イグBFC3感想&評価 グループI/J/K

はじめに

 イグナイトファングマンは誤読を恐れない。読書とは自分という人間の無知と限界を知るためにある。感想を書くのも同じだ。イグナイトファングマンはおのれが醜く卑しいだけの先人になる覚悟ができている。そしてそれを繰り返すことでしか達成できないものがあると信じている。
 ひとはおなじことの繰り返しに恐怖する。だがそのおそれの根源がもしも自己保存にあるとしたら、それこそどうしようもなく卑しいではないか。
 イグナイトファングマンは常に批判されることを求めている。またイグナイトファングマンは実際ヒマである。ヒマなので読者からのおたよりを読みあげます。

いつも楽しくイグナイトファングマンを見ています。素朴な疑問なのですが、イグナイトファングマンは同じことを繰り返すのを許さないんですよね。なんで同じネタで四つも記事を書いているんでしょうか。

PN イグナイテッドアローズさんからのおたより

 前回までのイグナイトファングマン!

  • イグ太郎にイグナイトファングが直撃。

  • 真のイグナティウス・ロヨラMkⅨⅨが敵対した。

  • ヤンデレストーカーはバール買いがち


グループ・I

犬飼「バミューダ作家の倒し方」

 目と目が合う瞬間イグナイトファング! イグナイトファングマンは身内ノリで書かれておりなおかつブンゲイファイターの人となりがわからなければ楽しめないような作品を許さない。ダボォイグナイトファング! また、イグナイトファングマンは最後の最後でなんとなく幅広い層にアプローチできそうな単語を使うことを許さない。それは読者を信じず鶏油を浮かべる行為なのだ。イグナイトファング!
 イグナイトファングマンは今日も孤独に戦い続ける。

宮月中「yesterday once moreのサビ前までを出来る限りカレンっぽく歌うための実用覚書」

 ウェンナイグナイトファング! イェイウォウウォ、ウィグナイファン!
 イグナイトファングマンは重要なサビ部分に関する実用書がないことを許さない。そして正統的イグナイトファング! イグナイトファングマンはわざとらしくカレンと可憐でそれらしいフックを作ることを許さない。
 それにしてもイグナイトファング!

 イグナイトファングマンのやつ、今日も休みだぜ。なんか知らないか、イグ宮。
 ふふっ。あっ、ごめんね、聞いてなかった。なにかな? イグナイトファングマンくん? さあ、どうしたんだろうね……。でも私にはわかるよ。イグナイトファングマンくんは今日も世界のどこかでイグナイトファング! してるって。うふふ。

yohクモハ 「信楽焼のたぬきが大活躍する話」

 ベリーナイス。ベリベリナイス。この作品はわざとらしいイグのなかに燦然と輝くブンゲイ的アプローチが随所にみられる。素晴らしいな。発想の中枢にはイグらしさの結晶としての信楽焼のたぬきが存在するわけだが、その一方で描かれている物語にはどこか作家的な孤独感が仕込まれている。だがその正体を如何にもなトランスという言葉に落とし込んでしまった点にイグナイトファング! そういうもので作品をチープにしてしまっているんだぞということに哀しみを込めて月と太陽のイグナイトファング!

風呂「PHASE-0」

 開幕前歩きからのイグナイトファング! イグナイトファングマンは意図的にわけのわからなさを込めたいかにもモダンなブンゲイの顔をするイグを許さない。そこにイメージによって描き出される真の美しさはあるのだろうか。キシン流奥義! からのイグナイトファング!

 よくもイグ太郎を死なせてくれたな、イグナイトファングマン。きさまは絶対に許さぬ。行け、デススティンガー!

グループ・I投票先

 このブロックは選択が楽でした。yohクモハ 「信楽焼のたぬきが大活躍する話」一択ですね。これまで頻出してきた内輪、鶏油は論外。ぬるいスープも許さない。純粋にブンゲイ的にイケてる作品を推せるというだけで今日は朝から気分がいい。戦場の空に迷い込んだ鳩を見て今日を生きようという希望が生まれるのだ。

グループ・J

木口まこと「アドリブ1」

 はいはい、イグナイトファングイグナイトファング。イグナイトファングマンは文体による軽率なイグと専門用語を羅列してナンセンスを形成する軽率なイグ、そうしたものを安直にイグと考える態度を許さない。ダウン追撃イグナイトファング。普通に読むのがつらかったんですがそれは……。
 この作品は純粋に存在そのものが下品だな。

海音寺ジョー「仮の宿」

 …………………………。
 いぐないとふぁんぐ。

プリコグたん「新地球党党首・松本美沙子の演説@きさらぎホール2023-10-09(録音からの抜粋)」

 igunaitofangu.イグナイトファングマンは()のなかに込められた軽率なイグ要素を見逃さない。それを際立たせるために作られた長い演説に閉口する。そうした感情の無変換な怒りをイグナイトファング! として外界に放出するのだ。

カズーアス太郎「これで君もアイドルの彼女ができる」

 イグナイトファング! イグナイトファングマンは軽々しく放たれた汚い言葉を許さない。またどこかで聞いたような話をそれっぽく二人称で語る安っぽい男を見逃さない。そしてイグナイトファング! 恥を知れ、俗物!

グループ・J投票先

 みなさん、ごきげんよう。真のイグナティウス・ロヨラMkⅨⅨです。
 前グループで得た気分の良さが全部そがれましたね。
 ここまで読んだ全作品のなかでも最低だと思った木口まこと「アドリブ1」に投票しました。イグの名にふさわしい出来の作品だといえるでしょう。前期イグナイトファング賞を上げます。
 本当は投票拒否しようとしましたが、イグ・ノーベル賞の設立経緯から考えていまもっともイグらしいものを選びとりました。
 それではごめんあそばせ。

グループ・K

栗山心「西行の旅衣」

 すでにイグナイトファングマンの心は通常ブンゲイ的領域で戦う作品に安らぎを覚えるようになっていた。入り口と出口に配置されている老婆の雰囲気がなんとなくイグスタルって感じでイグナイトファン……だけどそれはちょっと軽率で、それは小説的不可思議として読んだ方がまだしもまっとうな読み方だなと思い直すことにした。
 なにか大切なものを忘れたまま取り返しのつかないところまで来てしまった。そうなるともはや誰かが自分を助けてくれることに期待することなどできないのだ。なんとなくそんな筋を感じて、イグナイトファングマンはいま黄昏に目を向ける。朝ですよ。
 これはイグ……うーん。イグブンゲイカウント、ワンスロー!

諏訪靖彦「机の落書き」

 ブンゲイ的にいじめのことについて書いてるしラスト一行が割とふに落ちるところもあって、イグ……って感じではないよなと思った。ラストのわざとらしい強調がイグ……かもしれないと思ったんだけどそうでもなくて。どっちかというと作品内の主人公の考え方のリアリティがどこまでリアリティあんのかなあってことの方が気になってしまったかな。
 小学校四年生くらいの自分はどうだったかなというと、好き嫌いとかをすんなり言えるほどの幼稚さがなくなっていて、でも成長しすぎた子供の知っている単語とかまでちゃんと知悉していたかっていうと微妙だった。いまの子たちはどういう知識体系を持ってるんだろうな。そんなことを考えさせられる掌編だった。
 うーん。だからとりあえずブンゲイカウントシルバーを半分だけ。

阿蒙瞭「小説変態化光線を撃滅せよ!」

 お、これこれ。サービスイグナイトファング! イグナイトファングマンは徹底したパロディの渦とナンセンスな題名に嬉々としてイグナイトファングを放った。実にすがすがしい気分だ。もう一発イグナイトファング! 前グループがひどすぎたからな。だいぶストレスが溜まっていたんだろう。

 イグナイトファングマンくん、どうして最近、私のことを避けるの。ねえ、どうして。もしかして私のこと嫌いになっちゃった? 嫌だよ。私イグナイトファングマンくんともっと一緒にいたいよ。だから持ってきちゃった、バール。イグナイトファングマンくんの両手両足髪の毛一本誰にもあげない。全部全部私のもの。大丈夫、死なせないから。イグナイトファングマンくんは私が守る。えっ、なにあのサソリ。まさか、デススティンガー!?

能美政通「以下、用法・用量を守っておりません。」

(うわ
 よくわかんねえの来ちゃった。途中でちょっと安易に流れなかった? 判定、イグナイトファング! ブンゲイっぽくはあったけどなんだろうね。ナンセンスに寄せようとして寄せてる感じもするんだよな。そのわざとらしさにイグナイトファング! 形態はちょっと詩っぽくもあるけどナンセンスに寄りすぎてしまって、脳内イメージが途中で霧散して、そのあと元に戻らなくなる。妙な作品だったよ。そういう意味では見事なイグだったのかもしれない。ただ肌はイグナイトファング! 寄りの作品だと告げている。こういうとき論理的に説明できないからイグナイトファングマンやってて困ってたりする。おい、早く加勢してくれ。

グループ・K投票先

 めちゃくちゃ悩ましいグループだった。このグループはそれぞれの作品がそれぞれの妙味を持っており、ブンゲイ的にイケてる感じがするものもあればナンセンスすぎてブンゲイとしてはどうか……というものもあり、イグとブンゲイの狭間で悩むという贅沢を味わわせてくれた。安易なイグに流れる下品なイグブンゲイファイターはこういうブンゲイファイターを見習ってほしい。
 最終的に二択で悩んだのだが栗山心「西行の旅衣」に投票することとした。やはりここにきて物を言うのはブンゲイチカラの高さに他ならない。イグの力によってブンゲイ的強度を保とうとするものと、ブンゲイの力によってイグを達成しようとするものとの間には絶対に埋まらない差が存在する。なにしろここはイグブンゲイファイトクラブだからな。それにこの作品は割と自然発生的イグというような感じも持っていたりする。ちょっとこの先の展開に希望が持てるかもしれないね。

総評

 イグナイトファングマンに放たれた刺客、デススティンガー。イグ宮はこれに勝ちイグナイトファングマンを守り切れるのか。イグナイトファングマンは今日も朝食の笹を探して町を歩く。あの竹林から竹が公道に転がり出してはくれまいか。
 本日のグループは非常に極端な構成になっていて、ブンゲイ、(唾を吐く音)、ブンゲイという感じで、ブンゲイによって(はかいこうせんのSE)がサンドイッチされているという感じだった。投票拒否しようかなと思わせられる部分もあったが、そこはイグの精神に立ち返って対処するという形にした。これまでの環境の動向を見る限り票の捨て方はなんとなくわかっていたし、投稿した結果も見えたのでひとまず安心している。
 だがイグナイトファングマンはそうした守りの姿勢を許さない。イグナイトファング! ぐあっ。

 デススティンガーの荷電粒子砲に耐えられるバールがあるとしたら、それのことをバールバティと呼ぼうと思う。
 運営は仮面ライダーネタを使った。
 Not even justice, I want to get IG.
 明日も更新できるか不安で吐きそう。

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