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『インフルエンサーマーケティングが終わり、コミュニティマーケティングに主戦場が移っている。』

以前、けんすうさんが、このようなことを仰っていました。

これはどういうことか、整理してみます!


コミュニティマーケティング

コミュニティマーケティングとは

まずは、コミュニティマーケティングの説明から。

コミュニティマーケティングを一言で表現すると「ファン同士のコミュニティを通じて、好きをより深めたり、新規顧客を獲得したりする、マーケティング手法」といえそうです。

コミュニティマーケティングによって、事業者が得られるメリットは大きく2点あります。

  • ファンの愛情がより深いものになる

  • ファンが積極的に新しいファンを獲得する

メリット:愛情がより深いものになる

「愛情がより深いものになる」のは、わかりやすいですよね。
好きな事についてファン同士で語りあうことで、その愛情を確認して盛り上がります。

そのモノにかけた時間が長いほど、愛情が深くなりますからね。

さらに、ファン同士のやりとりの中で、イベントや新商品の情報を交換しあうこともあります。
その情報を知った人は、推し活が加速しますし、情報提供する側も、積極的に調べるといったことも起こります。

これが、さらに愛情をより深くしていきます。

メリット:積極的に新しいファンを獲得する

「積極的に新しいファンを獲得する」のは、推し活における布教活動ですね。

人って、感動や好きを伝えて、共感してほしい生き物ですよね。

「このアイドルがなぜ素晴らしいのか」とか「この商品がめちゃくちゃよかった」とかを語りたい。
そして、可能であれば、共感しあえる仲間がいてほしい。

そういった感情のもと、自分の推しを周囲に発信していきます。
この発信を口コミといった形で受け取った人が、やがて新しいファンになっていきます。

インフルエンサーマーケティングとファンマーケティング

ここで、SNSが登場してweb2.0と言われた中で、発達してきたマーケティングについて見てみたいと思います。

  • インフルエンサーマーケティング

  • ファンマーケティング

これらと比較することで、コミュニティマーケティングの理解がより深まるかなと思います。

インフルエンサーマーケティングとは

SNSを皆が使うようになった中で、個人が影響力を持つようになり、インフルエンサーと呼ばれる人たちが出てきました。
このインフルエンサーの発信力は非常に強くって、SNSでフォローしている人に強い影響を与えます。

そこで、商品を広めたい企業が、インフルエンサーにお金を払って商品の宣伝をしてもらおうと考えました。
これがインフルエンサーマーケティングですね。

インフルエンサーマーケティングは、「インフルエンサーが信用を失うリスク」を抱えています。

本人が本当にイイと思ってないことを、これはイイものだよ発信すると、嘘をついているっぽくなってしまいますもんね。
イイと思ってるものだからこそ出る熱量、のようなものが無いため、フルパワーで推すことができません。

さらに、その商品に何かしらの問題があった時に、オススメしていたインフルエンサーにも飛び火する可能性もあります。
そのリスクを鑑みて、情報発信の依頼を一切受けないインフルエンサーもいらっしゃいます。

このように、インフルエンサーマーケティングには構造的にスケールしずらい課題があります。

ファンマーケティングとは

インフルエンサーはその影響力を活用して、新たな事業を始めるケースや、企業とコラボして共同開発をするケースも増えてきました。

ファンが、これらのプロダクトや事業を熱烈に支持して購入に至るわけですが、その売れ方の凄さによって社会に広く認知されていきます。
ニュースになったうえ、テレビ出演するケースも増えています。

このようにファンの熱量が社会に溢れ出して、大きな流れを生むことをファンマーケティングと言えます。
インフルエンサーマーケティングと異なり、発信者がプロダクトに大きく関わるため、熱狂を持っている所が大きな特徴です。

ファンマーケティングの難しさは、プロダクトオーナーに強烈なカリスマと発信力が必要な点です。
YouTuberであれば毎日更新をするような、気力と体力が必要です。

この手法は、例えば漫画家やイラストレーター、あるいは、マーケティング担当者にとっては、大変すぎる方法になります。
限られた人だけが使える、究極奥義と言えそうです。

コミュニティマーケティングの特徴は

コミュニティマーケティングは、ファンマーケティングの熱量を人為的に再現する試みと言えます。

インフルエンサーマーケティングでは、熱量が出ない。
ファンマーケティングは、ものすごい熱量がでるが、再現性が無い。

コミュニティマーケティングでは、強烈なカリスマ性と発信力ではなく、ファンコミュニティという集団の中の熱量を使います。

ファンコミュニティは、必ずしも巨大な人数を抱える必要はありません。
「狭いけれど熱狂的なコミュニティ」が重要です。

一体感だったり、コンテキストの共有だったり、「このプロダクトは自分たちが関わってるんだ」と思えることだったりが大切です。

では、そのような熱狂的なコミュニティを作るには何が必要か。
その取っ掛かりになるのが、「トークンコミュニティ」です。

トークンコミュニティ

トークンコミュニティとは

では、トークンコミュニティは何かというと、コミュニティ内通貨である「トークン」が流通しているコミュニティです。
トークンは独自通貨のようなもので(厳密には通貨じゃない)、コミュニティのメンバー同士で受け渡しをしあったり、日本円と交換したりできるものです。

使い道としては、例えば「Aさんが役立ち情報を教えてくれたので5トークンを渡す」のようなことが、コミュニティ内で行われています。
これだけだと、マーケティングと関連するのか分かりづらいのですが...

実際には以下のようなマーケティング施策が行われています。

  • このXの投稿をリポストした人にトークンプレゼント

  • アカウントのアバターを◯◯にした人にトークンプレゼント

  • プロダクトの魅力を考えてXに投稿したら内容にあわせてトークンプレゼント

  • ファンアート企画を開催して上位入賞者にトークンプレゼント

例えば金額換算してみると、1トークンが日本円で数十円だとしたときに、100人にリポストしてもらっても数千円です。
シンプルに企業活動で考えたら、めちゃくちゃ安いですよね。

しかしこのパワーの真髄は、「金銭コストとして安い」ということよりも、その熱量にあります。
濃いファンが、トークンという媒介物を持って、高い熱量を維持したままマーケティング活動に参加してくれるわけです。

本当にイイという確信がある人だからこそ、出せる熱があります。
特に「プロダクトの魅力を考えてXに投稿」みたいなものにおいては、圧倒的な質の違いが出ます。

トークンコミュニティ以前

トークンコミュニティ以前では、「プロダクトの魅力を発信」を誰かに依頼する場合、以下のいずれかでした。

  • お金を支払ってプロに発注

  • ファンが自己犠牲のもと実施

わかりやすいのは、プロのライターさんに発注するといったものです。
プロゆえに、難なく処理してはくれますが、あくまでもお金の範囲内のものになります。
「異常な熱量を持った文章」はコスパが悪すぎるため、構造上、プロへの発注では起こりえません。

「以上な熱量を持った文章」は、熱狂的なファンが作り出します。
それは、場合によっては推しやプロダクト開発者に見られることもあるでしょう。
しかし、金銭的に報われたり、栄誉を受けることはほとんどないでしょう。
基本的には自己犠牲的で、やりがい搾取的な構造となります。
ここでファンに金銭を渡してしまうと、色々とナマナマしくて、こじれたりトラブルに繋がったりもします。

これらのことから、トークンコミュニティ以前では、誰かを巻き込んだ発信には、構造上、ブレーキがかかるようになっていました。

トークンコミュニティにおけるインセンティブ

一方、トークンコミュニティにおいては、トークンを用いてインセンティブを支払えるようになりました。

このトークンは、いくつかの使いみちがあります。

例えば、「1000トークン持っていたら特定のコンテンツが開放される」や「1000トークン持っていたらプロダクトの先行購入ができる」のような権利の提供ができるようになります。
ファンにとって嬉しい権利なので、これらを目的にして、コミュニティ内で活発に活動して、トークンをたくさん貯めようという動きが出てきます。

あるいは、ファン同士の間で「コミュニティにとって望ましい行動」に対してトークンをプレゼントしあうことが起こります。
その結果、コミュニティ内の活動が活性化され、アクティブなユーザーが増え、いざ何かのマーケティング施策を行いたいとなったときに協力状態になりやすくなります。

さらに、コミュニティの活動が活発化し、プロダクトの人気が高まると、トークンの人気(需要)があがって、結果的にトークンの価値が高まります。
トークンは日本円と換金可能なので、プロダクトが成功するほどに、所有しているトークンの金融商品としての価格もあがっていく構造になっています。

ファンからしたら、推し活的な行動の結果が、トークンという目に見える形でストックされていきます。
かつて、推しの為に投下した時間やお金は、(思い出になる以外は)ただただ消滅していったわけです。
それが、トークンコミュニティにおいては、推し活をした分だけ、トークンという新たな価値に変換されていきます。

つまり、プロダクトの成功と、ファンの活動が、同じ方向を向きやすくなる構造になっているのが、トークンコミュニティと言えます。

FiNANCiE

トークンコミュニティの多くは、FiNANCiEというサービスで運営されています。

けんすうさん、箕輪厚介さん、イケハヤさんが参加したことで、一気にユーザー数を伸ばしています。
プロサッカーやプロバスケのクラブチームのプロジェクトも、盛り上がりを見せています。

WEB3のプロジェクトにおいては、「FiNANCiEを使っていない」ということがネガティブな評価に繋がっているほどです。

このFiNANCiEを使って、トークンコミュニティを運用することが、コミュニティマーケティングを回すための第一の選択肢と言えそうです。

まとめ

ここまでで、コミュニティマーケティングの強みと、それを実現するためにはトークンコミュニティが重要、というお話しをしました。

トークンコミュニティを、どのように運用していくと良いのかというノウハウは、様々なプロジェクトが試行錯誤をしている最中です。
であればこそ、トークンコミュニティに実際に参加して、どのような実験が行われているのかを体験することが重要でしょう。

少しでも興味を持っていただけた方は、まずはFiNANCiEで何かしらのコミュニティに参加してみると良いかなと思います。
個人的なオススメは、けんすうさんがオーナーをされている sloth with creators (SWC) というプロジェクトです。

トークンコミュニティ自体をメタ的な視点で観察し、実験する試みが数多くされています。
コミュニティマーケティングを見据えて学びを得たい方にとっては適切な環境だと思います。


...ということで、『インフルエンサーマーケティングが終わり、コミュニティマーケティングに主戦場が移っている。』というお話しについての理解を書いてみました。

コミュニティマーケティングやトークンコミュニティに興味を持った方の参考になれば嬉しいです。


※カバーアートの生成にはChatGPTを利用しています


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