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アメリカで出張をあきらめた……話

これは、防備録として。

今回、フロリダに出張に行くつもりだった。
たずねる先は二つの町。バスで2時間半くらい離れている。

なんとなくだけれど、例えば、東京から静岡と浜松を回る
とか
東京から岡山行って、その後直島に出る
とか
そんなイメージだった。
アメリカは広いからもう少し時間がかかるとして、
月曜日に行って、木曜日か金曜日にアリゾナに戻る
そんな感覚でいた。

フロリダって、栄えている州のイメージだし。
ディズニーワールドのあるオーランドとか、マイアミとか、
キーウエストとか。まして、行くのは州都だし。

ところが。
州都がそもそも、大都市ではない。
え? フロリダの州都? っていう友人もいたくらいで。
で、タラハシーっていうところ、というと、
あ〜〜〜〜。何にもないとこね。すごく遠いね。
という話に、ほぼ毎回なった。
カリフォルニアのサクラメントもそうだけれど、
どうも、州都は県庁所在地とちがって、その州で一番発展している都市……
からはほど遠いものもあるらしい。

アメリカは、あちこちに空港があるけれど、今回わかったのは
タラハシーみたいな小さな町の空港は、乗り入れているエアラインが
2〜3社だということ。そして、そのエアラインのハブになっている
大きな空港で乗り継ぎは避けられない。
今回でいうならば、アメリカンが離発着しているので、まずは、
ダラスかアトランタあたりに出て乗り換える。
まっとうなチケットで買うと、1200ドルくらい。
円が安くなっているので、
1ドル145円で計算するとこれだけで17万を超える。
タラハシーはエアラインの数も少ないけれど、州政府関係者と大学の人達が利用者の中心で、観光客が少ないから、競争がない。
価格競争がなくて、会社が払う人ばかりが使う空港は、高い……らしい。

安い便は到着が朝4時だったり真夜中だったりするので、
空港まで誰かに迎えに来てもらおうと思うと、
とてもそんなことはできない。

しかも、多くの場合トランジットが長い。
下手をすると、乗り継ぎ含めて7時間くらい。
運が悪いと9時間。ということは、前泊は必須。
この時期、天候不順でフライトキャンセルになることが多いから
それも予定にいれておいた方がいいと言われて、
どんどん、タラハシーが遠のいていく。

そして、こちら事情で言うと、車を運転しない私は
シャトルで空港まで行かなくちゃならない。
そのシャトルが1時間に1本あるかないか。
フライトの1時間前に到着するには……
と逆算していくと、ここで前々泊した方がいいくらいのかんじ。

もう一箇所のゲインズビルの町までは、タラハシーからバスで2時間半。
こちらは作業が中心だけれど、オフィスは8時半くらいからで、5時には閉まってしまう。そこに間に合うように、これまた一時間に1本しかないバスに乗っていって、5時に出て戻れるのは早くて8時、下手したら9時? 
バス停からホテルまでの足などを考えるとむしろ、荷物もってゲインズビルに移動し、帰りはゲインズビルから戻るか……。
複数都市を回るチケットを買えば……かなり検索したけれど、そういうしばりがあると、トランジットが長くなる傾向があるよう。

公共機関が発達していないから、
運転しないで移動するのはほぼ不可能に近い。
これは先方も重々認識していて、ヨーロッパのようには行かないのよね、
と言っていた。
ましてや、誰かにピックアップしてもらったり、ドロップしてもらうことを
考えると、相手の都合にあわせなければならないという事情も出てくる。
ほんと、日本の都市部の交通システムは有り難い。
そして、初めて、だから、ヨーロッパは旅行しやすかったのかと今更気がついた。

頻度の恐ろしく低い公共機関。それでも、みんな、
すごい、1時間に1本もある! なんて驚いているんだから
ほんとに、公共機関はあてにされていないんでしょうね@アメリカ。
もう一つ、時間がオンタイムじゃないという事情もある。
人が乗っちゃったら早く出るとか、遅れるとか。
このあたりの時間の読めないかんじも、諦める上で大きな要因だった。

10日くらい、あちこちとやりとりして道を探り、最終的に
金銭的な問題と時間的な問題、日本との交通事情の違いに
打ちのめされて、各所に諦めましたのメールを入れたときの
敗北感ったら半端なかったけれど、
できれば、年末に、ゲインズビルだけでもリベンジしたいところ。



得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)