要る。でも、法律には理由は無い。
          光

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