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【スタートアップ!占い師】#29 「占いのアピールにカードの絵柄をネットに載せちゃえ!」……って、それ許可とった? 占い師と知的財産① 知的財産の基本①

 自宅で占い師の活動をしているさくらさん。
 自分の占いのアピールとして、SNSで三択占いを行おうとしています。
 SNSで他の占い師さんたちがやっているところをみて、「自分も!」と、思ったのでしょうね。

 タロットなどの写真を載せ、「どれにしましたか?では、みてみましょう」と占いの結果を展開していく、SNSでの占い。ブログやYoutubeでもよくみかけますね。
 でも、ちょっと待ってください!
 それって、カードを描いた人やカードの出版社に黙ってやってもいいものなのでしょうか。みんながやっているから、大丈夫?ほんとうに?

 今回は、知的財産についてお話していきます。
 法律の話もめちゃくちゃ難しく、難しい文章アレルギーを起こされても困るので、 今回も帳簿や特商法などの回同様、必要最低限のところだけをピックアップして、めちゃくちゃ噛み砕いて書いていこうと思います。
 これも大事な話なので、無料です。
 (経験に基づく情報は有料記事にしております。無料記事が続いておりますが、いつも無料ではないです!ご理解くださいませ!)

※あと、今回はまだタイトル本題には触れていません。タイトル詐欺みたいな感じになってしまってすみません!ですが、大事なことを書いています。読んでいただけると嬉しいです。


知的財産とは?

 まず、知的財産とはなんでしょう。
 知的財産とは、財産的な価値があるアイデアや創作物などのことをいいます。人が生きる上で役立つ技術から文化的なもの、映像からネットの文章まで、ジャンルや種類はさまざまです。

知的財産権とは?

 知的財産の中にも、法律的に保護される権利をもつもの、かつ、知的財産を出願者や作者が独占したり使用許諾を出したり、法律的に保護される権利を行使できる権利(「著作者が『この作品は著作権があるから、君たちがうちの作品を使っちゃいけないよ』と注意できる」といったケースなどですね)をもっているものには「知的財産権」があります。
 
 知的財産権には、以下のものがあります。
 それぞれの保護期間もあわせて書いておきます。

  • 特許権……登録後20年

  • 実用新案権……登録後10年

  • 意匠権……登録後25年(2020年3月31日以前の出願は登録から20年)

  • 商標権……登録後10年

  • 著作権……創作時から著者死後70年(登録の必要なし)

  • 不正競争の防止……永続。登録の必要なし

  • 育成者権……登録後25年。樹木は30年

  • 地理的表示法……登録後、取り消されない限り存続

  • 回路配置利用権……登録後10年

  • 商号……商号を取り消すまで永続

引用サイト

知的財産権、具体的にはどんなもの?占い師の仕事と関わりがあるの?①

 本題を少しずつ、話していきます。
 知的財産権、具体的にはどんな法律なのでしょうか。これらは占いの仕事と関わりがあるのでしょうか。

 なお、ここで挙げるものは、現在の法律等各サイトを調べて書いている内容です。確実性を求めるのであれば、弁護士さんや弁理士さんに直接ご相談いただければと思います。

特許権

 特許法は発明を保護する法律であり、「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいいます。

 自然法則とは、自然界において経験的に見出される科学的な法則をいいます。ゲームのルールや計算方法は自然法則になりません。技術的思想とは、誰がやっても、繰り返し行っても、誰かに伝えても全く同じ結果になる技術のことをいいます。
 ホロスコープや命盤による占いは計算方法による導き出しですし、カード等で出す占いの結果は変則的です。相はいくらでも変えられます。占い師による占いの見方は人によって変わるので、「発明」とは呼べません。
 よって、占いと特許法の関わりはほぼありません。
 特許権を得るには特許出願をし、国からお墨付きをもらう必要がありますが、自分のオリジナル占いで「占いで特許をとろう!」と出願しても特許をとることはできません。
 もし、占いで特許がとれるとすれば、占いを計算で導き出し、何種類かの言葉の組み合わせによって結果を導き出す「プログラム」や「ソフトウェア」の部分でしょうね。

実用新案権

 実用新案権は、特許のレベルまではいかない、ちょっとした発明やアイデアの保護の法律です。こちらも出願をしてOKをもらわないと、登録できないものです。

 これも占いが第二条に該当しないので、関わりはほぼありません。
(実用新案に当てはまりそうなものなら、例えば「一枚引きができるカードケース」とか「開運眉の形が確実に描ける眉プレート」とかだったら……実用新案登録の出願はできそうですが、登録できるかはわかりません)

意匠権

 意匠権は、もののデザインを守るための法律です。デザインは、ものの形から絵柄、アプリのデザインまで多岐にわたります。こちらも、登録するには出願が必要です。
 自分がデザインした占いグッズは意匠登録に出願できます。といっても、占いグッズのアートワークそのものは意匠ではありませんので、出願は拒絶されます。出願できるのは、占いチャートシートや占いカードといった「実用性のあるデザイン」になります。それも、どこにも(リアルもネットも)公開されていない、まっさらな新規のデザインに限ります。
 他の方が意匠登録されているデザインと同じデザインの占いグッズやツールを制作したり、それを販売すると意匠権侵害となります。占いグッズやアプリなどのデザイン制作をする占い師は、作ろうとしているものが、誰かの意匠登録と被っていないか気をつけないといけません。

商標権

 商標とは「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」とあり、ネーミングや何かの目印、商品などにつけるマーク、社名のロゴなどの標識のことを指します。最近は、画像が変化する商標、包み紙などの色彩のみからなる商標(「鬼滅の刃」の羽織の柄が商標登録されましたね)、音の商標も登録できるようになりました。
 占い業界での商標登録はよくみかけます。占い館や事務所の商標登録はもちろん、占い師の名乗り(二つ名)、占い資格の名前、オリジナルの占いグッズの名前などです。特許ではとれないオリジナル占いを、この商標登録をして誰にも名乗らせないようにする……というのも可能だったりします(とんでもねぇな)。
 登録している側は「自分以外は誰にも使わせない」ので仕事に有利に働きます。
 その一方で、ありふれたネーミングが商標登録されていると、多くの占い師は名乗りに苦しみます。特許サイトから抜粋すると、名乗りや占術に使いそうな「占いカウンセラー」「パワーストーン占い」「イーチンタロット」「タロット鑑定士」「愛され占い師」は商標登録されており、出願者の許可なしに使うことはできません……。
 活動をする際に、自分が使おうとしている名前や名乗りはよく調べておいたほうがよさそうです。
 
 次回に続きます。

引用サイト

特許庁

経済産業省 北海道経済産業局

日本弁理士会

特許実用新案・意匠・商標を調べたい方はこちら


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