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楽しい陰謀論、怖い陰謀論

陰謀論を楽しもう。


今の時代、様々な陰謀論が世間に溢れています。アメリカの国の大統領であり、であった、Donald John Trump氏が、この陰謀論を使って自らの選挙を不正なものだと支援者を煽り、暴動を働きかけ大きな社会問題となった事は記憶に新しい事だと思います。また、新型コロナ・ウィルスを巡っては、これだけの被害が全世界に出ていても、国内外問わず「コロナはただの風邪」「コロナはでっち上げだ」「どこかの国からの攻撃だ」等と言った乱暴な「陰謀論」がインターネットを通してあたかも本当であるかのように語られています。
もうこうなってしまったら、陰謀論は事実から目を背けて、事実無根なものを神と崇める新興宗教を何も考えずに信じている状態と大して変わりません。

陰謀論はあくまで「陰謀論」だから楽しい。


「陰謀論」という言葉の意味を改めて調べてみたいと思います。そこから改めて色々読み解いてみる事ができるかもしれません。

「偶然の一致から起こった出来事などを、何者かの陰謀によるものだとする論を意味する語。ある出来事について世間に認知されている背景から更に深読みする場合なども陰謀論に含まれる。」
(実用日本語表現辞典より)

表層に現れている現実の裏に、何か隠れているかも知れない、と関心を寄せる事は見方によっては、楽しい事でもあり、また有意義な事でも在ります。

ファクト、エビデンス、ニュースソースそして秘かな、イマジネーションとファンタジー


例えば、同じクラスの、のび太君が、

「うちの近くの空き地に、突如謎の丸い穴が複数規則的に現れたのを今朝発見したよ。これは宇宙人の仕業かもしれないのではないだろうか。」

と、お友達につい漏らしてしまったとして、のび太君の気持ちを否定するどころか、
宇宙人が出てくるあたり、子供がそう言った事を考えるとは何と夢がある事だろう、と私なら思い、胸を熱くするでしょう。

突如、
丸い穴、
複数、
規則的…。

もうらこれはのび太君が宇宙人を想起せざるを得ないシチュエーションです。何とファンタジーに溢れているのでしょうか。夢いっぱいです。

しかし、それを聞いたスネ夫君は
「これは宇宙人が、我々人間をこれから食糧として襲ってくるというサインに間違いないだろう。」と確信を持つかも知れせん。

しかし、まず、正しく物事を認識する為には、ファクト(事実)、エビデンス(証拠)、そしてニュースソース(情報源)が必要です。

まずのび太君の実際体験したこの不思議な出来事を振り返ってみたいと思います。

「うちの近くの空き地に、突如謎の丸い穴が複数規則的に現れたのを今朝発見した。」

これは、のび太君が実際体験しているのですから、間違いなくファクト(事実)です。この光景をiPhoneのカメラで、写真やムービーを撮っていれば、充分にエビデンス(証拠)になり得ます。勿論のび太君がその写真やムービーを加工していなければというのが前提ですが。
この場合は、のび太君が体験して実際、
「複数規則的に現れたのを今朝見た。」と、のび太君のママも一緒に見ていれば、これは明らかにニュースソース(情報源)足り得ます。
ま、ただ単に工事業者が空き地を工事の準備をしているだけかも知れませんが。

しかし、のび太君が
「これは宇宙人の仕業かもしれないのではないだろうか。」
「会ったらどうやって遊ぼうかな。」
とこっそり思うのは彼のイマジネーション(想像)であり、密かに「宇宙人がいたら楽しいのではないか?」というファンタジー(幻想)でもあります。

ファクト、エビデンス、ニュースソース
そして秘かなイマジネーションとファンタジーが揃えば楽しい「陰謀論」の仕上がりです。

怖い「陰謀論」のはじまり

しかし、先程書いたようにのび太君の話しを聞いたスネ夫君は
「これは宇宙人が、我々人間をこれから食糧として襲ってくるというサインに間違いないだろう。」
と考え、「この情報を、しずかちゃんに、
あ、ジャイアンや出来杉君にも伝えなくてはいけない!」
「宇宙人から身を守るために家にシェルターを作ろう、もし襲ってきた時に備えて銃や手榴弾をAmazon Primeで購入しよう。」
と、シェルターと武器を用意し始めます。

だが待ってください。
そもそものび太君が見た光景は宇宙人によるものか、というエビデンスはスネ夫君は勿論のび太君にも無く、ましてやスネ夫君が見た事もない、「存在」が、人間を食糧として襲ってくるというエビデンス(証拠)は何一つ無いのです。

ここからが、怖い「陰謀論」です。
これらは、自分が「ちゃんと」体験していないファクト、エビデンス、ニュースソースをチェックせずに、勝手な深読みをし、それと全く関係の無かった筈の他者にさらに吹聴し半ば自分の思考を強要しようとする事こそ、怖い「陰謀論」でしかありません。

意外と身近にある意外と悪意のある「陰謀論」


もっと、皆さんの身近にありそうな話しをしてみましょう。

最近よく聞く「言葉」を使っての今の時代非常に怖い「陰謀論」の用法です。

それは、
「普通は〜だよね。」
「国民〜するべきだよ。」
「皆んなが〜こう言っているよ。」

これは何気なく使っている方々が多いと思いますが、その言葉を発する人々が、じぶんの思惑に相手を引きずり込もうとしているのです。

普通って何が普通?
国民って皆同じ?
そして、
皆んながそう言ってる、という皆んなとは誰?

こういう漠然とした、全体主義的な言葉の裏には、その言葉を発した人の思惑が隠れている事を忘れてはいけません。ファクト、エビデンス、ニュースソースの全く存在しない危険な「陰謀論」です。こういう方々が話している時の利口な対処法としては、自分が頭が悪くてわからない、へ〜、そうなんですか。と聞くのが一番です。違うと思うけどな、等と反論を言おうものなら100倍の勢いで反撃されるので、こちらが騙されたフリをしておくのが一番楽です。
でも、そんな人とはもう、人間関係続ける必要は無いので、余計な心配はご無用。

アメリカ大統領選挙の結果を信じられない人々

例えば、Donald John Trumpの選挙結果に異を唱えて、暴動を起こしている人々もまた然りです。彼らは本当に選挙は不当に行われて、票が本当に盗まれたと思っているのです。何故なら彼らの多くは嘘ばかり(と思っている)の大手メディアの冷静な情報を見ずに自分にとって都合の良い事しか書いていない熱烈なSNSの情報しか得ていないからです。ここでも、ファクト、エビデンス、ニュースソースを知る事から彼らが逃げていることが分かります。
彼らは自分の信じる信念、大統領選挙の結果が自分達の意に反するものだという、ファクトを未だに信じられないのです。しかし現実はもうすぐ現れて来ます。彼らはとてつもない敗北感と、怒りを抱えて4年間を過ごすのでしょう。

人生には不思議が必要。陰謀論を事実と混同してしまったら面白くない。


とここまで読まれて私が、「陰謀論」が全て悪いものかのように、書いているように思われる方々が多くいるかも知れませんが、陰謀論そのものを否定している訳ではありません。人間の目に見える事には限りがあり、見えないものに真実が隠されている事も同時に私は知っているからです。
陰謀論とまで言わずとも、実際にはこう見えているけれど、本当の事はここに隠されているんだな、と言った、ファクト、エビデンス、ニュースソースそして「イマジネーション」「ファンタジー」の要素を持つ事は人生を楽しくしてくれる時もあります。

でも、「イマジネーション」「ファンタジー」の部分は、仲の良いお友達、恋人、自分を理解してくれる人々だけの内緒にした方が楽しいんじゃないかな、と思うこのごろです。

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