【ちびまあ】スイカバー事件
いつかの春休み。まだ夜は寒いが梅が咲き、
その日はポカポカ。そんな春の空気に誘われウトウトしていたところ、
玄関の方でおばあが騒々しい。
モゴモゴとしたダミ声だが若々しくもある。どうやら来客と揉めている。
『うっさい!』
この一喝に反応したのか、
ドタバタ物音がより激しくなる。
その物音以上の足音で廊下を歩く俺。
玄関に到着する頃そこには静寂しかない。
一目散に逃げだしたようだ。
『なんだったんだろ』
おばあによると『お金貸して』とせびってきたらしく、なぜかスイカバーをくわえていたとのこと。
季節の変わり目は人と人の境界を狂わせるのだろうか。足元にはスイカバーの種が転がっていた。記憶から溶けるまでに、ネタにできてよかった。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?