わたしが、わたしを忘れないための備忘録
「誰だったっけ。あれ。」
最近、この言葉をよく口にするようになってしまった。
なんだっけ、誰だっけ、そんなこと言ったっけ。
っけっけっけ、けっけ、
憎いことに、全てを忘れたわけではなくって
ぼんやりと片隅に見えていて、記憶がそこにあって、だけど、手が届かない。
前に一緒に働いていた人、同級生の下の名前、学生時代の先生の名前、必死で見ていたはずの、オーディション番組に参加していた人。
訓練校で勉強した、試験も合格したはずのパソコンの使い方、漢字の書き方、九九の覚え方、一昨日のよるごはん、
目まぐるしく上書きされている訳ではないのに、どんどん忘れていく。
そんなことを思った日には、夢を見る。
記憶の中のわたしが、大きい声で叫んで教えてくれようとしているけれど、
立っている地面が割れて、遠くに引き裂かれていく。
離れていくから聞こえないし、口の動きも読み取れない。
待ってよ、待ってよ、わたしはここだよ。
そう叫びながら走っているわたしが空を見上げると、指先でスライドされていくような速さで、倍速の走馬灯が映し出される。
まるで、TikTokのように。
その大量の画面の中に微かに見える隙間の部分から、わたしの姿を見つける、そこでだいたい目が醒める。
the・夢でーす!!ありきたりー!!没個性、乙ー!お前の夢、60点〜!
みたいな流れで見せてくることに笑っちゃうけど、見せているのではなくて
「夢ってこんな感じだよね」という、わたしの脳の決めつけかもしれない。
どちらにしても、まあまあ、しんどい。
夢にスマホの画面が出てくるあたり、完全に現代病で笑っちゃう。けど一つ言わせて欲しいのは、わたしはTikTokを見ていないということ。
登録さえしてもないのにTikTokを見せてくるわたしの夢、なんならわたしより現代人説。
この間Netflixを有料会員登録したばっかだけど、夢がNetflixも見せてくれるなら、わたしの月々の支払いが減ってラッキーなのにな。お願いしますよ。
そんなことはさておき、”忘れてしまう”のだ。
春ごろに「いやぁ〜、今年の春は暑いですねぇ!こんなに暑かったら夏はどうなるんだって感じですよねぇ!!」という世間話の決まり文句があるように
「いやぁ〜、今年のわたしもよく忘れますねぇ!こんなに若いうちに忘れていっちゃうなんて、お婆さんになる頃にはどうなるんだって感じですよねぇ!!」
という決まり文句が、、、、いや、ヤバい、とってもヤバい。
この調子で行くと、お婆さんになるまでに全部忘れてしまいそうだ。
このままでは、わたしはわたしを早く忘れてしまう!!
そうならないために、このnoteを
「わたしがわたしを忘れないための備忘録」として使っていくこととする。
もしわたしが、わたしを忘れそうになった時
いつでも読み返すことができるように。
ちなみに
これは、91歳になるわたしの祖母が「ラヂヲやテレビ、会話から得た記憶を忘れないために」と、取り急ぎで机に直書きしてしまったら、それが日常となってしまった
「備忘録テーブル」である。
血は、争えないかもしれない。
続く
#ほろ酔い文学
#わたしがわたしを忘れないための備忘録
#備忘録
#今日あったこと
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?