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整体で骨格ストレートのデブでもタートルネックが事故らないようになった話

・身体について

私は産まれた時から身体が硬い。らしい。
実母曰く「赤ちゃんてもっとぐにゃぐにゃと柔らかいものだと思ってたのにあんたは赤ちゃんの時から開脚が辛そうだったよ」だそうで、そいつぁ筋金入りだね!と母とは笑いながら心では泣いた。
身体が硬いことは多少なりともコンプレックスであり、何度も克服しようとお風呂上がりのストレッチを試みるもあまり改善される気配がなく、そのうち飽きてやめてしまう…を繰り返していた。なのでこの話を聞いた時、そもそも生まれつき硬いなら頑張って苦しいストレッチを続けてもたかが知れてるのでは?とガッカリし、以降努力することは辞めてしまった。今思えばこの決め付けがどれだけ根拠のない思い込みなのか分かるが、当時の自分としてはショックで自暴自棄になるには十分だった。だって私、産まれてから一瞬たりとも身体が柔らかい時期なんてなかったんでしょ?と。

・椎間板ヘルニアと反り腰

30代前半の頃、私は椎間板ヘルニアを再発した。1度目は16歳の時で原因は不明、以後騙し騙し腰をいたわりながら生きていたが遂に再発してしまった。痛くて痛くて夜も眠れず上手く歩くことも出来ず、しかし手術する程ではないので投薬とリハビリを受ける程度の治療しかなく辛い日々を過ごした。確かに今回は前回と違い明らかに強い負荷がかかってしまったせいとは言え、何故私の身体はこんなに弱いのだろうとボロボロ泣いた。周りの人はこの程度じゃヘルニアになってないし、週2でヨガに通って身体は動かしているつもりだったのに。
そしてなかなか回復せず半年ほど経った頃、リハビリの担当さんが変わった。そこでひと通り身体を診てもらったあと教えて頂いたことは目から鱗だった。

「反り腰が強いせいで背中のカーブが消えてる」

…反り腰?はて?
前述した通り身体が硬い自覚はあったが、姿勢が悪い自覚はなかった(むしろ気を付けている方だと思っていた)そして初めて聞く反り腰という単語。リハビリの担当さん曰く、

・骨盤が前傾して腰が反り返った状態
・背面に強い負荷がかかり背筋が張る
・背面で身体が支えられているので腹筋がサボっており弱い
・前腿に負荷がかかる
・背中のS字カーブのバランスが崩れて背骨が真っ直ぐになる
・頭の位置が前側に落ちるのを支えるために肩に負荷がかかる
・歩き方が不格好になる

などなど。
全体的に

・背面痛や肩凝りや腰痛がする
・お腹は緩んでボヨボヨ(腹筋無い)
・前腿がパンパンに張る
・ハムストリングスは緩んでボヨボヨ(脚の隙間無い)

という話だ。思い当たる節のオンパレード。

「反り腰のせいで普段から腰に負担がかかってて、それでヘルニアになっちゃったのかもね」

と言われて、今まで原因不明だった私とヘルニアとのドロ沼の関係に初めて光が射した。なんで自分ばかりこんな目に合うのだろうとどこか被害者的な感覚でいたが、原因はしっかり私にあったようだ。
反り腰、反り腰のせいだ、お前が原因か!
しかしこの時はまだ

「では何故私は反り腰になってしまったのか?」

という原因究明にまでは思考が働かなかった。

・妊娠と出産

反り腰との指摘を受けてから正しい姿勢や歩き方などを教わりつつ治療を続け、結果椎間板ヘルニアの痛みは落ち着いてきた。しかし反り腰は治ってきたものの腰痛や肩凝りなどが改善するまでではなく、相変わらず背中はガチガチだし、肩など凝りのせいで筋肉が盛り上がって肩パッドみたいになっていた。
そしてその後の妊娠、出産で私の身体は再びヘルニア罹患期のように歪んできてしまった。
妊娠中、気を付けていても大きくなるお腹を支える為に腰はどんどん反り続け、更に増えた脂肪がその姿勢をロックした。このままでは出産で再びヘルニアが再発し、坐骨神経痛を爆発させたまま病院にも通えず育児をする羽目に…?という最悪の末路まで想像した(幸いにもそこは免れた)。
そして出産後、大きなお腹が元に戻った頃、他撮りの動画を見て私は愕然とした。ひと目見て歩き方が不格好であり、明らかにバランスが崩れていることが分かる。自分では気を付けていたつもりの反り腰も一目瞭然で復活しており、骨盤の前傾が手に取るようだ。そういえば膝は歩くたびにポキポキと鳴るし、腰痛や肩凝りで頭痛までするようになった(あと関係無いかもしれないが生理痛もかなり酷くなった)。
このままではいかんと姿勢に気を付け筋トレやストレッチを試みるも、自己流ではなかなか改善が見られないまま忙しさにかまけて産後1年が過ぎた。

・問題だらけの身体バランス

自力での改善に限界を感じ、育児の隙間を縫って整体に行ってみることにした。本当はヘルニアを治療してくれた整形外科に行きたかったのだが、遠方にあるのと何と言ってかかればいいのか分からなかったのとあって断念し、友人が通っていて良さそうだった整体院にしたのだ。
そのカウンセリングの結果はこうだ。

・骨盤が前傾している(反り腰)

これは予想通り。
そして更に、

・肋骨が捻れて開いている
・膝が反り返っている
・肩と腕が前側に入り込んでいる(猫背)

との診断が下った。
自分が反り腰だと言われてから姿勢には気を付けていたつもりだったのに、ふ、増えてる…(これが産前からのものなのか出産のダメージによるものなのかは分からないが)。
そりゃ今までの知識と対応だけで改善しないはずだよ…と納得した。

・整体院での施術

初回、まずはとにかく″前傾して反り腰のまま固まった骨盤を治そう!″と施術が始まった。その時私は腰周りを解すのだとばかり思っていたのだが、整体師さんがまず取り掛かったのは前腿だった。
あれ、腰ではない…?と思ったのも束の間、私は思いもよらない激痛で涙ぐむことになる。幼い頃からゴリゴリに発達した私の硬い前腿を、身長180cm近く見える筋骨隆々の男性整体師さんの全体重をかけて(かどうかは知らないが)ゴリッゴリにほぐされ始めたのだ。
ほぐされ…と書くと気持ち良さそうでとても心外なのだが他に言い方が分からない。でも喩えるなら、骨を棍棒で伸ばされるような?いや実際には骨でなく筋肉なのだが、私の筋金入りに発達したバッキバキの前腿はもはや骨程の強度を誇っている。そいつを「うどん打ってんじゃないんですよ?!」というほど全体重をかけてゴリゴリされたのだ。大腿骨から筋肉が千切れて剥がれてミンチにされるかと思った。
説明が長くなった。とにかく痛いのだと分かって頂きたくて必死になり過ぎた。と、そんな感じで生まれて初めて激痛な施術を受けたのだが、終わってみたらアラびっくり、触ってわかるほど前に傾いていた骨盤が、キレイさっぱり正しい位置に戻っていた。

「いや〜硬かったね、これが腰を引っ張ってたね」

待て待て待ってください、つまり、私が長年患ってきた身体の不調の原因である反り腰…の原因は硬い前腿……ということは、そもそも″身体が硬い″ということが全ての諸悪の根源てこと…?
混乱する私に整体師さんは

「触ってみて、だいぶ柔らかくなったでしょう?」

と言って施術直後の前腿を指した。そして恐る恐る触ってみてビックリ
た、た、た、たしかに少し柔らかい…!
今まで何度もストレッチに挑み、セルフマッサージに挑み、しかし生まれつき硬かったと言われ匙を投げていた私の前腿が…前腿が少し柔らかいのだ。

「これから毎晩寝る前に前腿を伸ばすストレッチをやってみて、どんどん改善するから」

それから毎日寝る前にストレッチをやっているが(合間合間に整体の施術によるコテ入れが入るおかげもあって)私の前腿はどんどん柔らかくなっている。今までやってきたストレッチと同じなのに、あの思い出すだけで冷や汗が出る快心の一撃のような施術がきっかけとなり、生まれつき硬いと太鼓判を押された私の身体は少しずつ柔らかく変化してきていた。
ずっと悩まされていた椎間板ヘルニア、肩凝り、頭痛などの原因が、突き詰めていくと″身体の硬さ″からくるものだったなんて本当の本当に目から鱗だった。16歳の時の自分に教えてあげたい、自己流のナメたストレッチじゃなく整体でもなんでもプロのところ行って身体を柔らかくする努力をしろと。生まれつきだからだなんて拗ねていないで頑張れと。

・骨格ストレートとタートルネックの話

どこまで引っ張るんだというほど引っ張ってやっと本題です。
″身体、硬いのダメ、ゼッタイ″を実感してから整体にコンスタントに通っているうちに冬が来た(通い始めたのは夏だった)。今までは下半身の歪みを重点的に治してもらっていたが、骨盤周りが安定してきたことを受けて上半身の施術も開始した。上半身はたしか肩凝りと肋骨の歪みと猫背の改善をお願いしていたはずである。プロ診断・骨格ストレートの特性である短い首に小学生の頃スイミングスクールで育てたイカリ肩、更に肩凝りで強化した僧帽筋をオプションで付けた私の上半身は″屈強″という形容詞がとても似合う。サイヤ人か?と見紛う強い威圧感だ。私がヤムチャなら憧れるが残念ながら違うので宝の持ち腐れである。
結果から言うと、そんな屈強な肩も張りをほぐして歪みを改善させれば″ちょっと肩がしっかりした女性″レベルに変身することが出来た。
具体的には肋骨周辺の歪みを矯正してもらい、鎖骨下らへんの凝りをほぐしてもらった(もちろん激痛)ところ、今まで前方に巻いていた肩が正しい位置にとどまるようになったのだ。その結果今まで骨格的に似合わないと思い込んでいたタートルネックのニットが、サイヤ人にもガンダムにもならずに、何故か少し似合うようになったのだ。何故かはよく分からない(素人)。しかしおかげで肩凝りが少しずつ良くなりその上首が少し長くなった。それも良い原因になっている気がする。つまり今まで私にタートルネックのニットが似合わなかった原因は骨格ストレートのデブだからではなく、単純に猫背による巻肩と肩凝りによる僧帽筋の膨張が原因であり、確かに他の骨格に比べれば華奢感が無い分難しくはあるが、完全に事故までとはいかない服として着こなすことが出来そうになった。
身体が柔らかいっていいことばかりだ。姿勢って大切だ。

・終わりに

今回はたまたま私と整体院の施術の相性が良かったために、こうやって効果を実感できている気がする(今までもたくさんマッサージやら整体やら針やらお灸やらやってきたが、ここまで身体を柔らかくしてもらったことはなかったのだ)。母との会話を最後にストレッチを諦めていたが、きっと負荷が足りなかったか根性が足りなかったか、どちらにしても正解が分からないまま自己流で進めていたことが良くなかったかなと振り返る。餅は餅屋じゃないけれど、文章や動画だけでは分からない事ってたくさんあって、だからこそ実際に人に教わるというのはとてもタメになるのだなぁと実感した。とりあえず、骨格ストレートでも身体ほぐして柔らかくして姿勢直したらタートルネック着られるようになることもあるよ、という話。今サイヤ人でも諦めないで姿勢を見直して欲しい。ほら冬に首元Vネックしか着られないとかかなり辛いから…ね。

(※2020.1.6再編集、追記しました)

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