【ちびまあ】ビート版

水泳が苦手だった。『どうやって休も』
考え得る限りの言い訳も出尽くして
渋々溜息混じりに参加するのだが
決してカナヅチというわけでもなく
水恐怖というわけでもなく
理由らしい理由が見当たらず
『生理的に（プールが）受け付けない』
ということにしておこうか。

同様に泳げない子達は多かった。
ある日『おー！ひろくん泳げてるやん』
泳げない組の繊細代表ひろくんが
足をバタつかせながらスイスイと
泳いでいるではないか！

ひろくん『こんなん泳げたうち入らんよ』
ビート版を使っていたことがセンシティブであり完璧主義の傾向が強い彼には不満だったのだろう。

ああそうかぁどれどれ俺も

ひろくんを真似てビート板を使ってみた。
おや？おやおやおや？！
泳げるではないか泳げてしまうではないか！

その様子をみたアキラが
『まあとし君泳げよる泳げよる！！』
素直に嬉しかったのだが
ひろくんの言葉をおもいだし
こぼれそうな笑みを噛み殺した。

その一部始終を見守っていたであろう
先生が
『アキラ君は素晴らしいよ。人の成功を喜べるのは立派なことよ。』と諭すように語りかけた。

『もともとは俺が泳げるようになったひろくんに言うたんやけどなぁ』

そこはみてなかったんかい！w

タイミングって大事だなぁってか運だなぁ

いつもより染みた消毒液でした