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「菩薩のラメント・キュロスの哀愍」公演 後日譚

さて、翌日パリ在住イラン出身のソロウル・ダラビくんというアーティストとミーティングをすることになりました。

Sorour Darabi
https://www.onassis.org/people/sorour-darabiより写真引用

「昨日はキュロスの円筒碑文のアッカド語に旋律をつけて歌ったんだ」と言うと「あー、あの人権を書いた碑文ね」と答える。さらに「僕はペルセポリスのシーラーズ出身だ」と。つまり、キュロス2世の使者か?

私がキュロスの円筒碑文を知ったのは、国際政治学者の高橋和夫先生が、「イランの原子力核開発でアメリカとの摩擦がエスカレートしていった時に、アメリカ在住のイラン人コミュニティーがお金を出し合って、アメリカの博物館を回るキュロスの円筒碑文の巡回展をした。アメリカはデモクラシーのためにイランに制裁をする、と言うがデモクラシーを始めたのはイラン、アケメネス朝ペルシャのキュロス2世であると」

そうやって、キュロスの円筒碑文は20世紀・21世紀の人類に利用されてきた。私の今回の作品は、その一端に踏み入れてしまったことを自覚しました。

ソロウルくんとの話は弾む。さらにシラーズと言えば、ハーフェズ(1325〜1389)。イランを代表する詩人。シーラーズって聞いたことあるなぁ、と思う人は、ワインを飲んでいますね?今はフランス・ワインの一つとして知られているが「シーラーズはイランのワイン」とソロウルくんは断言する。李白も酒と月を詠んでいたようですが、ハーフェズもかなり酒を飲み、月とそして恋を詠っています。ハーフェズは、イラン・イスラームのスーフィズム(神秘主義)の魂を持った詩人だ。酒を飲み、踊り、歌い、花を愛し、自然と戯れ、夜空を仰いて、神秘の扉を開ける詩人。

現在のイランではイスラームのハラールの規律によってワインの製造は禁止されているが、密かに作って(なんて書いていいのか)人々はワインを嗜む。そしてアメリカに亡命したイラン人のコミュニティーは、アメリカでシラーズのワインを製造しているそうです。

満月の夜のペルセポリス Persian Touringより

アメリカのハリウッドには相当の数のイラン人が住んでいます。西海岸にはホールサム・チョイスというスーパーマーケットがあり、ここに行けばイランの食材はほぼ完璧に揃います。

イランのレストランも結構あってベリーダンスのショーもある。亡命した多くのイランの富裕層は、アメリカの西海岸にイラン文化を花咲かせました。

「コロナになってライブハウスは使えなくなったから、満月の夜に野外でパフォーマンスするようになったんだ」と私の活動を話しました。ソロウルくんは、パリに住んで、もうシラーズには長い間帰っていないらしい。

いつかシラーズの満月の夜にパフォーマンスをしたいね、とキュロス2世の使者と語りあいました。


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