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発達障害の診断を受ける意味と意義


はじめに

発達障害と言われる人の中には、知的障害や身体症状に及ぶ神経症を伴わない人もいます。
グレーゾーンと言われる人には無自覚な人も多いです。
私はグレーゾーンに近いと認識しているけど、症状的には割と出やすく、仕事の中や人との間での『障害』を感じやすいため、『発達障害』として診断(要治療)とされていると認識しています。
私のような方やそのご家族の対応に悩まれている方の参考になれば幸いです。

心療内科受診での落胆

発達障害によって出る2次的症状が出てきて、心的な疲労が強まり心療内科に行きました。だけど、私の欲しい回答・診断はもらえませんでした。私は特にASDの気質も強いので、自分が納得できる明確な診断や解決策を提示して欲しいのです。

でも、心療内科は特に対症療法する場所なので、出てくる診断は心に負荷をかけている障害の名前ばかり
『依存症 ・うつ病 ・解離性障害 ・強迫性障害 ・睡眠障害 ・摂食障害 ・双極性障害(躁そううつ病) ・適応障害 ・統合失調症』
こんな風に二次的に出ている症状を羅列されることには何の意味も感じませんでした。

さらに、根本的な私の気質や特性については不明確なまま、あやふやな問診と症状の聴取のみで眠剤や感情をコントロールするための神経薬・抗うつ剤の処方を勧めるのです。
症状緩和を第一目的としている方にとっては、もちろん必要な心療内科ですが、私には全然納得できず。ただただ『やっぱり心療内科って、病院ってこんなところか』と落胆したのです。

精神科・心療内科

その後、医療センターでの受診待ちの順番が来たので、『心療内科での診断と内服治療が必要かどうかの判断も兼ねて発達障害の検査をしてほしい』と伝えました。
その頃には過敏症状はかなり落ち着いていたので、こちらの受診した意味や意向がかなり伝えやすくなっていたのです。

つまり、私は心的な負荷を減らしたいわけではなかったのです。
そんなことより、自分の特性・気質を知って、一緒に暮らす人や仕事する仲間に対して、自分がどんな配慮をして、相手にどんなことを理解して貰えばいいのかを知りたかったのです。

これが発達特性を持つ人が精神科病院を活用する一番重要な意義だと感じています。
そして、病院はすがる気持ちで行くところではなく、
活用する場という意識を忘れないでいて欲しいのです。

病気になった時、助けてほしいと行くこともあるかもしれないけど、多くは適した薬をもらいたいのです。そのために診断を適切にして欲しいのです。その為にいる専門家が医師や看護師なのです。
決して、不調を治して欲しい・分からないから全てを預けるという気持ちになっていけないのです。心の弱さも体の弱さも依存を生むのですけど、依存心が一番怖くて、治りを遅くさせてしまう大きな要因になります。

根本原因を知り、自己対処の方法を理解するための医療。
自立した元気な暮らしに戻るため医療。
そうあって欲しいし、医療側も患者側もそう理解していたい。

医療センターでの診断と治療

医療センターなどの発達障害検査ができる医療機関であっても、医師が『必要』と判断しなければ受けることはできません。が、自分が希望すれば、ちゃんと医師は理解してくれます。
大体2時間くらいかかる検査で、臨床心理士が実施してくれる知能検査も含んだ検査のことです。

この検査を受けた結果、結局私はASDの気質が強いので、心療内科で勧められたコンサータは適応外でした。

もちろん、内服が必要な時期や必要な状態・状況の方もいます。
情動を落ち着けるのが先決だったり、睡眠と活動のサイクルを正すことが先決な方もいるからです。だけど、回復してきたら、自分で自分をしっかり感じられた方がいいし、考えられた方がいいと思っています。
病院や施設で服用されている方の中でも、ご本人の為の内服なのか、医療者やご家族といった周りの為に必要とされる内服なのかは重要なポイントになります。
誰のための、何のために必要な薬で、どういう影響を持ったものかを自分が知って、適正に薬を使うべきです。
それは、専門家だからといって、患者さんの全てを把握できることはないから、医師だけに預けてはいけない=医師だけに責任を転嫁してはいけないのです。


心療内科や精神科でも発達障害のチェックリストはやると思うのですが、それはかなり主観的な問診なので、特性判断には弱いのです。特に自覚した症状がどれだけあるか…ということなので、無自覚な人が多いASDの人にとってはチェックミスがかなり出やすいです。
『みんなこれくらいあるだろう』とか解釈違いをしていたり、実体験と結びつけるイメージ力が弱い人にとっては、正確な指標にはなりません。
私も過敏症が強まっている時と、通常の時でチェックは変わります。それにずっと捉え違いをしていたけど、40歳になった今の経験値で言えば、ずっと当てはまってました!!っていう症状がいくつもありました。

だから、そういう自己判断チェックリストではなく、明確な空間把握やパターン理解・知識力といったテストで、自分の特性やウィークポイントを知り、自己理解に加えて周囲への理解を求めていくことも重要なのだと感じました。


発達特性との向き合い方

左利きということもあるけど、空間把握はかなり高く。
言語理解能力も長けている。
だけど、パターン理解が通常よりかなり弱いので、
人の意図を汲むことが苦手という自覚症状と一致でした。

そういう特性は、今後変えられる可能性は低いです。
だけど、周囲に理解してもらうために伝えるポイントが分かりやすくなりました。理解していてくれる人が誰か一人でもいるだけで、全然状況は変わってくるのです。

ASDの特性との向き合い方

意図が読めないこと
最初に意図まで伝えてもらって、理解に落とし込めばできるということ。状況や変化を伝えてくれる人って、私にはすごく大事です。
そういうことなんだ〜!!って、びっくりすることが本当にたくさんあるのです。
全体把握が自分では困難なこと
全体の大まかな流れや繋がりとパターン認識を、自分でしっかり最初に確認すれば、不安を減らすことも迷惑な単独行動を防ぐことにもなる。
おかしな行動をしているときに、「ただの自己中なひと」から「分かってないから、伝えてあげなきゃ」と思ってくれるだけで、ものすごく救われるし、相手の気持ち(イライラ)も全然違うと言われます。

ADHD気質の対処法

ADHDの気質は、過敏症状やストレス・パニック症状を引き起こしている際に特に出やすいので、まずはストレス回避を大切しにして、一人で考える時間をじっくり持つようにする。私の場合、ASD特性からくるストレスの高まりを抑える対処が重要だと思っています。
不注意
見落としがちな点や必要事項はメモで残し、確認を忘れない
物の場所を決め整理整頓し、毎回バッグの中を出して、外出前に入れ直す
チェックリストはかなり有効
衝動性
衝動性を理解し、必要性・行動するタイミング等を落ち着いて考える

自分の特性を知ることは皆に必要なこと

自分がどんな特性の持ち主なのかを、もっと早い段階で知ることは、大事だったと40歳の私は思います。
周りの多くの人に適応して生きてきたことで、備わった能力もあると思うけど。それだけじゃない、もっと自分を適正に見つめて、自己否定に陥ることなく、しっかり特性をみんなの為に使うことができた道があったんじゃないかと思うことがあるのです。

発達障害を知ることではなく特性を知ると思えば、それはみんなに共通していることでもあります。
自分の子供を見ていても、それぞれの特性がどこかを見るし、うまくみんなの中で特性を活かし合えるといいなと思うのです。違っているからいいってことは絶対あるのだから、困っているときに手を貸すって当たり前のことだし、得意な人に任せようも理にかなったことです。
「苦手なら手伝うよ」「得意だから一緒にやろうか」って、特性を活かし合い・相手を想い合える社会であって欲しいなと思うのです。



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