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#エッセイ|会社に属さない私は何者か


ここ最近、ずっと考えていた。

何日考えても答えは出ない。

違う。

答えはとっくに出ていた。

でも認めたくなかった。

会社員の皮を脱いだら、私は何者でもないのだ。



毎日投稿しようと思ったnote。

次はこのテーマと思って書き始めた。

だが何日考えてもまとまらない。

だからといってテーマを変えるのも、逃げているような気がしてやめた。

同時に、自分に猫を被るのもやめてみた。

「会社を辞めたら、何も残らない。」

すっと出てきたこの一言。
破壊力は抜群だった。

会社を出れば、特段やりたいことがないのだ。

何もない自分を目の当たりにした。


「趣味は何ですか?」

この質問が一番苦手だ。
これと言った "好きなこと" はない。

"好きなこと" が分からないのだ。

その心当たりは、親の教育方針だ。

子どもの頃、早く大人になりたかった。
自由になれると思ったからだ。

大人の私から見ても、子どもの私は窮屈だった。

厳しい父親にすべてを管理されていた。
娘をいい大学に入れたかったらしい。

大人になってから気づいたが、当時の父はモラハラそのものだった。

テストの結果が悪ければ、お前の将来は終わりだと言われた。

付き合う友達にも干渉された。

テレビも父が見せたい番組しか見れなかった。
お笑い番組をつければ「こんな低俗なもの見るな。」とチャンネルが変わる。

その他にも色々あった。


大学を卒業したのち、就職のため上京した。

念願のひとり暮らし。
楽しくて仕方ない。

入社当初は同期と競争するのが楽しくて、喜んで残業した。

休みの日は友達と深夜まで飲みに行った。
朝帰りでも、怒号を飛ばす父親はいない。

自由な生活は最高だった。


… それから数年。
私は "会社の人" になった。

平日は上司の言う通りに動き、
その疲れを土日で癒し、月曜に備える。

たまにやってくる連休。
初日は寝溜めの日。
しかし、次の日からは何をしていいかわからない。

あれだけ欲しかった自由な生活。
それなのに、人生を楽しめない自分を目の当たりにしている。

他責と言われるかもしれないが、
父親に何もかも決められたことで、
自分の "好きなこと" が分からなくなったのだと思う。

だから何もかも指示してくる会社に従うことが、
一番自分の身体に馴染んでしまうのだ。


30歳。

親への不満は決して消えない。

ただもういい大人だ。

親に干渉された期間より、家を出てからの方が長くなる。

親に人生のベースを決められたと思うと癪だ。

その反抗心でもいいから、自分と向き合うようにした。


毎日30分。

ただ自分の "好きなこと" について考える。

正直、苦行だ。

Youtubeやドラマを見ている方が楽でいい。

それでも会社員以外の自分が欲しくて、
毎日、自分と向き合っている。

自分の欲に素直になる練習だと思って。

夫や友達の欲の多さを見ると、素直に羨ましいと思う。

その羨ましさは全く薄まらないが、
それでも少しずつ、自分の欲を出せるようになってきた。

絞り出した "好きなこと" から、
会社員ではない自分が、ぼんやりと形作られていく感覚も掴み始めた。

そして自分と向き合いすぎて疲れた時は、
大好きなお笑い番組を見ている。

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