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この本を読んでいる途中から手離したくなる「恐怖」


『残穢』小野不由美 新潮文庫


前書き~十二国記のイメージで手軽に手に取ったら危険~

一言で言うと「怖すぎる」というのが感想ですね…。

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

今もちびりそうだし、早くこの本を手放したいという気分です。

小野不由美を初めて知ったのは、姉の紹介でした。

姉は小学生の頃から、少し難しい作品でも読んでいた「本の虫」でした。自分でも文章を書き始めたのも小学生だったかな?絵を描くのも好きで、自分で挿絵を描き、文章も書いていたのを今でも覚えています。

いつからか、文章を書くことは無くなり、本を読むのとイラストを描くのは好きなまま。大人になった今は、ものづくりに傾倒しています。

私自身は図鑑やパズル雑誌、探偵の本などは好きだったものの、中学くらいまではろくすっぽまともな本を読みませんでした。活字が苦手だったのですね。

そろそろ読まないとヤバい気がするという感じが、中学生くらいだったと思います。姉の本棚にずらりと並んだ物語作品やラノベ。とりあえずラノベから入り、徐々に本の面白さを知って、姉の本棚を制覇。

その時に姉に強く勧められて、読みはじめたらドはまりした『十二国記』シリーズでした。小野不由美作品です。1992年から刊行され未だに完結していません。

その影響だと思いますが、小野不由美=異国感とファンタジーのイメージしかありませんでした。

あらすじ


この家は、どこか可笑しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が…。だから、人が居着かないのか。何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。かつて、ここでむかえた最期とは、恨みを伴う死は「穢れ」となり、感染は拡大するというのだがー。山本周五郎賞受賞。戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!

ある女子大生は、一人暮らしの部屋でPCに向かうと、後ろの部屋から「すーっ。すーっ」と何かを擦る音がすることに気づきます。さらに、明らかに人の気配が…。

扉を慌てて開けてみるも誰もいません。今度はテーブルを横に向けて、ドアも少し開けて様子を見ますが、また音がするのに、何も見えません。
「何かいる…」
怖くなった女子大生は、かつておかしな現象をはがきで応募していた、作家を訪ねることに。

調べていくと、彼女の前の住人は転居先で死亡。その前の住人も転居先で不可解な死亡を遂げていた。

「その家を離れたのにー」。いったい、何が起こっているのかを探るにつれて明らかになる、「はじまり」。


感想


あとがきで知りましたが、2012年に書き下ろしで新潮社から単行本化され、大好評。翌年、第26回山本周五郎賞を受賞しています。

ところが、選評会では、意見が真っ二つに割れ、最後まで激論が交わされたそう。否定的であった選考委員ですら、その「独特の恐ろしさ」については否定しきれないほど。

選考委員を務めた5名のうち、2名はこの『残穢』の持つ独特な恐ろしさについてこのように語っています。

石田衣良「もっともこの本を自分の本棚に、ずっと置いておく気にはならないけどね」

唯川恵「実は今、この本を手元に置いておくことすら怖い。どうしたらいいものか悩んでいる」

私は先に触れた通り、小野不由美の異国情緒あふれる世界観。その人間性まで浮かんでくる、登場人物の魅力や狂気。そういったものに惹かれていて、本書について前評判などをろくに確認せずに手に取りました。

ところが読み進めていくと、明らかにされていく真実を読むたびに、知るたびに、その話を聞いてしまった私自身も今すぐこの手を離して、本を手放さなければいけない!!これ以上読んではいけない!!!と脳のアラートがなり続ける。

そんな初体験をさせてくれる本です。

フィクションなはずなのに、この本を読んでしまった私にもまた、この本の中で起こっている「現象」が起こるのではないか。物語を読んでいるという事すら忘れ、背筋が凍る感覚。

正真正銘のホラーです。

小野不由美の鮮やかなディテールで描く、まるで取材記事のような「恐怖の物語」。
是非、お手に取ってみてはいかがでしょうか。

なお、『残穢』は映像化もされています。アマプラで私は見ましたが、音が発生しない小説の「音」の部分の恐怖をしっかりと演出してくれていて、しばらく眠れなくなる効果があります(笑)

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