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海外の写真賞、ハードル高いなあ…問題。

こんにちは。フォトグラファーの櫻井 充です。
こちらの写真は昨年、IPA(International Photography Award)
の Industrial Architecture部門で1位を受賞した際に現地NYで
撮っていただきました。

海外の写真賞に応募してみようかな…

そんな気持ちを持つカメラマンの方はプロ、アマ、学生さん限らず
いらっしゃるかと思います。

興味はあるけど、ちょっとハードル高いなぁ。
と感じる方も多いのではないでしょうか。

実は、海外の賞に応募することって、そんなに難しくありません。
写真データもオンライン上で提出できますし、
英語が苦手な方でも何とかなります。
(かく言う私も、英語はど素人の人間です…)

少しでも皆さんにお役に立てればと思い、
海外の賞に応募したことのある経験から応募する際のちょっとした心構えと
ポイントをまとめてみました。
※あくまでも、私自身の経験を元に、海外の賞に初めて応募する方を想定して
書いております。最新の賞などの情報はご自身で確認してください。

最後までお読みいただけますと幸いです。

賞は受賞することが目的ではない。

と思っています。

「え?いきなり、どう言うこと??」と思いますよね。

もちろん受賞するに越したことはありません。
私も受賞した時は、こんなに興奮してました。
その時の記事がありますのでよろしければ読んでみてください。
取り乱していますので。。笑


…いやいや。こんなに受賞したことを喜んでるじゃないか。。と思いますよね。

私は、賞を自分の作品制作のサイクルとして利用しています。

この記事をお読みの方は、ほとんどは作家さん
(写真を作品として売って、それだけで生計を立てている方)
ではないと思います。

写真以外にもお仕事があったり、写真を生業にしていても、
商業写真などで身を立てている方がほとんどではないかと思います。

そうすると、圧倒的に「作品としての写真」づくりをする
時間の確保やモチベーション維持が難しいですよね。

そこで、私は賞を作品制作のサイクルづくりとして利用しています。
名の知れている賞は毎年締め切りの時期が決まっています。

例えばですけど
私が昨年、受賞したIPA(International Photography Award)は夏。
https://www.photoawards.com

Sony World Photography Awardsは冬。
https://www.worldphoto.org/sony-world-photography-awards

などなど、他にも載せきれないほどあるので一度調べてみてください。

ですので、自分が応募してみたい賞の時期を調べて、
その賞の締め切りを自分の作品制作の締め切りにして制作を進めていくと、
モチベーションが保ちやすいです。
(締め切りは現地時間なので注意が必要です。ギリギリだと締め切り過ぎてた…
なんてこともあります。)

でも、どんな賞があって、どれが自分の作風が合うか分からないよ…

という声が聞こえて来る…そこで、次のポイントです。

ヒントはWinnersページに隠されている!!

そうなんです。すべては、その賞のWinnersページに隠されています。
Winnersページって何??と思う方もいらっしゃると思います。

スクリーンショット 2020-08-05 13.48.58

IPA(International Photography Award)のトップページ↑

スクリーンショット 2020-08-05 13.56.27

Sony World Photography Awardsのトップページ↑

と、賞のページによって、さまざまな場所にあります。
見つからなかった場合には
「コマンド+F」でそのページの文字情報を検索するボックスが出て来ますので
そこに「winners」と入れてみてください。

Winnersページには、過去の受賞作品が載っています。
これは、いわばその賞の過去問の解答のようなものです。
どのような作風の作品が受賞しているか、覗いてみてください。

そして、このWinners 作品の中に自分の作品が入っているイメージが
できたら、その賞に応募してみてもいいのではないかなぁと思います。

「え?そんなに簡単に決めていいの?」と思われるかも知れませんが
海外の賞は同じ作品を毎年毎年出し続けても、基本的には問題ないことが
多いです。
また、例えばAの賞に出した作品をBの賞にも出しても問題がないことが
多い。(詳しくはその賞のルールを読んでみてください。大抵は大丈夫。)
※ちなみに例に出したIPA(International Photography Award)は大丈夫ですが、
Sony World Photography Awardsは未発表作品に限られています。

ここが日本の写真賞と大きく違う点じゃないかなと思います。
日本の写真賞は、他の賞で受賞したものや発表したものは
出していけないものが多いと感じます。

ですので、イメージがついたらまず出してみましょう!


もちろん、このWinnersページだけがその賞の特色を捉えているわけ
ではないです。

毎年、審査員も変わりますので、そのことも影響してきます。
審査員の来歴まで調べ始めてもいいのですが、そこまで皆さん時間がないと
思いますので、ひとまず、審査員に関してはそこまで気にしなくていいのでは
ないかと個人的には思っております。
(もし、受賞した際には、審査員のことをよく調べてもいいと思います。
ここについては、機会があれば書こうと思っています。)

英語問題。

ここが大きなネックになっている方も多いのではないかと思います。

賞のルール、決まりなどを知るには、Google翻訳で十分です。
すべてコピー&ペーストで翻訳して、意味を理解してください。

問題は、作品のステートメント(作品の要約文)になるかと思います。

ここも、答えは過去問(Winners)にあります。
自分が出したい賞のカテゴリーの受賞者がどれくらいの文字数で
書いているのかをチェックしてみてください。

スクリーンショット 2020-08-06 13.15.38

IPA(International Photography Award)の
昨年2019のArchitecture(建築)部門の1位の作品。

スクリーンショット 2020-08-06 13.20.43

Sony World Photography Awards 2020 のArchitecture & Design部門
のShort list(最終候補)に選ばれている作品の一つ。

こう見比べてみると文字数が、かなり違うと思いませんか?

そうなんです。賞の趣旨によっては、
その被写体の背景や歴史事実を説明した方が評価されるものもあります。

逆にステートメントをほとんど書いていない作品が受賞作品に
多くある賞もあります。

これは、賞の成り立ちとか趣旨とか、どこの国が主宰しているとか
様々な要素が絡んできていると思うのですが
だいたい過去3年分の受賞作品をみて、その雰囲気を自分で掴んでみてください。

雰囲気が掴めたら…
まず日本語で自分の作品について書いてみましょう。
すでに日本語で書いたことのある場合はそれを使います。

日本語で書けたら、その文章を翻訳アプリに入れてみます。
私のお勧めはDeepLです。

Google翻訳は作文には適していないなぁ。と感じます。
かなりトリッキーな文章になってしまいますので…
DeepLはより自然な文章になるなという所感です。

最後にできれば英語圏の外国人のお友達や、英語が堪能な日本人のお友達
(写真詳しくなくても全然OK)に一度読んでもらうことをお勧めします。
私はいつも友人のイギリス人フォトグラファーに見てもらったり、全然写真
とは関係のないアメリカ人の知人に見てもらったりして英語のステートメントを
完成させています。

少々、つたない英語でも大丈夫です。Winners作品を見ていると、
そんなに難しい英語で書いていないものも多々あります。

後は、賞のサイトで会員登録をして、写真のデータのアップロード
(データの大きさの規定などはご自身で賞のルールを確認して
注意してあげてください)、ステートメントなど必要事項を記入をしておしまい!
(ちゃんとエントリーされているかはしっかり確認してください。
日本のサイトと違い、分かりにくいものも多々ありますので…)


受賞した場合には、個別でメールが来ることがほとんどですが
念のため、結果発表日をGoogleカレンダーなどに入れておいて忘れないように
しましょう。その日にHPにアクセスするとWinnersが発表されています。

最後に。

賞は受賞することが目的ではない。
と最初に述べましたが、私は作品制作については、続けることが何より大切。
だと思っています。賞に作品を出すことによって、世界のレベルの高い受賞作品をたくさんみることになり、それ自体がインプットになっていると感じます。

そして、受賞した際にはぜひ、現地の授賞式や展覧会に参加してみてください。
モチベーションがものすごく上がります。

私も昨年受賞した際にはNYに行き、自分の作品が現地で展示されている前で
現地の人と私の作品について通訳を通して話した時には、
ものすごく感動しました。

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昨年、IPA2019のBest of Show(展覧会)にて、自分の作品と共に。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
常日頃、いろんな賞のwinnersページを見ていても、日本人の姿は本当に
少なく…でも、世界的に見ても日本人が撮っている作品って結構独特というか
個性があって、もっと世界に出て評価されて欲しいな。
なんて思いが少しあり、この記事を書かせていただきました。
海外の賞に初めて出してみようかなぁ。という方に少しでもお役に立てたなら
幸いです。


IPA2019受賞作品「Fe」をはじめとした私の写真作品や
商業写真の実績はこちらのweb pageでご覧になれます。↓


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