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マンゴスチンの引き出しがない

中国で長く暮らした友人が、あちらは果物が豊富で安いと話していました。日本であまり見かけない様々な果物が、スーパーの青果売り場にいっぱい並んでいるそうです。

メロンひとつ取っても種類がたくさんあるし、マンゴスチンが手に入りやすくてとても美味だと言っていました。
「果物の女王」と呼ばれていますよね。


私は随分昔にマンゴスチン味のガムを噛んでいただけで、女王そのものに出会ったことがありません。
どうやらその人もマンゴスチンガムを経験していて、実物も結構近い感じとのことでした。

それでも私自身は、依然としてマンゴスチンを知っているとは言えないな、と思いました。

コーヒーを試飲して、そのフレーバーを他の人にも伝わるように表現するのは、難しいです。Twitterのコーヒー界隈でも、異口同音にそのことがつぶやかれている気がします。

どうしたって、自分の知らないものは引き出しとして存在しないのです。
マンゴスチンに例えられるコーヒーがあるのかどうかわかりませんが、評価時にしばしば言及される、カシスやブラックベリーといったフルーツも食べたことがありません(記憶が正しければ)。となると、コーヒーの香りや味を説明するとき、そうした語彙を使うことはできません。
逆に、あるコーヒーを味わったときに、何か呼び覚まされてぴったりの表現が自然と出て来たら、理想的です。

ですから、いろんな食べものや花などに興味を持って触れていくことが、感受性や表現力を強化することにもなるんだと思います。
料理やお菓子作りもそうだし、本を読むとか芸術に親しむとか、いろんな経験が案外、引き出しをゆたかにすることに繋がるかもしれません。

すべての道はローマに通ず。(ちょっと違う)

しかし、「シルクのような舌ざわり」とか「ベルベットのような質感」はよくわからないでいます。
布を持ちだすなんて、もはや文学。
と今のところ怪訝に思っていますが、やがて理解できるようになれたなら嬉しいです。


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