【毎週ショートショートnote】スベり高等学校
今週もたらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加します。
【スベリ高等学校】
ここは名門セイント薔薇学園。
学園を仕切るは、成績優秀、眉目秀麗、四大財閥御曹司、豪徳寺司。
その生徒会長・司が、
「ローション相撲したい」と言い出したから大変だ。
……ローション………相撲……だと?
ローション、相撲……。
……ローション相撲って、何だ……?
平成は遠くになりにけり、いわんや昭和をや。
誰もローション相撲などいう面妖なもん、知らん。
当の司だって知らん。
古文書(祖父の日記)に「ローション相撲、最高。ラッキー助平、イェイ」という一文を見つけ、言ってみただけだ。
しかし内容は不明なれど、司の発言は絶対だ。
こうしてローション相撲をすることにあいなった。
相撲というからには、こけたら負け。ローションというからには、ローションを使うのだろう。
学園内全ての部屋、全ての廊下にローションがまかれ、こけたら負け、最後まで立っていたものが「ラッキー助平」になれるという壮大なイベントが行われた。
豪徳寺財閥の栄誉にかけ、ローションをふんだんに塗りたくったせいで、学園内はヌラヌラのテッカテカ。すべるすべる。衝突、転倒、カベに激突、事故者続出。まさに阿鼻叫喚。
ひっきりなしにピーポーピーポーいっている。
その様子を生徒会室で見つめながら、司は、
『これじゃない。俺が求めていたのはこれじゃないんだ』と頭を抱えた。
古文書(祖父の日記)からはもっと甘美な香りがしたんだ。
ちなみにセイント薔薇学園は男子校、司が正解にたどり着くことはおそらくないだろう。
「うぉぉぉ!」
「ぐっはあああ!」
「ラッキー助平になるのは、オレだぁぁぁ!」
学園には、男たちの野太い叫びが反響していた。
【了】
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豪徳寺司、気に入ってしまい、ゆるくシリーズとなっております。
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