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人は基本的に労働が好きだ。:進化論

 そうでない人は、たいてい子孫を残さずに死にましたから^^;

 仕事が苦痛な人は、仕事が嫌いなのではない。嫌いな仕事をしているのです^^

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 類似例として食事を考えましょう。ほとんどの人は食が好きだ。食欲は動物の基本欲求です。

 つまり食べると幸福感を得られる。しかし、それは「当たり前」ではない。元々、食べることで快感を得る動物と、そうではない動物がいたのです。後者は絶滅しました(注0)。我々は生き残った側なので、食欲が有る。それが進化です。

注0:病気で食欲を失った経験があればわかるでしょうが、「食」そのものはかなりの労働です。料理が目の前に有ったとしても、それを切り分け、口に入れ、咀嚼して飲み込むという一連の作業は、時間がかかるし、ひどく煩わしいものです。平たく言って、めんどうくさい^^;
 
 しかし、ヒトはまだマシなのです。火を使って食材を食べやすく加工するので、他の動物と違って食事時間が極端に短い。
 草食動物は、起きている時間のほとんどを草の咀嚼に費やしています。 ヒトにかなり近いチンパンジーでさえ、1日に8時間は食べ物を噛んでいます。
 もしも彼らが食欲を失ったら、1、2週間で死ぬでしょう。

 食べたときに幸福感を得る(脳内麻薬が分泌される)遺伝的形質を持つかどうかは、実は偶然です。繰り返しますが、食欲を持つことは自明ではない。

 性欲も同じ。性欲がない動物は絶滅しました。生き残った我々には性欲が有る。

 承認欲求も同じ。

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 ヒトがどんな行為を行っても、結果として大脳が幸福を感じる可能性もあるし、感じない可能性もある。遺伝子の変異はランダムなので、両方発生します。

 だから、労働が好きな遺伝子と、労働が嫌いな遺伝子が存在したはずなのです。

 そして嫌いな方は、子孫を残さずに死んだでしょう。

 したがって、生き残った我々は、労働が好きである可能性が高いのです。

 問題は、人間社会の変化(労働の変化)が早すぎることだ。我々の中には、現代社会の「労働」が嫌いな人がまだ大勢残っている。そして「労働」の内容は、頻繁に変化するので、対応(適応)できない人はどの時代にも残るでしょう。(注0.5)

注0.5:おそらくは1万年前の人類は、狩猟と採集が大好きだったはずだ。そうじゃなければ生き残れない。
 
 その名残(本能)は今も残っている。釣りとハンティングを趣味とする人は多い。そして人は物を集めるのが好きだ。コレクターの本能は採集の本能です。
 なお、今日の社会で人が最も集めたがる物は、言うまでもないですが「」です(笑)

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「労働」とは必要な物・サービスを手に入れるために行動することです。

 我々は、大枠でもこれに対する幸福感を得るようにできている。「達成感」がそれです。

 視野がせまい(フレームが狭い)人は「狩猟と採集」しか、快感の要因として認識できないでしょう。だから、それ以外の「労働」で快感を得ることができないのです。

 視野が広い人は、「狩猟と採集」以外の行動も、「類似行為」と解釈して快感を得る要因と認識できる。彼らにとっては労働そのものが快楽(≑報酬)です。

 その種の人は特に珍しくはない。消防士や軍人、自営業の多くがそうだ。彼らは低賃金でも士気が衰えることが少ない。
 また、バブルの頃にはワーカホリック(仕事依存症)という言葉がありました。働きすぎのことです。当時のサラリーマンには、残業手当も出ないのに深夜まで働く人がいた。それが楽しかったのです。

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 もっと顕著な例があります。

 育児です。

 ほとんどの母親は、子供を幸福にするための「労働」を嬉々として行う。それは快楽なのです。(注1)

注1:もちろん育児は「重労働」です。しかし、「無報酬」でキツイからと言って育児を放棄する母親はマレです。やらないよりもやる方が幸福になる。
 空腹で泣いている子供を無視できる女性は、めったにいないでしょう。そして、美味しいご飯を食べさせてあげて子供が笑顔を見せたら、女性は大きな幸福感を感じるはずだ。(注2) 
 それはヒトの脳の報酬系がそのように作られているからです。普通はそれを「母性本能」と呼びますね^^

注2:ほとんどの女性は、それを自明と思っていて理解できないでしょうが、多くの男性はそれを感じないか、はるかに弱いです。
 …と、私は思います。私は男なので女性の気持ちはわかりませんが、自分に24時間対応で「一人では何もできない人間(赤ん坊)」の支援・介護ができるとは思えないです。
 それが私が結婚せず、子供を持たない理由でもあります^^;

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まとめ(?)

 意外なことに、人は働くことが好きなのです。

 しかし、現実にはそう思っていない人は、非常に多い。私もその一人でした。

 それは、現在の仕事を「狩猟と採集と同じ」と見なせないからだと思います。つまり自分に適した仕事ではないのです。

 特に「やらされている感が強い行為」「自分でコントロールできない(裁量権がない)行為」を、人間は嫌います。これは行動心理学によりわかっている実験事実です。(注3)

 そういう行為は「狩猟と採集」とは共通点がないのです。

注3:また、「狩猟と採集」の顕著な特徴は、労働の結果がすぐに分かることです。良い仕事をすれば、その日の夕方には「大量の鳥、魚、木の実」として、はっきりと成果がわかる。
 これは非常に重要なポイントであって、多くの人は因果関係(行為のフィードバック)をの単位でしか把握できないのです。今日やった仕事の結果が1年後にわかったとしても、ほとんどの人は、その2つの因果関係を把握できない。時間のフレームが大きすぎて脳が処理できないのです。

 要するに
「1年後には成果が出るから頑張れ」
と言われても
「そんな先のことを言われてもなあ…」
となります。身に覚えのある人は多いはずです^^;

 しかし、現代の労働は、多くの場合に仕事の成果は1年後ぐらいじゃないとわからない。その種の仕事で幸福感を得るのは難しいでしょう。(注4)
 その点では、小売業など即日販売の営業、散髪などのサービス業、風俗業などは、労働の成果がすぐにがわかる。非常に幸福感を得やすい職業です。

注4:「その種の仕事」の典型的な例が農業です。仕事の成果は収穫の時期までわからない。
 農業の発明は、人類に大量の食料をもたらしました。しかし、それと同時に人類は労働を苦行と考えるようになったのです^^;
 これは私の意見ではないです。「サピエンス全史」のユヴァル・ノア・ハラリ氏は「農業の発明以降、人の幸福度は下がった」と指摘しています。

 結論:仕事が苦痛でしか無いならば、転職しましょう^^

 私は今日現在、有職無収入です。投資の利益が上がらないのです。
でも、仕事は楽しいです(笑)

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