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ネタ帳のすゝめ(受験の作文問題に向けて)

 こんにちは、上田です。UEDA塾へようこそ。

 中学受験や高校受験の際に作文を書くことが多くなり、それに伴い、受験生は自分なりの考えを持つことを求められるようになってきました。なれないうちは、それは答えがない問いに対する答えを探すような行為で不安も付きまといます。これまでも、お子様が「自分の意見をもつこと」ができず困っているというお悩みを、保護様から相談されることが何度もありました。今回はそんな時に、僕が生徒さんと一緒にやっていたことを書いてみようと思います。

 まず最初にお断りしておきたいのはお子様が「自分の意見をもつこと」ができないとしても、それはそのお子様が成長の過程にあるからで、言い換えれば、いずれは自然に解決する部分も多いと言うことです。例えば中学受験を目指す多くの小学6年生が、まだそういう状態にいるはずです。
 かと言って受験を控えている場合、ただ脳の成長を待つというわけにもいかないと思いますので、僕が受験生をお受けしていた頃にしていたことなど書かせていただきます。

「意見がない」と子ども達が言う場合、僕が見てきた中では、本当に分からない場合と、経験不足からどうして良いか分からないだけと言う場合があります。たまにそのどちらでもない、全く失敗を恐れることなく思いつくままにとにかく何でも答えてみる、という素晴らしく柔軟性のあるお子様はいましたが。(もちろん、その答えが的を得ているかは別問題です。)

 多くのお子様の場合、間違っているかもしれないと感じたまま発言するのは嫌だなぁと感じる気持ちがあり、それがすぐに意見を思いつけない、あるいは言えない理由になっているのではないでしょうか。

 このような状況にあるお子様と一緒に勉強する方法として、僕が受験対応をしていた頃にやっていたことを以下にご紹介します。

「こんな考えもあるよ」「なんだ、そんなのでいいの!」を繰り返す。

 まず、とても地道なのですが、新しい問題に出会うたびに僕なりの正解例を示して納得してもらって、「ああ、そう言うのでいいんだ。」という経験を増やしていきます。それがテストの問題なら解答例を示し、それを噛み砕いて解説して、本人の考えとなる(あるいは反発しつつ理解するだけの場合もあります。)ところまで落とし込みます。

 例えば本を読むことの良い点を問われたのだとしたら、
・知識が増える。それによって、いろんな発想ができるようになったり、他者を理解できるようになる。
・自分では行けない場所や時代に行くことで、未知の経験ができる。人生観が変わる。
などなど、答えは一つではないのですが、その都度こういう考えもあるよと伝えてあげます。そして、それだけで終わらず、じゃあ、あなたならどう思う?という形で、この段階では稚拙でも良いから本人の言葉で言える意見を引き出す作業をします。ただ、ここでよく面倒臭い問題が起こりまして、「でも、私はそんな風には思わないもん!」てなことを言って、大人風の考え方を突っぱねるお子様もいらっしゃいます。そうなるととても難しいのですが、そこはもう受験に受かるために割り切ってもらい、反発しても良いから知識として持っといてくれと言うか、本人が納得するまでディスカッションを続けるか、ケースバイケースでした。
テスト問題や、学校での話題など、うまく考えがまとまらなかった事柄があるたびに、これをまずは繰り返していきます。

専用のノート(ネタ帳)を作る!

 次にお勧めしたいのはこれらのことを一冊のノートに書いていくことです。まとめると言うよりは、蓄積していくイメージです。ノートに書くときには、特にジャンル別に整理することもなく、とにかく書いていきました。僕らはこれを「ネタ帳」と呼び、時には作文クラスで作文を書く時にもそれを眺めて書いてもらったりもしていました。
 だいたいこのノートは受験の半年くらい前から、つけてもらっていました。テストで作文の問題があった場合は必ず、お題とそれに対する考えをメモっていくようにしていると、それだけでも受験の頃には結構な知識になっています。
 また、このノートは面接で聞かれそうな質問と答えも書き込むようにするとさらに役立つものになると思います。

ネタを現在・過去・未来にまとめる

 さらに次の段階、これは受験直前ですが、ノートの内容を現在・過去・未来に分けて整理して書いていきます。

現在というのは、本人の信条、尊敬する人、価値観、いじめの対処法、家族のありがたさ、親に感謝する理由、などなどです。前述の読書の良い点もここに入ります。
過去という中には、小・中学校で学んだこと、嬉しかったこと、など様々な経験(つまり過去の出来事)とそれぞれに対する気づきや考えが入ります。
未来には、中学校・高校でやってみたいこと、勉強したいこと、自分を合格させることで学校側が得られるメリット、将来の夢などが入ります。

 この作業を通して、これまでにはあまり向き合ったことのない少し堅苦しい考えについて、ある程度の知識を増やしてあげることができ、少しずつですが、そこにないものでも考えやすくなります。本を読むことの価値を考えたことがある人の方が、勉強することの必要性を問われた場合にも答えられる可能性が高くなるというようなイメージです。

まとめますと

①テスト問題など気になる問題、答えられない問題に出会うたびに考え方の例を示してあげる。それについて自分の言葉で話せるようにする。
②日頃から①のような問題に出会うたびに1冊のノートに書いてゆき、自分の「ネタ帳」を作る。この段階ではネタを蓄積していくイメージで。
③ネタが溜まったら現在・過去・未来に分けて整理する。

 気をつけていただきたいのは、このノートは暗記のためではなく、考えるトレーニングのためのものだと言うことです。それによって、ノートに書かれていない問題に出くわしたときに、「ああ、これ知ってるやつ!」と感じることができ、落ち着いて考えることができるようになります。暗記に頼っていると、全く同じ問題以外は知っている問題と感じることができなくなり、応用が利きません。それでは何が問題に出るか分からない受験では役立ちません。

 様々な話題について考えているうちに、それぞれの話題を分類ごとに分けたり、共通点を見つけたり、抽象化したりと言う作業ができるようになることを目標にしています。

 以上、僕の経験の中からお役に立てそうなことを書かせていただきました。少しでもお役に立てば幸いです。

上田

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