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大根

学校の授業でエッセイを書いてハマったので自分でもう一度書いてみました。

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冬がきた。受験まで1年、期末テストまでは1週間、時が経つのが早すぎるけれど、忘れられないことはたくさんある。
今年の夏にはたくさんのものをおとしてきてしまった。
初めてできた彼氏、5年間一緒に頑張ってきた部活のメンバー。振り返ってみると私はもちろん悪かったし私以外だけでなく環境それ以外の全てが原因だったのだ、振り返れば振り返るほどたらればを言ってしまう。

今日の現代文の授業の時間はそれぞれが書いたエッセイを発表する時間だった。友達が書いたエッセイの内容は、大根のおでんは漬けたばかりを食べると苦味を感じるけれど、時間が経てば旨味を感じるようになる。人生もそういうものだというものだった。私のこの苦い思い出もいつかは良い思い出話になるのだろうか。そもそも一緒に振り返ってくれる友達がいるかも分からないのだが。

私は今年の夏に5年間続けてきた部活を辞めた。理由は簡単で、最高学年になったのにレギュラーになれなかった劣等感と後輩からのそれに対する視線、試合に出ないのに顧問には練習中、レギュラーの後輩の前で怒鳴られるという屈辱感に耐えられなかったからだ。辞めるのには1ヶ月ほどかかった。今まで5年間同輩6人で頑張ってきたから結束が強く、同輩も辞めて人が減ったら困るなどの各々の理由から辞めるのを止められた。顧問からは今ここで辞めてしまっていいのか、今までの先輩たちがお前たちを受け入れてチームに入れてくれたのにお前はそれを仇で返すのかと言われ、よく分からない責任を押し付けてきた。同輩が止めるのは私も同輩の立場だったらそうするから理解できる、けれど顧問はどうした顧問は。私たちは先輩に受け入れられてテームに入ることができたのか?その意識がなかった私はその時呆然とした。私たちは先輩に受け入れられたから部活に入れて、どこから発生したかも分からない責任のために辞めることができないのか?もちろん私だって先輩にたくさんのことを教えて頂いて感謝しているし、顧問だって毎週日曜日家庭との両立が大変だろうに部活に来てくれたことには感謝してもしきれない。しかし私は責任云々ではなく私のメンタルが崩壊しかけているから辞めたいと言ってるのだ!!そこに急に発生してきた責任を押し付けられてもどうしたら良いのか分からない。しまいには顧問は私に「お前今ここで逃げるのか」と言ってきたのだ。逃げる??逃げるんじゃない!!自分で自分の気持ち、今後のチームのこと、同輩、後輩のことを沢山考えて選んだ決断なのだ、それを「逃げる」と表現されたことがなにより耐えられなかった。顧問の真意は分からないがその時の私には顧問が言葉を尽くして何とかチームが崩壊しないように私を引き止めている(そもそも私はチームにとって必要不可欠な人間ではないから、いなくなったてなんの問題もないのだが)としか考えられなかった。「この先もっとつらいことだってあるんだぞ」「後輩にはなんて説明するんだ」「先輩が受け入れてくれたことを忘れたのか」色々言われながらも最後は半ば無理矢理辞めた。
同輩ともかつてないほど話し合ったが結局それも辞めたい、辞めないでの平行線の話し合いが続き、決着はつかないまま無理矢理辞めたので、今はもう話すことがない。今でも同輩のことは大好きだが、彼女たちからしたら私は途中で都合よく逃げた人間だ、もう関わりたくもないかもしれない(実際どう思われてるかは知らないが)
こうして私は5人の友達と5年間続けてきた部活を夏においてきてしまったのだ。

まだ部活をしていたとき、帰り道にみんなで成人したらお酒を飲もう、誰が強いか、どんな風に酔うのかと楽しく未来に思いを馳せていたときがあった。私は今この苦くてしょうがない大根をいつか美味しく感じることが出来るのだろうか、誰かと美味しさを分かち合うことは出来るのだろうか、できることならお酒を飲みながら6人で大根の旨味を噛み締めたい。

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