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セザール・フランク作曲 《♪ヴァイオリン・ソナタ イ長調》 楽曲解説
この記事では、19世紀フランスの作曲家、セザール・フランクの《♪ヴァイオリンソナタイ長調》について解説しています。
(追記情報)
2021年5月26日
2022年2月15日
作曲家セザール・フランク
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【プロフィール】
1822年、ベルギーに生まれました。
1837年にパリ音楽院に入学し、以後フランスで活躍しました。
ピアニスト、オルガニストとしても優れ、教師としてはヴァンサン・ダンディやエルネスト・ショーソンを育てました。
代表曲《♪交響曲ニ短調》
《♪ピアノ五重奏曲》
《♪プレュード、コラールとフーガ(ピアノ曲)》
フランクは若い頃から作曲活動を行なっていましたが、聴衆に認められたのは晩年になってからという、大器晩成型の作曲家でした。
現在ではフランスを代表する作曲家と評価されているのに、何故だったのでしょうか?
フランクの作曲理念
フランクが生きた19世紀のフランスでは、音楽といえば軽いサロン音楽やオペラが主流でした。
そのような中、フランクが作曲していたのは『バッハやベートーヴェンに代表されるドイツ音楽の知的な構成力』と『フランスの伝統的な感性』をあわせもった音楽でした。
そのため聴衆からは「よくわからない抽象的なもの」と認識されてしまってたのです。
しかしフランクは自分の信念を曲げることなく、黙々と作曲活動を続けました。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/19836543/picture_pc_3ff6cd21d625993f5240bfde7626d1ea.png)
この曲は「循環形式」(同一のモチーフを全楽章に渡って用いる作曲手法)という、極めて精密な手法で作曲されており、
一方で自由で流れるような即興的な曲想もあわせもっています。
このヴァイオリンソナタは、フランクという作曲家の『理知的な冷静さ』と『内面の情熱』が、結晶となっている曲だといえるでしょう。
以下の文章は、音楽之友社『最新名曲解説全集12 室内楽Ⅱ』p434からの引用です。
"フランクが、フランスにおいて当時かえりみられなかった原因は、極めて軽いサロン風な音楽あるいは歌劇にしか魅力を感じることのできなかった大衆の前に、ドイツ古典音楽の知的な構成力を持ち、そのうえにフランスの伝統的な感性をきわめて純度高くもった抽象的な音楽を提供したためであった。
…そうした大衆には容易に快くは容れられがたいことが明瞭な音楽を、当時の時流に黙々と反抗を続けながら開拓していったフランクの理性的な冷静さと、内面的な強い情熱は、その作品にもそのま美しい調和となって反映している。
この曲における精密な構成と、一種即興風な精神の流動性とはその特色を最も端的に示したものといえる。
これは1つの全く完成された様式であり、1915年、ドビュッシーが新しい作曲理念をもってこの分野に手をつけるまでは、真新しい手法も生まれなかったのであった。"
(文:大木正興 『最新名曲解説全集12 室内楽Ⅱ』p434より 音楽之友社
各楽章の解説
《ヴァイオリン・ソナタイ長調》は1886年、フランクが64歳のときの作品で、
友人であるヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイの結婚祝いとして作られた曲です。
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第1楽章
冒頭のピアノの和音(属九の和音)にフランス的と表現できるような、特徴的な響きを感じることができます。優しくて穏やかで、幸福感に満ちた楽章です。
第2楽章
第1楽章と打って変わって、嵐のように激しい曲調です。
第3楽章
沈鬱で、即興的な性格が強い楽章です。
第4楽章
カノン風の楽章で、再び幸せに満ちた印象です。ピアノとヴァイオリンのおいかけっこは、ひょっとしたら男性と女性とを象徴しているのかもしれません。
おすすめの音源
この曲はヴァイオリンソナタの中でも名曲中の名曲なため、レコーディングも豊富です。
①三浦文彰さんと辻井伸行さんによる演奏です。エネルギッシュかつ繊細な演奏で、いぶし銀のヴァイオリンと純白のピアノが心にしみ入ります。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/53184863/picture_pc_69a427022ef2e193788ff50e4721d35f.jpeg)
②フランクの孫世代にあたるフランスの歴史的名演奏家、ティボーとコルトーによる演奏です。時代の空気感が味わえる演奏には、一聴の価値があるでしょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます♪
さくら舞🌸
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