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ケーキ屋 味噌を仕込む

 今年1月下旬にサントアンスタッフで味噌作りを行いました。無農薬栽培黒豆を分けてもらい、鍋で茹でるところから総量120kgを仕込みました。途中、味噌桶が割れるなどのハプニングもありながら、仕込んだ味噌はバックヤードの倉庫でゆっくりと発酵が進み、そろそろ食べ頃を迎えます。9月に入り、スタッフ同士が「お味噌そろそろかな?」と話しているのを耳にします。どうして、お菓子屋さんが味噌を仕込むの?と思われた方が大半ではないでしょうか。

 2020年に映画『いただきます みそをつくる こどもたち』を観て、サントアンのまなかい用味噌(年間使用量約60kg!)をみんなで作ったら楽しそう!と思ったのがきっかけです。

 映画に出てくる福岡市:高取保育園の園児たちは、真冬でも素足で走り回って風邪もひきません。増え続けるアレルギー園児の解決策を「食」に探り、医食同源に基づいた、玄米、みそ汁、旬の惣菜の給食を続ける保育園を取材したドキュメンタリー映画です。高取保育園の園児たちは自分たちが飲むみそ汁の味噌を毎年仕込みます。和食が苦手とされている近年の子どもたちですが、よく食べ、よく遊び、元気いっぱいです。古き良き日本の食卓が作る、子どもらしい、たくましい命の映画に大変な感銘を受けました。

 サントアンスタッフにも、ぜひ先人たちの優れた食の知恵を体験してもらいたい。日々の食事に興味を持って元気に過ごしてもらいたい。という思いで今年初めて味噌作りを企画しました。スタッフの心身の健康と、そのご家族パートナーの健康は同義と捉え、希望するご家族パートナーも一緒に参加し、お土産に仕込んだ味噌を持って帰ってもらいました。終日、少人数入れ替え制の大掛かりなイベントとなりましたが、毎年の恒例行事なるように心ひそかに目論んでおります。

 サントアンには創業当時から手作りのまかないを提供しています。費用は食べる人と会社で半分ずつ出し合って運営しています。
 創業間もない頃、スタッフの食事には仕出弁当を頼んでいました。創業時は朝も晩も関係なく働いていたので、食事準備の時間が省けて随分と助かったと思います。私も自宅兼スタッフ休憩室となっていた小さなアパートの玄関口に仕出し弁当の容器が置かれていた場景をよく覚えています。作って届けてくださる大変便利な仕出し弁当ですが、野菜少なく揚げ物多め、と偏りがあり毎日の食事には向いていなかったようです。体が資本の私たちの仕事には、健康を支える食事が重要だと早々に感じたと言います。

 当時のスタッフが「私の母の作る料理は美味しいですよ。」とお母様を紹介いただいたのがきっかけでサントアンのまかない制度が始まり、今日まで30年以上続けてきました。冷凍・レトルト食品はほとんど使わない野菜いっぱいのおかず、無農薬栽培の寝かせ玄米と味噌汁を基本とした和食が中心です。サントアンで働いていれば誰でも頼むことができ、手作りの健康的で美味しい食事が昼と夕に食べられます。

 大きな病気などせずに日々を忙しく過ごしていると健康であることが当たり前になってしまい、その大切さを忘れています。けれど、食べ物を作って提供している私たちだからこそ、その食文化や健康を支える食事に気を遣いたいと考えます。
 下記の文章はサントアンまかない食堂に掲示しているものです。内輪向けの荒削りで不躾な文章ですが、ありのままをご覧いただこうと思います。



食べることは 生きること
 サントアンで働く皆さんに、心も体も健康で安全な人生を送ってもらいたい。といつも願っています。大切な家族や友達と過ごす時間も楽しい事がたくさんの充実した人生も、命と健康あってこそです。どうか食べることを疎かにしないでください。それは生きることそのものだから。
  毎日毎食は難しくても、できるかぎりで良いので手作りの健康的な食事を食べてもらいたいです。安価で手軽に手に入るインスタント食品やファストフードなどは、安全が不確かな原料が使われ、添加物などで色味を作った偽物の食べ物で溢れかえっています。それらはこれまでの食文化を蔑ろにし、心身の健康を損なう原因になります。

まずは自分から
 食べものに携わる私たちから始めましょう。
作る人・食べる人・環境への影響が健全で持続可能な商品を提供することは私たちサントアンの目的であり良心です。まずはサントアンで働く皆さんから日々の食事に興味を持っていただき、心身ともに健やかな人生を送ってもらいたい。
本当に価値のあるもの「ほんまもん」に触れて、ほんまもんの人間が、ほんまもんの仕事をしましょう!




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