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こまかい雨と、甘い緑

朝、あまりおなかがすいていなかった。 
眠いほうが勝ってる。

部屋は静寂につつまれ薄暗く、窓の外にこまかにふる雨の音が、やわらかく耳を打つ。

なんだかこの頃よくあることで、
こういうときは、たぶん無理して沢山たべないのがいちばんいい。

とりあえず、ひとつ目玉焼きを焼いて食べた。でもあともうすこし何かたべないといけない気がする。

そう思っていたところに、
母がメロンあるよといってくれた。

メロン、と聞いてその日初めて、何かに対してたべたい気持ちが湧いた。

みるからにやわらかそうな、おおぶりのメロン。かすかに透き通る緑の肌には、染みだすような果汁が滲み光っている。

メロンのそのやわらかく光る肌にフォークをつきさし、ひとつ口にいれた。

まだひやしていないそのメロンは、しかしとてもやわらかく甘く、たちまち口を甘くてたっぷりとした果汁で溢れさせた。ぺろりとたいらげてしまう。しあわせ。

目覚めがけの自分のお腹と心を程よく満たし、心地よくしていただいた。

今日もがんばろう。
でもほんとうは、まだ眠い。



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