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【短編小説】誕生日

今日はあなたの誕生日パーティー。

あなたのために、こうしてたくさんの仲間が集まってくれた。

いま、あなたはみんなの話を聞きながら、その中心で美味しそうに赤ワインを飲んでいる。今日は本命の彼もいるから、あなたはより一層笑顔に見える。

本命の彼はあなたより少し年上で、普段は遠い場所で暮らしている。

離ればなれの寂しさで涙を流すあなたを、わたしはいつもなぐさめてきた。

本命の彼はいい人だ。

だから、彼が遠くにいく前に「彼女が寂しい時、寄り添ってあげてほしい」と頼まれ、わたしは喜んで引き受けた。

一緒にごはんを食べたり、一緒に散歩をしたり、ただそばにいて話を聞くだけという日もあった。

でも、ただそれだけであなたは喜んでくれたし、わたしも楽しかった。だってわたし達はもう何年も一緒にいる親友だから。

そんなことを考えていると、みんなからあなたにプレゼントとしてあるものが渡された。

「着てみて!」
「え? 恥ずかしいよ」
「これ着なきゃ今日は始まらないでしょ」

目の前にあるワインと同じ色のその洋服に袖を通したあなたに、集まった仲間が言った。

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