あなたは何も悪くない

パワハラに耐えつつ、何とか仕事をしているうちに、

もう何もかもどうでもいい

とふっと思い、欠勤の連絡をして休みました。
どうでもいいと思いながらもきちんと連絡をしてしまう自分の真面目さが滑稽だなと思いますが、性格なので仕方ありません。

最初は仕事に行けない自分を、パワハラに負けてしまった自分を責めていましたが、考え続けているうちに休んだことで今日はどんな酷いことをされるんだろうという怯えと緊張感から解放されたのか、本当に久しぶりに爆睡しました。

目が覚めると、悩みや苦しみが詰まり発酵し続けた脳に隙間ができたのか、鉛のように重かった頭がほんの少し軽くなったような気がしました。

これなら動けると思い、精神科数軒に新患で受診希望の電話をしましたが、ことごとく新患は現在受け付けていませんと断られてしまいました。

以前勤めていた精神科に今度は患者として通うのは考えられず、ここでダメならもう諦めようと思って連絡した先でやっと予約がとれました。

診察室に入り、驚きました。
以前勤めていた精神科にも時々フリー勤務で来ていたY先生がいました。
どの病院にも属さず病院を転々とするY先生はあの病院の中では、例え精神に異常をきたした患者さんでも、ひとりの人格をもった人として対応するまともな先生でした。

以前は事務として、今回は患者として再会した私に、Y先生は親し気にすることはありませんでしたが、私の症状とその原因を聞き、休職の為の診断書を書いてくれました。

そして、最後に

「これは医師としてではなく、私個人の意見だから治療と関係なく聞いてね」

と前置きをしてから

「あなたは一生懸命に働いていただけじゃん。本来の自分の責務以上のものを背負って頑張ってきたんだから、あなたは何も悪くないじゃん」

と砕けた感じで言ってくれました。

私は涙が止まりませんでした。

パワハラに遭わない人もいるのに、その標的になってしまった自分に落ち度があるんじゃないかと心のどこかで自分を責めていたのだと、Y先生の言葉で気が付きました。

そして、Y先生が治療の為ではなくY先生個人の見解を私に伝えてくれたことで、私は自分を責めなくていいのだと認めることができました。

人の心は不思議なものです。
パワハラやいじめなど、第三者の目でみたら絶対的にやっている方が悪いんです。
でもそれをされる側の当事者となり、毎日毎日自分の存在を全否定され続けると、そんな仕打ちをされる自分が悪くて、自分の存在など無価値なものだと考えるようになってしまうように思います。

Y先生に会わなかったら、もしかしたら私は今こうして笑顔で仕事をする日々を送れなかったかもしれません。

今もパワハラやいじめを受け、自己否定の気持ちに苛まれている人達が多くいると思います。

そんな人達に

あなたは何も悪くない

どうか、この言葉が届きますように

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