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2022.12.04. タローマンヒストリアを見てしまった


 タローマンヒストリア、言いたいことは山ほどあるけどまず言うことは、とにかく嘘をつく段取りがうまかったということですね。

 タローマンの前番組のありそうでない作品群を見せてこちらをクスっと笑わせてガードを下げさせた後に、巷で大人気になったタローマンというありえない大嘘を提示する。で、その嘘も実際にあったNHKの番組に出演していたという現実に基づく嘘を最初に用意してからの、タローマンオリジナルの番組のまるっきりの嘘をお出しする。

 なら、なぜそんなに人気になったタローマンがだんだん忘れ去られていったのかという疑問に対する答えも見事だった。作品がメジャーになるにつれて、当初テーマとして掲げていた岡本太郎の思想から次第に離れてしまっていった。そういう、現実の思わぬ人気が出てしまった作品にありそうな理由を見せつけられると納得するしかない。

 タローマンに影響を受けた著名人のコーナーも、メキシコの映画監督という嘘(この嘘も実際にメキシコに岡本太郎の作品『明日の神話』があったとう事実に基づいている)をついて、おいおいまた架空の人物を出して来たよと笑わせて着た後に、樋口真嗣という特撮界の大物を出してくる。

 とにかく、この番組はサプライズの仕方がうますぎる。最初に樋口真嗣のインタビューを挿入しても驚きはするものの、本放送の山口一郎のようにま~た被害者が出てるよとしか思えなかっただろう。

 架空の映画監督を見せてきた後に、実在する樋口真嗣という人物(しかも彼は最近シンウルトラマンという本当にある大ヒット特撮の監督をしている)を出すことでサプライズを効果的にしているのだ。

 この番組はジャブの連続でこちらのガードを崩した後に右ストレートや大振りのフックを放ってくる。そういう段取りが巧い。巧すぎる。

 最初に大振りのフックを放っても大きく空振りしてしまうだろう。だが、まずはジャブ(現実に基づいた嘘の連発)でガードを崩す。そうしてこちらに隙が出た瞬間に大技(大きな嘘)を繰り出す。

 そうした戦法じみた段取りが印象的な番組だった。

 あと最後に見せられたタローマン主題歌のFull ver.は見ててちょっと泣きそうになりました。


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