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インドネシア

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2019年2月@インドネシア・ロンボク島&バリ島
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記事一覧

制服の役割

バリ島ではバリの私立校の校長先生と共に過ごしていた。 実際に彼の学校も訪問し、優秀な高校生と先生方とのディスカッションの時間もいただいた。 先生は敬虔なヒンドゥー教徒で毎日の瞑想と宗教の勉強の時間を欠かさない。お家では24時間マントラが流れていた。 そんな彼と彼の奥さんと一緒に夕食を食べていた時のこと、学校の宗教と制服の話になった。 バリ島はインドネシアにありながらヒンドゥー教徒がマジョリティの珍しい島である。学校にはムスリムや仏教徒の生徒もいるがマイノリティ。 先

消費社会の到来

ロンボク島で、日本で出稼ぎ労働者として働き、現在はバリ島に自分のホテルを経営したり、ジュエリーを作ったり、様々な自分の事業をやって大成功したロンボクバリ人に会った。 日本語がとても上手で、東京の土地勘もあり、穴場なレストランなどを知っている。 彼は今となってはロンボク島の中でも指折りのお金持ちで、私をシェラトンホテルのビーチに連れていってくれたり、ショッピングモールで色んなものを買い与えてくれた。 シェラトンホテルに入ればスタッフみんなが彼を知っていてVIPな対応をしてい

インドネシアで見えてきた女性が暮らしにくい日本

インドネシア滞在中に私は「女性に対する男性のふるまい」について文化の違いを感じていた。 ある時、村の男の子が私に「こんなこと聞いて悪いんだけど…」と謝った後に「さきは何歳?」と聞いてきて拍子抜けしてしまったことがあった。 彼はどこかで日本では女性に年齢を聞くのは失礼だという情報を聞いたことがあるそうだ。それでも、彼の家族や友だちが私の年齢を知りたがっているから、勇気を振り絞って聞いたのだという。 その時、彼に「日本ではなぜ女性の年齢を聞くのは失礼なの?」と純粋な質問を投

Facebookの使い方にも文化がある

SNSとの向き合い方は世界中どこでも考えるべき課題であると思う。 都内で電車に乗っていると携帯の画面とにらめっこしている人はたくさんいるし、私もその一人。 目の前に友だちがいても、遠くの友だちと会話ができてしまう。 希薄になりつつある日本の人と人とのつながりをますます遠ざけてしまう。 世界を旅するといつも驚くのは、電気も通っていないような家に住んでいる人も携帯を持っているということ。そして若者の多くはSNSを使いこなしている。 インドの北部標高3500メートルに位置す

YouTubeが伝統を取り戻す時代

ロンボク島のブウンスジャティ村で村ガイドをしているマデは20代。 彼は、村を訪れる人たちにロンボク島の自然や伝統の魅力を伝えたいと、頭を捻っていろんなアイディアを生み出し実践している。 実は私は彼の最初の宿泊客。張り切って素敵なプログラムをたくさん考えて待っていてくれました。 村について最初に作ったのはヤシの葉で作った帽子。 ヤシの葉を切るところから丁寧に教えてくれて40分くらいで完成。単純なようで複雑な作業です。 これが完成形。オリジナルの帽子お気に入りです。

いのちが身近にある暮らし

ロンボク島の村にいるとなぜか”いのち”が身近に感じる。 村自体が生きていて呼吸をしているように思えてくる。 村人の会話と笑い声がそこかしこに聞こえてきて、子どもたちは裸ん坊になって川に飛び込んで遊んでいる。 村を歩けばあいさつを自然に交わし、コーヒーを飲んで行かないかと聞かれる。 子どもたちが駆け回り、赤ちゃんを抱えたお母さんたちが立ち話しをし、青年たちががバイクに乗ってHi!と手を振っている。どの瞬間を切り取っても、生き生きとした村の姿が私の心を躍らせる。 鶏の卵が

「ゴミ拾いをしてもこれをどうしたら良いのかわからないんだ」

インドネシア・ロンボク島の村で友だちが、語り合いの時間を持つために、連れて行ってくれた川岸にあるあずま屋はお菓子やペットボトルのゴミに溢れており見苦しい状況だった。 そこで私たちはそこのゴミ拾いを始めた。 私が持っていた3枚のレジ袋はあっという間にいっぱいになり全てのゴミを拾うことはできなかった。 袋いっぱいになったゴミを持ちながら村の青年が「拾ったはいいものの、僕たちはこれをどうしたら良いのかわからないんだ」と悲しそうに笑った。 ひとまず、そのゴミ袋を私のホームステイ

It is nice to have friends

”It is nice to have friends.” これは2015年にイスラム国によって殺害された後藤健二さんが私の母校で特別講義をした時にアフリカからのお土産として贈ってくださった木のボードに記されている言葉です。 後藤健二さんの死を受けて私の母校では、彼の死を偲ぶ想いから平和に関する作文コンクールが行われ、そこで優良賞をいただいた私は同じをボードを記念品としていただきました。 ずっと部屋の同じ場所に飾っていると見慣れてしまっていましたが、今回のインドネシアの

物乞いにかける言葉

ロンボク島の中心地のマタラムにある公園で座って友だちとおしゃべりをしていると、「お金をください」と子どもが寄ってきたり、ギターを持った人が目の前で歌い始めたりする。 アジアを旅行するとどこでも見るような光景であるが、一緒にいた友人がインドネシア語で何かをいうとみんな離れていく。 そんな魔法のような言葉があるのか、もしかして相当ひどいことを言って追っ払っているのではないかと少し心配になって彼に言葉の意味を恐る恐る聞いてみた。 インドネシア語で「サバール」という言葉を彼はPa

お金と私の関係

お金は何かと交換するための手段である。 水が欲しければ、お金と水を交換する。 この水に対して、これだけのお金を払うことが妥当であると納得するからお金を払う。水とお金の価値は対等でなくてはならない。 お金はものだけでなく、サービスと交換することもある。 お金を交換の手段として使うとき、受けるサービスは支払ったお金と同等の価値を持つことが前提となる。 「旅行」はお金とサービスの交換の繰り返しである。 ホテルでも、スパでも、レストランでも、トレッキングでも、ドライバーにも、

持続可能なリゾートホテル

バリ島の高原地帯に位置するムンドゥックにMunduk Moding Plantation (MMP)という名前の4つ星のリゾートホテルがある。 「リゾートホテル」と聞くと、世界のお金持ちが休暇を楽しむために、現地の自然や文化を消費するようなイメージがあって好きではなかった。 バリ島で私は知人の家に泊めてもらっていたのだが、彼女の知り合いがホテルの副会長であるとのことで、特別にホテル内のガイドをしてもらう機会に恵まれた。 彼は、ムンドゥック出身でオーストラリアで勉強したの

「若い」というエネルギーと自由

インドネシアで私は本物の「若もの」と出会った気がした 満ち溢れるエネルギー どんなにくだらないことも、どんなに無謀なこともチャレンジできる自由 そして自分たちがこの社会の、この国の未来を作っていくという自覚と責任感 インドネシア・ロンボク島の若者たちは自分たちの村を持続可能な形で発展させていこうと切磋琢磨している。その姿はキラキラしていて輝かしかった。 彼らと一緒にいるととにかく楽しい。ジョークを言って、いたずらして、ゲラゲラ笑って、歌って、ふざけて、とにかくじっとして

旅人になるということ

「観光」というのは、相手の文化や宗教、自然を消費するようなイメージがあり好きではない。私は、海外を訪れる時にいつも「観光客になりたくない」と矛盾した気持ちになる。 でも、だからと言って海外に行くのをやめようとは思えないのは私のわがままなのだろうか。新しい文化を知りたい、新しい環境に身を置きたい。この欲求は心にしまっておくべきなのか。そう悩むことがある。 インドネシア・ロンボク島の村を訪れた時に村の青年が言っていたことが印象的だった。 「この村の人々は海外に行くようなお金