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【sake×中華研究会 第2回】 餃子と日本酒!の練習。

麻婆豆腐に続いて、中華の大人気メニューといえば餃子!今回は焼餃子と水餃子の両方を作って、日本酒との相性を研究してみました。
実施が急だったので比較的近所に住むワイン好きの友人に集まってもらいましたが、人数が少なかったので今回は練習!という形で実施。餃子は人気メニューなだけに、それに合う日本酒は何回かに分けて研究していこうと思います。

今回のメニュー

6月に実施したので、夏らしいメニューにしました。

  • 凉拌茄子(蒸しなすの冷菜)

  • 锅贴 猪肉圆白菜+大叶(焼餃子 豚肉+キャベツ+しそ)

  • 水饺子 猪肉茴香(水餃子 豚肉+フェンネル)

  • 水饺子 猪肉青椒(水餃子 豚肉+ピーマン)

  • 西红柿炒鸡蛋(トマトと玉子炒め)

  • 酸辣汤(サンラータン)

餃子の生地から手作り

ちなみに、中国で餃子といえばだいたい水餃子です。焼餃子は餃子と書かずに鍋貼と書く場合が多いです。
水餃子は具が選べて、肉は主に豚、牛、羊から、野菜は白菜、セロリ、フェンネル(ういきょう)、しいたけ、たけのこ、などなど多種多様。その組み合わせから具ができるので、ほとんど無限の組み合わせがあります。
エビや魚などのシーフード、野菜だけのもの、トマトとたまご、などのバリエーションもあり、何度食べても美味しい中国の大衆メニューです。
筆者の一番のお気に入りは、今回作ってもらった「猪肉茴香」豚肉とフェンネルの餃子!豚肉の油とフェンネルの爽やかさがベストマッチ!
なお、今回餃子の具にはニンニクを入れていません。中国でもそのような場合が多く、ニンニクは薬味として黒酢の中に入れて食べます。

水餃子は茹でたてが美味しい
焼餃子。日本の普通のものより皮が厚くてサクサク!

今回のお酒

  • 会津中将 夏限定吟醸酒

  • にいだしぜんしゅ 生もと 燗誂

  • ハッピーどぶろく 湖北はみ出し米

  • 麒麟本醸造 濃厚オールド(ブレンド熟成酒)

  • 瀧自慢 夏吟醸

今回のお酒。これにもう1本、瀧自慢が加わりました。

他にもキリンビール(晴れ風)、赤ワイン、スパークリング白ワイン(スプマンテ)も参考に飲んでみました。

研究結果

焼餃子と水餃子では合う酒が異なり、また、水餃子でも具材の肉に注目するか、肉以外の味に注目するかで意見が別れました。

1)重めの焼き餃子にはふんわり軽いどぶろく!

焼餃子は水餃子に比べるとやっぱり油が多くて重い印象。それにサクサクの皮が少し焦げて香ばしい。
その味に一番合ったのが、ハッピーどぶろくでした。

◯ ハッピーどぶろく 湖北はみ出し米(滋賀/ハッピー太郎醸造所)

品目のところ、清酒ではなく「その他醸造酒」になっています。

このどぶろくは日本の法律上清酒にならない、いわゆる「クラフトサケ」。なぜ清酒にならないのかといえば、米と麹で発酵した「もろみ」を濾していないから。普通、清酒は発酵した後、濾す必要があるんです。だから「清い酒」と書くんですね。
このハッピーどぶろくは白麹で造っているので、爽やかなクエン酸の酸味も特徴的。飲んだ感じは、全体にふわっとしていて、軽くて優しい爽やかな味わい。どろどろしているので重いのかと思いきや、ふんわりした軽さがありました。アルコール13°なので軽いのも納得です。

このふんわり感が、焼餃子の濃い油を包み込むように感じられました。焼餃子の重さをどぶろくの軽さと柔らかさで包むような感じ。しかも焼餃子のちょっと焦げた苦味が、どぶろくの爽やかな酸味と調和して良いバランスでした。

全体に、このどぶろくが今回の中華料理メニューに一番合ったようで、一番早く瓶が空になりました。

2)水餃子の肉に注目するなら、甘めの熟成酒

水餃子の具材には肉が入りますが、肉の味を際立たせるために砂糖も入れます。その肉の味に日本酒を合わせるなら、同じように甘めのお酒が合いました。

◯ 麒麟 本醸造濃厚オールド (新潟/下越酒造)

18年古酒ブレンドで2200円は安い

18年寝かせた古酒主体に、他のお酒にブレンドして作った熟成酒。
香りはカラメル、醤油、コーヒーなど熟成酒の王道の香りですが、飲んだ感じはスッキリ甘口。もちろん旨味や酸味もありますが、全体には透明感のある甘みが特徴。熟したバナナやチーズケーキを思わせるようなお酒です。

焼き餃子にも、水餃子にも肉を入れますが、肉の旨味や脂とバランスする甘みも入れます。その肉の甘味を、この甘口熟成酒が更に際立たせる感じで調和していました。

にいだしぜんしゅも熟成した香りが特徴でしたが、この麒麟熟成オールドは特に甘みが際立っていました。(常温にてテイスティング)

3)水餃子のアクセント(肉以外の具材)に注目するなら、爽やかな日本酒や、酸のある日本酒!

水餃子には肉以外にも野菜やハーブなどの具材を入れますが、これがいわば餃子のアクセントになる味。とはいえ、脂をまとった肉の味のほうが断然強い。そこへ、そのアクセントを引き立たせる日本酒を合わせると、餃子の脂っぽさが下がり、とてもバランスが良くなりました!これぞペアリングの妙!

◯ 瀧自慢 夏吟醸 (三重/瀧自慢酒造)

忍者の里、伊賀の赤目四十八滝にちなんだ「瀧自慢」

りんごや洋梨を思わせる爽やかな香りに、シャープで軽い口当たり。後からくる苦味もキレを引き立たせてくれて、夏らしい軽快でキリリとしたお酒。よく冷やして飲みました。

このお酒に、ピーマンの苦味が調和しました!水餃子(豚肉+ピーマン)のピーマンを際立たせてくれる。そのおかげで餃子の脂っこさが下がり、すっきりとした印象に。
フェンネルの餃子にもよく合いました。肉の脂や甘みに隠れて少し目立たなかったフェンネルの爽やかな香りを、日本酒の爽やかさが後押ししてくれた感じでした。

◯ にいだしぜんしゅ 生もと 燗誂 (福島/仁井田本家)

自然栽培米でつくるしぜんしゅ。

自然米と自然派酵母で造る純米酒シリーズ、にいだしぜんしゅ。水質保全や環境保護を考えて、蔵の周りの山を自分たちで管理するという徹底した環境志向蔵元。その味わいも、もちろんどっしりした自然の味。
かつおぶし、ナッツ、熟したバナナやチーズなど、いま流行の吟醸香とは全然違う腰の強い香り。口に含むと旨味が爆発するようで、強い酸味が旨味にバランスしています。

この酸味に、水餃子のピーマンの味が引き立ちました。同時に、肉の旨味と甘味にこのお酒の持つ酸味が合わさって、バランスの良い味わいに変化しました。

4)ビールと比べて日本酒が餃子に合うのか?

餃子に合うのはビールか日本酒か

主題は中華と日本酒のペアリング研究ですが、なぜわざわざ日本酒なのか?やっぱり中華にはビールじゃないの?と思われる方も多いと思います。(私も最初はそう思っていました)
しかし、今回ビールを一緒に飲んでみて、「ビールよりむしろ日本酒だ!」と確信するに至りました。

なぜか?ビールの特徴は炭酸と苦味です。餃子にビールが合うのは、餃子の脂をビールの炭酸と苦味が洗い流してくれるから。また、ビールの味が餃子より格段に軽快なこともあり、口の中がリフレッシュして非常に爽快です。

しかし、日本酒の場合は餃子の味を洗い流すのではなく「調和」します。日本酒には餃子に負けないくらいのボリュームがあるので、洗い流す感じにはならず、その代わり、肉汁の旨味や甘味、または具材の野菜が持つ爽やかさやさっぱり感を引き立たせてくれる。それによって餃子の味がワンランクアップするのです。特に、具材の野菜を引き立たせる爽やか系の日本酒との組み合わせはおすすめです。肉の味に偏りがちな餃子の味のバランスを整えてくれます。

具材の種類によっては、ほかの日本酒にも合うと思います。例えばエビ餃子やトマト玉子餃子なら、また違った結果になると思います。

もちろん、ビールの喉越しと餃子の脂はよく合いますが、日本酒との組み合わせは餃子の味をアップさせるマジック効果がある!と言えるかもしれません。

水餃子にはビールよりむしろ日本酒!

5)おまけ:赤ワインとスプマンテは?

赤ワインはやはり予想通り肉系の料理(餃子)によく合いました。最近中華とワインというお店もたまに見かけますが、おっしゃる通り!という印象。肉の旨味と脂が、赤ワインの渋み、酸味と調和してバランスの良い味になります。
トマト玉子炒めには、料理のほうが淡白すぎていまひとつ。この料理には麒麟熟成オールドがよく合いました。料理にも酒にも甘さがあって、味が地続きになる印象。

スプマンテはシュワシュワで爽やか!でしたが、醤油や黒酢の味と調和せず、ちょっとアジア料理には難しいのかなという印象でした。

まとめ

餃子に合う日本酒は、餃子の肉の味を引き立たせるか、肉以外の味を引き立たせるか、によって選ぶお酒が変わるということが分かりました。
個人的には、ハーブ入りの餃子に爽やかな日本酒を組み合わせて、ハーブの味を引き立たせるような組み合わせが一番好きです。
餃子にはビールじゃなくて日本酒だ!

かすかなフェンネルの香りを日本酒が引き立たせてくれました!



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