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【vol.16】あん摩マッサージ指圧師 青木真由美さん 「私自身を変えてくれた〝心のあり方〟を、戸田市の皆さんに伝えたい」〈戸田編②〉

埼玉県戸田市を拠点に、店舗および訪問マッサージを行う青木真由美さん。生後3カ月の頃、薬の処方ミスで大人用風邪薬を飲み、一時視力がすべて失われた経験がある。光は取り戻したものの、子ども時代から持ち続けてきた弱視であることのコンプレックスを救ったのは、「自分の気持ち次第で、コンプレックスが魅力に変わる」という大嶋啓介氏の言葉だった── 。その哲学を戸田市の多くの方に伝えたい一心で、6月12日(日)に大嶋氏の講演会「大人が輝けば、未来も輝く」(戸田文化会館)を開催する。講演会のこと、青木さんご自身について、お話をうかがった。


── 6月12日(日) に戸田市文化会館で開催する、メンタルトレーナー大嶋啓介さんの講演会「大人が輝けば、未来も輝く」の発起人でいらっしゃるのですね。

 はい。私自身、大嶋啓介さんの人間性に魅了された一人で、「大嶋さんの哲学を戸田市の皆さんにもぜひ知ってもらいたい!」という思いでここまで動いてきました。

 大嶋さんはもともと、居酒屋から日本を元気にすることを目的に、株式会社てっぺんとNPO法人居酒屋甲子園を設立されました。てっぺんの「本気の朝礼」はテレビにもたびたび取り上げられて、今や世界からも注目を集めるほどなんです。

 また、大谷翔平選手の母校・花巻東高校にもそのメンタルを取り入れるほか、100校以上にチーム強化研修を行って、22校が甲子園に出場した実績も。こうしたチームづくりのプロである大嶋さんに「自分の心が変われば、周りも変わる」をテーマに、自分・家族・仲間を大切にする生き方についてお話しいただく予定です。

── なるほど。チームといえば、学校、家族、仕事、趣味…どの世界にも当てはまります。講演会の主な対象者は?

 多くの方に聞いていただきたいというのが願いですが、あえて対象を絞らせていただくならば、中学生・高校生の親御さんと学校・教育関係の皆様です。もちろん、今後中学生になる子の親御さんも。中学生・高校生の参加も歓迎で、大嶋さんのような大人がいることを知ってもらうことで、諦めずに夢の実現に向かってもらいたいと。

 自殺者が多かったり、夢が持てず大人になりたくないと言う中学生・高校生も多いなかで、まず親(大人)が大嶋さん直伝の「心のあり方」を知ることで、それが自然と子どもにも伝播し、多くの方の人生がいまよりも輝かしいものになると信じています。


── 子どもたちの未来を願っての講演会なのですね。青木さんご自身は、大嶋さんのどんなところに惹かれましたか。

 私は弱視なんですが、子どものころは斜視もひどく、ずっといじめられっこでした。コンプレックスを抱えた自分を変えたいと思うなかで、4年ほど前にたまたま大嶋さんの存在を知って講演会に参加したのがきっかけです。そして1年前、所属する団体の勉強会で「コンプレックスをさらけ出すと魅力に変わる」というテーマで大嶋さんが講演を行ったんです。最後に勇気を振り絞って質疑応答の機会を得ました。

「私はコンプレックスをさらけ出すのが怖い。私にとってのコンプレックスは魅力ではなく、欠点でしかない」という問いに対し、「話してくれてありがとう」と、大嶋さんが…。あ、いま思い出すだけで泣きそうですが、「話してくれてありがとう」だなんて、言ってもらえるんだなって。家に帰ると涙がとめどなくあふれてきて、ああ私はずっと辛かったんだな、よく頑張ってきたなと、生まれて初めて自分を愛おしく思えたんです。今でも忘れません、去年の4月13日のことです。

訪問施術では、市内の端から端まで自ら自転車を走らせ、訪問者宅へ向かう
高齢者施設での高齢者の施術経験も


── そこから講演会の企画につながるわけですね。まさに青木さんの夢が6月12日に実現されることになります。辛い記憶を持たれながらも、明るく前向きな性格とお見受けします。

 私は、生後3ヶ月の時、医師の薬の処方ミスで大人用の風邪薬を飲んでしまい、痙攣を起こして一度全盲になったことがありました。当時手帳を取得していたら一種一級だったはずですが、親の判断で手帳は持たずにいました。ただ、その後、幸いにも、東大病院の名医のお陰で少しずつ光が見えるようになったんです。

 当時の医師の勧めもあり、小学校から地域の公立学校に通っていました。母からも「健常者」として生きる道を諭されていたように思います。ただ、先ほども触れたようにずっといじめられっこで、私が触ったものをゴミ箱に捨てられるような辛い経験もありましたが、母からはいつも「明るくいなさい」と。子ども時代からそう意識していたように思います。

── その後も普通学校に通っていたのですか。

 小学生の時に教育委員会の生活訓練を受けて、そのまま高校まで普通学校でしたが、高2で中退し、一旦はフリーターに。とはいえ、バイトは弱視の影響で20カ所の応募で1カ所受かれば良いという状態…。そんななか、たまたま決まった「受付」だと思い込んでいた仕事が、入ってみると実はマッサージの整体だったんです(笑)

 その職場の方から、盲学校でマッサージの資格取得を勧められたのを機に、盲学校に入学し、二十歳で高2からやり直しました。そこからさらに3年かけて、鍼灸マッサージ科で資格を取得。盲学校にトータル5年在籍しました。

── 盲学校の環境にはすぐ馴染めましたか。

 実は、最初は死ぬほど嫌だったけれど、盲学校のみんなと一緒に過ごしているうちに、点字を手で読むとか、私が目で見てどこに落ちたかわからないものを耳で聞いて、落ちている場所を教えてくれたり…みんなの素晴らしい感性や、努力を惜しまないひたむきさを感じました。

 私が盲学校に行ったのは、マッサージの国家資格が欲しいという理由だけでしたが、いざ入ってみると気を張らなくていい環境に心地よさも感じました。以前は、見えにくい携帯電話の画面をもっと目に近づけて見たいのに、他人の目が気になって目から離して見えているフリをしていたこと。盲学校時代の同級生の結婚式で賛美歌を歌うとき、「この距離だと楽譜が全然見えないんだよね…(笑)」ってみんなで言い合えたりしたこと。

 こんなに一緒の感覚の人がいるのだな、と。その反面、卒業した盲学校のことをずっと隠したかった自分もいて…。「障害者に見られたくない」という思いは、自分が障害者への偏見を持っているということ。そこに気づくことができました。

──マッサージの資格を取得して本業にされるようになったのですね。視覚だけに頼らず触覚で行う仕事の印象ですが、それまでの仕事と比べてどう違いましたか。

 え、そんな質問初めてで…なんだか泣きそうです…。例えばレストランでのバイトでは、器やコップの中身が空になっているのが見えないということがありましたが、マッサージは直接体に触れるので、「ここが硬い」「ここが詰まっている」と触りながら確認して、健常者と同じようにハンデなく仕事ができるんだと思いました。また、私対お客さまなので、その他の人には迷惑をかけないことも、それまでの仕事とは違っていました。

 二十歳になった時、自分の判断で初めて手帳(一種四級)を取りました。でも、今となれば、受ける権利があるなら手帳は取ればいいと思っています。たとえ経済的に困ってはいなくても、バス代が半額、100kmの電車代が半額、映画も半額…と暮らしやすくなりますし、なかにはお嘘をついてまでもらう人がいるくらいですからね。

 手帳があることで、自分のことを障害者と、また家族にとっては身内が障害者であることを認識せざる得なくなる。そこまでには大きな葛藤があるのも事実です。実際、私が手帳を持つときも、中学時代の友達に「手帳を持ったら私のこと嫌いにならない?」と聞いたんです。そしたら彼女が「え、なんで? 関係ないよね、手帳があってもなくても真由美は真由美でしょ」と。その言葉を聞いて、意識していたのは、実は自分だったんだなと思いました。

「自分の心のあり方次第で、世界の見え方が変わっていく」

 それを強く実感したのが大嶋啓介さんとの出会いでした。私自身、ここまで自分の気持ちが変わるとは思わなかった。自分を好きになれたし、認められるようになった。失敗しても、次はどうしようかなと前向きに切り替えられるようになった。

 自分の未来の可能性に、子供たちの未来につなげるべく、多くの人の「変わる」きっかけになることを確信して──

大嶋啓介氏 講演会「大人が輝けば未来も輝く」

日時:2022年6月12日(日) 13時15分〜15時40分(12時45分受付開始)
場所:戸田市文化会館 大ホール
チケット:【前売り】1500円、【当日】1800円、高校生以下 無料
主催:エンジェルすまいる(担当:青木 真由美)
問い合せ:angel.smile.toda@gmail.com
講演会の詳細はコチラへ

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【PROFILE】
青木 真由美(あおき まゆみ)
 1976年埼玉県生まれ。20歳から整体師セラピストとして経験を重ね、「あん摩マッサージ指圧師」国家資格取得。その後、病院、鍼灸院、介護施設で老若男女数多くの施術を行ってきた。現在は戸田市を拠点とした指圧・リンパマッサージ治療院「CoCoRo」にて、店舗および訪問にて治療・施術を行っている。

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