恋し人よ
身体に熱が帯びる 着物の帯の結び目
緩まる恋し人よ あなたはどうですか
訊きたいけど訊けない 無情な愛よ
流れゆけば 時の問題
悪戯すら 山の偽り
ねぇ 夢眩ませるなら
どうして私を誘うの
微量の風に吹かれ 結んだ髪がほどけゆく
簪を直しても あなたは戯れ通す
もどかしい気持ちすら 状況の彼方
触れずじまい ふいの裏腹
儘ならない 胸の高鳴り
ねぇ 夢膨らませながら
どうして私がおざなりに
素知らぬ顔をして 無下に扱うの
着物の裾 行き渡る熱
魅せ方さえ 遠い山鳴り
ねぇ 夢持たせたままで
おあずけの涙汗 隠し
あなたを見て 時の行き交い
感じさせる 肌の冷たさ
ねぇ 夢なんてなかったと
言わずばかりに あなた消える