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つむぎ

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詩人・佐藤咲生。
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2022年4月の記事一覧

詩「ゼラチン」

明けの空はゼリーのように光を通し
どこかジューシーな色をしているもの
私の体もまるでやわらかいゼリーのように
スプーンの先っちょに束の間 反発をして
それから溶けるようにすべてを包み込んでしまう
愛することに 目をつむり
受けいれることは 愛に足らず
勝手に鋭利になる あなたさえいた
苦しむことは罪だとおもったから
透ける体でゆれている

年を重ねると 許してみたくなるものか
許してみたくなること

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詩「ぬいぐるみ」

会って話したいことなど無いのに、会って話がしたかった。
ひさしぶりにお昼いっしょに食べよう。
再生されるあなたの声には、わたしの声が少し、混じってる。

わたしはあの頃よりわたしなのよ。それはもう、間違いがないのよ。
繕いが上手になりました。自分の孤独は自分自身にやさしく詰めこんで、丁寧に縫い合わせよう。
あなたをやさしく愛したいから、まず必要なのは細やかな麻酔だった。
嘘はつかないこと。嘘以外の

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