sakiko suzuki

花屋の店主です https://www.hanaimo.com/

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最近の記事

クリスマスプレゼントの提案

クリスマスプレゼントの提案。 敵には許しを、ライバルには寛大さを。 友には心を、お客様にはサービスを。 すべての人に慈悲を、すべての子供には良き手本を。 そして自分自身には尊敬の念を。 -オーレン・アーノルド Christmas gift suggestions: To your enemy, forgiveness. To an opponent, tolerance. To a friend, your heart. To a customer, service. To

    • 「花ことば」の話

      花屋をしていると「花ことば」について聞かれることは少なくありません。ただひと口に「花ことば」といっても、古代と近代での違いもあれば、神話や宗教的な背景でも変わります。 ひとつ言えるのは、花そのものが人間に与える印象や影響とは、厳密ではなくとも共有する性質や象徴があるということ。 とくに色が人の心の中に引きおこす印象や感情には、絶対的ではなくても普遍的なものがあり、またその象徴性を引き継いだ花ことばもかなり多くあります。 たとえばバラなら赤は「愛」白は「純心」黄は「嫉妬」

      • ポインセチア

        イギリスの動物学者デズモンド・モリスの著書に、クリスマスをめぐる謎について書かれた『クリスマス・ウォッチング』という一冊があります。その中にはじめて目にしたポインセチアの伝説がありました。 あるクリスマスの夜、貧しい農家の子供たちはイエスの誕生を祝う贈りものがないために、教会の戸口にたたずみ、お祝いに出向く人々を眺めていました。その様子を見ていた天使から「贈り物がないなら、道端にあるあの美しい草を持っていくといい」といわれたので、子どもたちはその草を手折り教会に持っていきま

        • 大雪

          雪は天からの手紙である 寺田寅彦 二十四節気の大雪をむかえました。11月22日の小雪は「冷えてきたことで雨も雪になるころです」という知らせ、大雪は「雪もいよいよ降り重なる寒さです」という便りです。 本来なら暗い雲に覆われて、うちにも外にも重い静かさが満ちてくる、という節なのかもしれませんが、今日も東京の空には暗い雲はなく、心地よい静けさが広がっています。 そうはいえ、暦の上では冬も半ばになりました。これからはいよいよ雪への思いを深める季節です。雪国の皆さんの苦労を思う一

        クリスマスプレゼントの提案

          落葉と常緑と

          山茶花の垣に銀杏の落葉哉  正岡子規 日本では北に落葉樹が多く、南に常緑樹が多い傾向があるそうですが、冬になると同じ環境下でも、葉を落とす木( 落葉樹)と落とさない木( 常緑樹)がいることに気づきます。 たとえば東京でいうと、ヒイラギやサザンカは常緑ですし、サクラ、サルスベリ、ハナミズキは落葉樹。イチョウもですね。 常緑樹は寒さに耐えるためにかたい葉を作り、踏ん張って冬を乗り越える。落葉樹は暖かな季節に盛りを見せた後は、しずかに冬眠して次の春を待っている。冬の樹木を眺め

          落葉と常緑と

          銀杏(いちょう)

          古い時代には、銀杏や萩のような葉が黄色くなるのを「もみじ」といったそうで、歳時記では銀杏の黄葉を「銀杏黄葉(いちょうもみじ)」落ち葉を「銀杏落葉(いちょうらくよう)」といいます。 秋に天気が良く、葉にも日がよく当たり、そして昼夜の気温が大きい年は、紅(黄)葉の葉色も一層美しくなるそうで、その変化は高齢の葉枝ほど、早くから色がつき始めると知りました。 銀杏は土地を選ばず生育することから、日本では街路樹として、また公園や寺社などでもよく見ます。その視覚的な美しさは文学界でも多

          銀杏(いちょう)

          クリスマスツリーのお話

          日毎にクリスマス気分が高まる季節、寒さ忙しさの中にあっても、どこからともなく漂う雰囲気には、自然と心が温まるのを感じます。 まもなく来るクリスマス(降誕祭)は12月25日ですが、本来はそこからの12日間をクリスマス期間とし、期間最後の1月6日はエピファニー(公現祭)といいます。 エピファニーはクリスマスと同様に、すべてのキリスト教会で行われる祝祭で、東方から来た3人の博士が、星に導かれてベツレヘムにたどり着き、馬小屋のわらの中に寝かされていたキリストの誕生を確認した日とさ

          クリスマスツリーのお話

          アドヴェント(待降節)

          今日はアドヴェントの第一日曜日。アドヴェントとは、キリスト教社会においてクリスマスを待つ期間とされる「待降節」のこと。ドイツを中心にしたカソリック信仰の色濃いヨーロッパ地域において、イエス・キリストの降誕を待ち望む4週間のことをいいます。 アドヴェントの期間中に飾るリースに、4本のキャンドルを立てたものがありますが、これを「アドヴェントリース」といいます。 常緑樹で作ったリースの上のキャンドルは、毎週1本ずつ灯りが点され、4本目に灯が点れば、いよいよクリスマスです。 リ

          アドヴェント(待降節)

          終わりなき夜に生まれつく

          このウィリアム・ブレイク『罪なき者の予言』の一節は、アガサ・クリスティの小説のタイトルにもなっている。 いま日本は冬に入り、自然の営みによって、季節の中の色が土に還ろうとしていますが、他国では、ふたたび再開された闘いによって、美しさや喜びについての感覚までもが瓦礫の中に埋没されている。 人は生まれながらにしてあまりにも不平等です。だからこそ機会や権利は平等にもたらされたいと願う。 しかし世の中が複雑になるほど、その複雑さを貫く単純さが必要であるのに、人はますます混乱させ

          終わりなき夜に生まれつく

          師走

          12月になりました。冷たい風の騒ぐひまひまに、一喜一憂してはあっというまに過ぎていくひと月。師走は人の慌ただしさを芯にした月です。 歳末の落ち着きのなさ、ざわりざわりと先急ぎするような気持ち、それがつれてくる侘しさが容赦なく押し寄せてきます。これを祓ってくれるのが、また花であってくれたらいいなと思う。さあがんばろう。今日もいちりんあなたにどうぞ。 シクラメン 花言葉「はにかみ」

          迷ったときこそ、人のために働く。

          日本理化学工業株式会社 の大山 泰弘元会長のお話から世にでた言葉。同社は「ダストレスチョーク」の国産化と、障害者多数雇用のモデル工場で知られる会社、メディアでも多く取り上げられていますから、ご存じの方も多いと思います。 遡ること70年以上前のエピソードを目にしました。当時社長だった大山氏は、自社工場の近くにあった養護学校の先生に、生徒を働かせてもらえないかという相談があったといいます。 当初は障害者への知識がないことを理由に断り続けていたものの、とうとう先生の熱意に根負け

          迷ったときこそ、人のために働く。

          和顔愛語

          「和顔」は和やかな顔、「愛語」はやさしい言葉。「和顔愛語」とは文字通り、和やかで愛情のこもった顔つきや言葉づかいのこと。 顔つき、つまり表情は、私たちにとってあまりになじみ深く、なじみ深いどころか「表情がある」ということを、意識することさえ多くありません。 しかし無意識だからこそ、私たちは目にした表情に敏感になりますし、影響も受けています。 たとえば寂しさや不安に沈黙しているときに花びらのように柔らかな表情を見ると、あまたの苦痛も去るほどの安堵に導かれることがありますよ

          金盞花(きんせんか)

          金盞花摘みては抱く日のぬくみ  -高村のぶ 金盞花(きんせんか)は春の季語にある花。ですが、咲いてる期間が長く、「季節を選ばない花」ということから「時不知(ときしらず)」との異名を持ちます。こうしてわざわざ名にするくらいですから、昔は季節以外で手に入るということが珍しかったのかもしれませんね。 金盞花という名は「金の盃」に見立てて付けられました。しかしその鮮やかな花色が好まれるというよりは、日常的な花として重宝され、一般的には切り花や仏花に使われます。 花はたしかな主張

          金盞花(きんせんか)

          八つ手の花

          八ツ手咲く今も昔も路地ぐらし -菖蒲あや 昨日の仏手柑は、手招きするような仏の掌に見立てて縁起物とされましたが、八つ手も、大きな掌状の葉に魔物を追い払う力があるとされ「鬼の手」「天狗の羽団扇」などと呼ばれました。 八つ手は東京ではよく見る樹であり花です。そのどこにでもあるという庶民性は、戦前の住宅事情にありました。昔の東京は貸家に住むのが普通で、そこには必ず小さな庭があり、八つ手が植えられていたといいます。 その理由は単純に日陰でも育ち、落葉しないので庭を汚さず、値も

          八つ手の花

          仏手柑(ぶっしゅかん)

          消えたがる冬日掴んで仏手柑 -町田しげき 冬植物のなかでも一際つよい生命力を感じさせるのはミカンの類。金柑、柚子、文旦、不知火、ほかにも今や品種改良が進んで、いろんな種類があります。 そのどれを手にのせても他の果物にはないありがたみを感じますが、なかでも独特の世界観をもつのが仏手柑(ぶっしゅかん)です。 手招きされるように見えるその形は、合掌する両手にも見立てられ、「仏の手」とも称されます。見ようによってはチョッとした不気味さもありますが、末広がりを想起させることから正

          仏手柑(ぶっしゅかん)

          柊(ひいらぎ)

          11月も半ばをすぎ、年末の足音が聞こえてくるこの季節、意識をしなくても心が時間に縛られていくのがわかります。それが自分にばかりか人にまで多くを求めたくなるから、良くないなあなんて反省もしきり。 身近な関係にある「違いを認める」ことは、自分自身の「感情を受け入れる」ことにはじまると思います。 余裕を欠くと同時に「寛容でいたい」なんて心境になったときには、植物に倣うのがいいとも。いまの季節なら柊。 柊(ひいらぎ)は字の通り冬にみる植物ですが、クリスマスの西洋ヒイラギ(hol

          柊(ひいらぎ)