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わたしの考える、「薬膳」。

「薬膳やってるんです~」と言うと、「え!興味あります!教えてほしい!」と反応されることが多くあります。特に女性は健康意識が高い人が多いので、目を輝かせてくれることも。

そんな方々と会話してみると、「薬膳といえば、火鍋が好き」「スムージーを飲んだり、ヘルシーなことを実践している」などと、普段の食への意識の高さを感じる発言も多く聞かれます。

……その度、薬膳の本質を普及させなきゃ!と思う。彼女たちがやっている食事法が間違っているわけではありません。でも、合ってるとも限らないのです。それを知ってもらうのが私の使命だと思っている。


「薬膳」って、なんだと思いますか?

体に良いごはんやレシピのこと。特殊なスパイスやハーブを使ったごはんのこと。漢方のような効能がある食事のこと。

そんなイメージが多いのではないでしょうか。

大丈夫、広義には合っています。wikipediaで調べると、「薬膳とは中医学理論に基づいて食材、中薬と組合せた料理であり、栄養、効果、色、香り、味、形など全てが揃った食養生の方法である。」と出てきます。

なるほど。素晴らしいですね。でも、そんな完璧な食事が日常で取り入れられますか?無理です。ハードルが高すぎる。

私の中で大事だと思うのは、太字で引いた「中医学理論に基づいた」「食養生の方法」というところです。もっとシンプルに言うと、私の考える薬膳は、「自分の体質に合った食事を摂ること」。以上です。


たとえば、薬膳火鍋。辛くて美味しいあのスープに入っているのは、唐辛子、生姜、竜眼、なつめ、クコの実、党参などです。知らない食材もあると思いますが、イメージする効果としては体がぽかぽか温まって、体力が付きそうですよね。そうなんです、体を温めて気血を補い、胃腸の働きを強めるような構成になっています。

では、誰でも火鍋を食べれば健康になると思いますか?

そんなことはないのです。激辛火鍋は、体が冷えている人や栄養・活力が足りていない人にはぴったり。でも、たとえば体に熱がこもっている人(熱がり、脂性肌、ニキビができやすいタイプ)や、体にうるおいが足りていない人(のどがよく乾く、乾燥肌、便秘がちなタイプ)は、食べない方がいいものなんです。余計に体を熱くしたり、発汗による水分不足が進んでしまって、体内のバランスを悪化させてしまいます。

健康意識高い系代表のスムージーも、冷えやすい体質の人にはNG。生野菜やフルーツは体を冷やす作用があるものが多く、そこに冷凍バナナや氷を入れてフローズンになんてしていたらもうNG中のNG!良かれと思ってやっていることが不健康になってしまうのは、一番悲しいこと……。


「薬膳」自体は、なにも特別な食事ではない。

本来の薬膳は、木の実を乾かしたものとか、苦い草の根っことか、そういう生薬を取り入れた献立のことを言います。でも、生薬はより効果を上げるためにチョイスされた一食材に過ぎない。生薬ほど強い効果はなくても、同じ効能を持つ食材は日常にあふれているのです。中医学理論では、あらゆる食材が効能や身体に作用する性質を持っています。誰だって、スーパーに売っている野菜やお肉だけで薬膳はできるのです。

それよりも大切なことは、今の自分の体がどういう状態か知ること。それが分かれば、あとはその状態に適した効能の食材を調べて食べればいいんです。肩こりがひどいな→血流が滞っているせいだな→血を流す食材(にんにく、玉ねぎ、さんま等)を食べればいい。逆に、血流が滞っているのを知らずに血を補う食材(ほうれん草、レバー、ベリー等)を食べてしまったら、むしろ血は詰まったまま滞る一方。自分の体の状態に合った食べ物を食べないと、知らないうちに体内のバランスが崩れていってしまって、それが続くと少しずつ不調が出てしまうのです。

つまり、薬膳の本質は、「自分の体内バランスを知り、それを整える食材を食べる」ということ。何を食べるかではなく、誰が食べるか。中医学理論では、万人に効く食べ物はないのです。これさえ食べれば健康になれるというものはなく、その人の今の状態に合っているかどうかなのです。

とはいえ、「自分の体がどんな状態か知ること」、これも難しいですよね。私もまだまだ中医学勉強中の身だし、全然覚えきれていません。だからググればいいのです。便利な時代だからね!

頭痛や生理痛、便秘、肌荒れ、すべて体の中に原因があります。もっと小さなサインもあります。寝付きが悪い、立ちくらみ、口がねばねばする、とか。すべて体のサイン。気になることがあったら「頭痛 中医学」「立ち眩み 薬膳」と、ググってみてください。当てはまる体質タイプの養生法を少しずつ試してみてください。

ちなみに私はほとんど毎日、お風呂の時やお化粧をする時に鏡で舌べろを見ます。舌べろの色や形などで、ある程度の体内バランスがわかったりします。そしたら今日はあれを食べておこうかな、食べるのをやめておこうかなと、少しだけでも体内バランスを整えることができます。(以下ご参考)


とても地味ですが、この行動こそが「未病」であり、最高の健康意識であり、自分を大切にすることだと思いませんか?

そう。私が薬膳の本質的魅力と考えているのは、この考え方自体のことなのです。「自分の心と体に自分で向き合い、自分で対処する」というセルフケア意識のこと。

自分の体や心を、日々見つめてあげる。変化をきちんと感じ取る。健やかじゃない状態を無視しない。我慢しない。心の声を聞いて、なるべく楽にしてあげる。

そうやって自分のことを大切にするのって、とても幸せなことじゃないかしら?自分にとっても、みんなにとっても。

これが、辞書とは違う、わたし流の「薬膳」。(アナザースカイ風に)


さて、この記事を読んでくれた方は、もう今日から薬膳を始められますね!明日からのみなさんの心と体が、より自分らしくより健やかになりますように。

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