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犬も猫もウサギもハムスターも飼えないなら、ヤモリを飼えばいいじゃない
我が家にはヤモリがいる。
正確にいうならオウカンミカドヤモリを飼っている。
もちろんお店で買って来た子で
その辺の草むらからヒョイと持ってきたわけではない。
はるばるアメリカから船か飛行機に乗って
遠路遥々ここ、日本へやってきた舶来物。
お母さんかおばあさんあたりはニューカレドニアのご出身だったらしい。(お父さんは不明。)
舶来物と言えば高級品、というのは昔から決まってるもので我が家のヤモリも例外ではなく…
そう、帝国劇場のS席のチケット2回分よりも高く3回分よりは安かった、とでも言っておきましょう。
サイズは今は全長は17センチくらい。
本体が12センチくらい、尻尾が残りのぶんで
故郷ニューカレドニアの気候を好むので
水槽は湿気が多くて暖かい環境を作ってやる。
掴まるところと、隠れるところがあると安心するらしく
お気に入りは家に来た時からずっと一緒の流木の上と 最近増えた小さな土管の中が定位置。
食べるものは我が家の認識だと
幼体(赤ちゃん)→生きたコオロギ
成体→練り餌(中身は粉末コオロギとフルーツ)
で、1日から2日おきでOK
人によっては成体にも生きたコオロギやカットフルーツを与える人もいるらしい。
最長1週間くらいは餌がなくても大丈夫らしい。
寿命は10年から15年くらい、らしい。
鳴くは鳴くけどほとんど聞こえなくて、夜行性。
と、ここまでだいたい皆さんに聞かれる事をざざっと書いてみました。
なかなか興味深いでしょ?
じゃあ、そもそもなぜ
しかもわざわざ買ってきてまでヤモリを飼おうと思ったのか。
それは、我が家は毛の生えた生き物は
立ち入り禁止だから
そして
運命的な出会いがあったから
なのです!
✳︎
実は、我が家はわたし含め数人がアレルギー体質。
みんなのを合わせると
犬猫はもちろんウサギ、鳥、ハムスター…
とにかくふわふわした生き物はダメ!!
じゃあ毛が生えてなくて屋内で飼えるものって…?
と考えると
もう魚か爬虫類しかいなくないですか???
(他にいたら教えてほしい。虫と人間以外で!!)
で、昔からそれを笑い話にしていたところ
なんと身近に
爬虫類を飼っている人がいることが発覚。
初めは興味本位で話を聞いていたのですが
だんだんとその方の熱い熱いトカゲへの愛を感じ
その人とトカゲの素敵な二人暮らしにすっかり心を奪われ
もしも我が家にトカゲがいたら…と想像するようになり
ついに我が家も夢のペットライフを!と爬虫類を迎える事を決断したのでした。
✳︎
実は当初はヒョウモントカゲモドキを飼うつもりだったんです。
でも、まずは下調べをして慎重に!とトカゲ飼いさんオススメの爬虫類専門店をたずねました。
そこで出会ったのが
我々の運命を握るいぶし銀のマスター。
コオロギが大合唱し、ヘビがとぐろを巻き、カメレオンがぎろりとこちらを睨む店内を背景に
マスターは我々の話をふむふむ、と聞いて…
重々しく口を開きました。
「君たちはトカゲはやめた方がいい。」
ガーーーーーーン!!!!
それって不合格ってこと…?
さようなら夢のペットライフ…!
ところがマスター、ここで終わらなかった。
「だけど…君たちにぴったりの子がいる!!!!」
そう言い切ったマスターの目は、
ポケモンの始まりの時のオーキド博士さながらにキレキレでありました。
「ついて来て!」
そう言ってずんずんジャングル…じゃなくて店内を進むマスター。
ピタリと立ち止まりと何かをゴソゴソ。
ま、まさか、さっきトグロ巻いてたヘビじゃないよね…
ヘビはちょっと、まだ無理ーーーーー!
完全にビビる私たちをよそに
めちゃくちゃニコニコ顔で振り返ったマスターの手に乗っていたのは…!
ちいさなちいさなヤモリ!!(暴れてる)
「この子、すごく性格が良いんだよー♡」
マスター、めちゃくちゃホクホクしてる!
ハートが見える!さっきまでのいぶし銀は⁈
っていうかヤモリで性格が良いってどういうこと…⁈
これが私たちとだいずの出会いでした。
あ、そうなんです。
我が家のヤモリの名前はだいず。
命名は私がしました!
だいずと私たちを引き合わせてくれたトカゲが
あんずちゃんという名前だったので
それにあやかって食べ物3文字の名前で。
それからうちの子は生成色でちょうど大豆みたいな色をしてるのと
幼体のうちは男の子か女の子かわからないので
将来どっちになってもいい名前がいいなと思って決めました。
(結果、数ヶ月後に男の子だと判明)
それにほら、大豆って
醤油になったり、お味噌になったり、お豆腐になったり
そこからがんもどきになったり、厚揚げになったり!
だいずは今から何にでもなれる可能性があるんだ!というそんなちょっとした希望も込めて命名しました。
まぁ、実際のところヤモリはヤモリで
そこから別の何かにはならないんですが…
ひとつ間違いないのは
だいずは「ただのヤモリ」から
我が家にとってかけがえのない存在になりました。
マスターがまだバブバブしてるだいずをもう大丈夫!というところまで育ててくれて
給食のフルーツポンチが入ってるようなプラスチックのタッパーに入って我が家にやってきただいず。
居心地の良いマスターのところから、
お互い未知の領域、我が家にやってきて早くも3年半になりました。
最近は手に乗せるだけでも大騒ぎでしたが
こんなに小さな手のひらサイズの生き物に、こんなに幸せにしてもらうなんて思ってもみなかった!
✳︎
ヤモリの脳みそなんて多分親指の爪より小さいと思うんですね。(実際のところは不明ですが)
もちろん呼んでも来ないし、名前もわかってないし
今だいずは人間で言うなら多分10代後半から20代くらいかと思われるので、反抗期?思春期?で手にも乗ってくれません。
小さい時は手に乗ってご飯食べてたのに!!!
多分我々をご飯マシーンか、景色の一部くらいにしか思ってないでしょう。
(マスター曰く、敵とは思ってない、らしい)
しかしながら、我々のおぼつかない飼育でも
いままで病気にならず(たぶん)
ストレスもなく(たぶん)
のびのびと育っている(たぶん)
のは
マスターのお見立て通り、
うちのだいずはヤモリの中でも
すごく性格が良くてタフな子なんだと思うんです。(たぶん)
他の子を知らないからよくわからないけど、おっとりしてるんでしょうね。
ちょっとやそっとじゃビビらない。
私が目の前で踊ろうとも、爆音で歌おうとも
「ほーん、またなんかやってるわ」
くらいの顔で、寝ながら横目で見てきます。
そりゃ、飼う時狙ってた別の人が
「えっ、その子売れちゃったの…?」
ってBGMドナドナ、みたいな顔してた訳ですよ。
抜群にイケメンだしね!(たぶん)
後で分かったのですが、興奮するとほんのり赤くなるちょっとレアな子だったみたいです。
実際のところ、オウカンミカドヤモリ(別名クレステッドゲッコー)はまだまだ飼育方が確立されてないようで
色々調べましたがまだコレ!という正解はないようで。
いぶし銀マスターも
「こんな小さな体じゃ治療もできないから、病気になったらどうにもできない。
だからまず、病気にしない努力をしてほしい!
でも万が一その子に何かあっても、それは天命だからしょうがない!だから気にしないで。」
って言ってました。
(このマスターが爬虫類ラブな素敵な方なのでその話は別の機会に。)
こんな素敵なマスターから引き受けた
小さな小さな手のひらサイズのいのち。
時々、BGMドナドナでだいずを見送ったあの方のもとに行った方が環境ばっちりで幸せだったのかな…なんて思う時もあるのですが
マスターが私たちに「君に決めた!」と預けてくれたこの命を
どこに行くよりも幸せにしてあげなきゃ!
と思うのです。
✳︎
芸もしない
手にも乗らない
呼んでも来ない
それでも。
ただただ一生懸命、呼吸して生きてる。
その姿が可愛くて愛おしくて!
我が家のだいずは
箱に入ってウチにやってきて
なんだかやたらに大きくて広い水槽をもらって
世界一甘やかされて愛されてる
正真正銘の箱入りヤモリなのです。
今夜も元気いっぱい暴れてる音が聞こえる。
夜はだいずの時間!
人間は邪魔をしないように早々と眠るとしましょう。
はー!かわいい!!
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