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It is nice to have friends

”It is nice to have friends.”

これは2015年にイスラム国によって殺害された後藤健二さんが私の母校で特別講義をした時にアフリカからのお土産として贈ってくださった木のボードに記されている言葉です。

後藤健二さんの死を受けて私の母校では、彼の死を偲ぶ想いから平和に関する作文コンクールが行われ、そこで優良賞をいただいた私は同じをボードを記念品としていただきました。

ずっと部屋の同じ場所に飾っていると見慣れてしまっていましたが、今回のインドネシアの旅で私はこの言葉を改めて心に刻むことになりました。

私はロンボク島のランタン村でのホームステイ中、村の若者たちと夜中まで野外でギターを弾いて歌い、語り合う時間が大好きでした。

ある夜、私たちは宗教について語り合い、私は彼らが私にとって初めてのムスリムの友だちであることを伝えました。

そして、私は彼らと出会い一緒に時間を共有するまで、自分がムスリムに対して少なからず偏見を持っていたことを話しました。中東での戦争やテロリズムとイスラム教の関連性を強調する報道の影響は、私にも無意識のうちにムスリムに対して「怖い」という偏見を植え付けていたのです。

そんな話をしていたとき、村の男の子の一人、ハブサンが立ち上がって両手を手を広げ、悔しさに満ちた顔で「俺はムスリムだ。サキ、俺のこと怖いか?」と真っ直ぐ私の目を見て言いました。
彼は私に怒っているのではありません。目の前で一緒に歌って笑い合って平和な時間を共有している私にでさえ、ムスリムに対する偏見があったという事実が悔しいのです。

そのあとホストブラザーのオパンが立ち上がって平和の握手をしようと私に手を差し出しました。

私はその時、"It is nice to have friends"という言葉とボードに書かれた握手の絵が頭に浮かんでいました。
相手がどんな宗教的、文化的、社会的な背景を持っていたとしても、友だちを怖いと思うことはありません。

人の想像は現実とは異なった方向へ広がることがあります。でもたった一人の友だちの顔を頭に思い浮かべることさえできたら、現実とかけ離れ浮遊する想像は終わりを遂げる。

It is nice to have friends...
友だちがいることは、私にもあなたにも世界にもナイスなことなのです。

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