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【読書感想文】『声の在りか』寺地はるな/著

こんにちは。
お盆休みは何を読もうかな。
そう思って手に取った数冊の本の中からひとつ。
今日は久しぶりに感想を書きたいと思います。
『声の在りか』寺地はるな/著 を読みました。

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それは螺旋階段のよう

主人公希和は小学生の息子の子育てを通じて日々関わり方や伝え方について悩みます。きっと沢山の親がそうであるように、次から次へとやってくるマルチなタスクをこなしながら毎日最善を選択し我が子の成長を見守っている。この作品では全体を通して彼女が一歩一歩進んでいく様子が立体的に描かれているように感じました。

ゆるやかに進む時間軸をなぞるだけでは起こった事実を淡々と綴ることになります。しかし『声の在りか』では細やかに描かれる登場人物の背景や気持ちが何重にも重なり立体的に伝わってきました。

とてもリアリティ溢れる台詞+メモしたくなるほど自分にささる台詞が登場するため心はゆらゆら揺れるゆりかごのよう。「きっとあの登場人物は他の場所ではこう言ってるかも」と無意識に想像している自分がいてハッとしました。

単純な物事の裏表だけではない現実。深く共感したり俯瞰で物語を読み取ったりしながら読者のイメージが広がるこの作品は、螺旋階段のようだなと感じたのです。

真ん中にある軸が希和さんの芯。自分を持っているけれど最初は細い軸。伝えきれない想いを抱えた彼女はゆっくり階段を1段ずつ登る。足元を確認しながら登った先には何が見えたのか。

個人的には乳児期ならではの出来事や学校のPTAについて特に「そうそう!」と頷きページをめくりました。“当事者として渦中にいるとわからないことを、物語として読むことでシンプルに「そうか外から見るとこうなのか」とわかる”新しい発見もありました。

私も彼女のように伝えることに自信が無いから、階段をゆっくり登りながらまずは自分の指針をしっかり持てるようになりたいです。

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おわりに

寺地はるなさんの作品といえば、私ゴトではありますが最近『タイムマシンに乗れないぼくたち』を読了。皆さんにオススメするべく先日感想をTwitterにてつぶやいていました。

さあ次は母親目線のお話『声の在りか』にしよう。そう思って読みはじめたら、多くの思考と台詞に共感の嵐。ここを描いてくださったのか。よし今の気持ちを残しておこう。自然とそう感じました。今回の週末noteはそんな私の読書感想文でした。


お読みいただきありがとうございました。


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