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年間100回以上リモート会議に参加する通訳がおすすめするリモート会議の準備方法(1)

はじめまして。赤坂で翻訳・通訳・語学研修・PRの会社を経営している上村です。厳つい見た目から嘘だ!と言われますが現場にも出ます。
※ちょっとタイトル変えました。
2020年、気がつけばもう9月。
私たちのとりまく状況も大きく変化し、まだ以前の様に気軽に人と会うことが出来ないので日々、役立つことから下らないことまで様々なことをアウトプットして行きたいと思います。

コロナで人々が自由に動くことができなくなった今、私たちの仕事―通訳・翻訳業界の現場は、大きな変化を迎えています。変化に晒されて見えてきたこと、もたらされた様々な気づきを記事にしていこうと思います。

第1回の今日は「会議通訳」と「リモート会議」のおはなし。対面での会話が発生する「集合型の会議」に代わり「リモート会議」が当たり前になるにつれて、加速度的にオンライン(リモート)で通訳を行うケースが増えました。「納期」までに仕上げる翻訳と違い、「本番」で最大限のパフォーマンスを発揮しなければならない通訳の現場は、事前準備こそが生命線です。中でもオンラインの場合、「本番でトラブルなく機材を使いこなせるかどうか」が成否を分けます。
どんな機材を選び、どの程度の準備(チェック&リハーサル)をしておけばよいのでしょうか?私たちの経験から考える、オンライン通訳を成功させるポイントをご紹介します。

オンライン通訳を成功させるポイント

<必要機材とチェックポイント>
1、【PC】バッテリーは十分か? スペックは?
※ノートPCの場合、フル充電にしておく+可能な限り電源を確保しましょう
人数が増えると、割とPCスペックが高くないとトラブルの元になりえます。
先日、お客様支給のPCで通訳させて頂いた所、途中でマイク音声が途切れる、通訳の声が遅れて聞こえる、など様々なトラブルがありました。
できればCore i5 第8世代以降、メモリは最低8GBほしいです。
2、【インターネット環境】Wi-Fi(無線LAN)より有線LANを
※有線LANの方が、他の電波の干渉を受けず通信が安定します。セキュリティ面の安全性も高い
3、【ヘッドセット】可能であれば有線タイプを
※ゲーミング用のヘッドセットがオススメ。性能が高くて、扱いやすい
個人的オススメ!のヘッドセットをいくつか記載します。

こう見ると、インナーイヤー・カナルタイプが集中出来て好きなんだなあと思います。

手軽に使えて非常に楽です。クオリティもそれなりにあるで同時通訳の現場に持って行ったりしています。
また、フェイスシールドの下に装着しても負担があまりありません。

これも持ち運びに便利。コードも短いし、マイク部分が外れます。
ここらへんまでは、お手軽に使えるオススメヘッドセットです。

次にご紹介するのが今まで使った中で最高スペックのものです。

音質、マイク、装着感と最高です。またマイクを跳ね上げるとMuteになる機能がすごく便利。ただ、若干重さがあるのでなれてないと肩こりに悩まされるかもしれません。あと髪型が崩れますw

Bluetoohのヘッドセットも試しましたが、音声品質に若干不安があったり、電源が切れたり、うまく接続できないトラブルにみまわれました。以降、私たちのチームでは基本「有線・カナルタイプ」を使うようにしています。

4、【あると便利】追加モニター
参考にしたい手元資料や、途中で調べものがあるケースでは、追加モニターを用意しておくと便利です。ただ、最近のType-C接続モニターを使用していると、PCのバッテリーの減りが予想以上に早いのでご注意を。タイプC接続ケーブルのアダプタが直線だと取り回しが良くないので、こんなL字アダプタを使ったりします。

もちろん、昔ながらのメモ帳も非常に良く使っています。利点として、タイプ音を気にせずメモできるのが通訳としても良いですね。(通訳者は出来るだけお客様の「邪魔」になるノイズを出さない)

5、【場所】「音」対策―可能な限り静かな場所を
※遮音性が高いといえば「カラオケルーム」や「レンタルスタジオ」

当社の事務所は、霞が関・首相官邸近くにあり、たま~に街宣車やデモの皆様がいらっしゃいます。事務所からリモート通訳に入る時は、全てのドア・窓を閉め、遮音カーテンでブロックします。それでも音が入り込んでしまう場合を想定して、単一指向マイクを使っています。もしも自宅等で“通訳用の部屋”を確保するのが難しい場合、昼のカラオケルームレンタルスタジオなどに籠るのも手です。

また、同じ部屋の中で複数人がそれぞれのPCを使って会議に参加する場合、ハウリングを起こす可能性が高くなります。その場合はヘッドセットを使い出来るだけ距離を開けましょう。

<リハーサルのチェックポイント>
6、【音声】音量・音質・響きを確認
※声の大きさは十分か?クリアに聞こえるか?ハウリングしていないか?
経験上、「音」は意外と拾えている印象を持っています。参加者が遠隔地から参加する場合、会議中に思わぬ「生活音」や「騒音」が入り込むケースが多々あります。解決策は「Muteボタン」です。発言するとき以外は「Mute」をかけておくと安全です。参加者全員がうまく使えるようにしておきましょう。

7、【カメラテスト】背景・照明・人物の角度を確認
※逆光になっていないか、アングルはそれで良いか?
直射日光の差す窓ぎわに座ると、逆光で参加者側から見ると自分の顔が見えなくなる場合があります。その場合はカーテンを閉めましょう。
特にPCのカメラアングルは下から上に映す場合があるので、男性は特に鼻毛に注意しましょう!!(実体験)

ここまで、機材の準備やリハーサルのポイントをまとめてみました。
最後に、忘れがちだけど、意外と大事なポイント。
それは「出席者」のみなさんに“よい会議を創る”ための協力をお願いすることです。

<参加者への協力依頼>
8、【よい会議にするために】

・携帯電話の電源オフ、マナーモード
・PCで音の出るソフトを終了しておく(LINE、メッセンジャーなど)
・出来るだけ、頭は動かさないように(画面越しの動きは、意外と他者の目にとまります)
・服装は「上」だけでなく「下」の装いも整えよう!
※余談ですが…ウチの社内会議で、立ち上がったらパンツ一丁のスタッフがいました。
人は無意識に上がることもあるものです(笑)。
・長時間にわたる場合は、適切なタイミングで休憩を

私たちのチームでは、こんな風に準備を進めます。
でも、これで終わりではありません。
「通訳の成功」から一歩踏み込んで、
「会議の成功」にコミットするには、欠かせない重要なプロセスがあります。
それが、クライアント様との「事前打ち合わせ」です。

本番のパフォーマンスに影響を与える、「知っておくべき」情報とは何か?
次回、通訳理論にも触れながら、考えたいと思います。

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