#良いニュースと悪いニュースと友人




 友人が部屋に入りざま、間髪入れずに問いかける。


「良いニュースと、悪いニュースがある。どちらから聞きたい?」


「それじゃあ、悪いニュースから」僕は答えた。


「悪いニュース。それは、良いニュースなんて一つもないってことだ」


「それで」


「終わりさ」


「良いニュースは?」


「良いニュースは、悪いニュースなんて一つもないってことさ」


「良いニュースも、悪いニュースも、特になしってことか」僕は数回繰り返し呟いてから、納得した。


「そういうことだ」


「それじゃあ、何のために来たのさ?」


「特に、理由はないのさ」友人は答えた。


 僕らは少し黙った。


 地球の地軸はいつも、少しだけ傾いている。


「お茶でも淹れようか?」僕は尋ねた。


「いいね。たのむ」友人は答えた。

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