北野映画から感じる無
『首』を観て以来、俄然興味が湧いたのをきっかけに、このところ、北野武監督作品をレンタルして観ています。
まだ全ての作品を観たわけではなく、観たのは以下。
『その男、凶暴につき』
『3-4×10月』
『あの夏、いちばん静かな海』
『ソナチネ』
『キッズ・リターン』
『HANA-BI』
『菊次郎の夏』
『BROTHER』
『座頭市』
『アウトレイジ』シリーズ
死という最大の暴力(もしくは救い)、そして無が醸し出されている映画でした。
(ただし『菊次郎の夏』と『座頭市』、『キッズ・リターン』には、あとは『BROTHERS』にもあまり感じなかった)
『その男、凶暴につき』
北野武監督の最初の作品です。
なるべく順にと思っていたので、これから観ましたが、正解だった気がします。
どんなに今日まで積み上げてきたものがあったとしても、鉛玉ひとつで急に無になる突然さ。
薬漬けにされ輪姦された知的障害者の妹を撃つシーンは、なんとも言えない無がただよっています。
後半、主人公はほとんど台詞がなく、特に説明もない、不気味な雰囲気の画が支配します。
すでに、北野映画に特徴的な性格が見られるのを感じました。
『3-4×10月』
一見するとわかりやすいのですが、ラストシーンで印象が全く逆になってしまう映画でした。
一体、どこからどこまでが現実だったのでしょうか。
個人的には、この映画の武さんの役が、他の作品のに比べて一番と言っても過言ではなくワルでした。
『ソナチネ』
北野監督の映画の中でも知名度が高い作品です。
物語の点と点を結んで観るなら、ストーリー自体は単純ですが、点の間の過程がメインと言ってもいいと思います。
『その男、凶暴につき』で主人公が果たせなかった自分の最期を、今度はしっかり果たせたんじゃないかと思うエンドでした。
『HANA-BI』
個人的には特に面白かったです。
生と死の表裏一体な様が色濃くて、シーンを通して転回し、どちらもが浮き彫りにされています。
気分的には、観終わった後にスッキリする感じでした。
『BROTHER』
「Brother(兄弟)」はいろいろかかってます。
外国人をキャストに起用したことで、いつもとは違う雰囲気になっています。
印象的なのは、イタリアンマフィアとの抗争が始まってすぐあたりの空気感。
無になっていく過程を予感させます。
『アウトレイジ』シリーズ
一番アクション映画っぽい印象。
第一弾の『アウトレイジ』は、他の作品でも感じるようなにおいがありましたが、それ以降のものは結構派手な感じでもあったので、他の作品に比べると死とか無をあまり感じませんでした。
(もちろんたくさん死にますが)
『アウトレイジ ビヨンド』の塩見三省さん演じる中田が好きです。
以上の作品は、総じて生と死とか、無とか、そういうものに興味がある方にはオススメできると思います。
暴力的なのがちょっと…という方には、特に『キッズ・リターン』が面白いかと。
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