詩「ゼラチン」

明けの空はゼリーのように光を通し
どこかジューシーな色をしているもの
私の体もまるでやわらかいゼリーのように
スプーンの先っちょに束の間 反発をして
それから溶けるようにすべてを包み込んでしまう
愛することに 目をつむり
受けいれることは 愛に足らず
勝手に鋭利になる あなたさえいた
苦しむことは罪だとおもったから
透ける体でゆれている

年を重ねると 許してみたくなるものか
許してみたくなることは
自分に許されることだという
私は真夜中をまだ 忘れてはいないけど

空がどこまで溶けてしまえるか見に行くの
夜も朝もない場所へ
そのとき 私はあなたよりも強く あなたよりもやさしく

 悲しければ悲しいほど
苦しければ苦しいほど
やさしく包み込んでしまう
はやくそういう体になりたい
私の孤独はこの体を
切ないやわらかさに保つためのはたらきなのです
どんなに一人で生きていたって
いつかは神様が美味しく召しあがってくれるだろう

体が どんどん透明になっていく


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