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【奇声を上げる夫11】 義母の洗礼

たぶん、彼は私の提案を受け入れるだろう。
覚悟は必要。

彼のメンタルにどこまで自分が耐えられるか。
大きな代償がある。

治療院の先生が頼れるうちはいいけれど、
いずれは自分でかんがえていかなければならない。

そこから先が見えない。

でも、彼と一緒に変わることができれば、
先は見えてくるだろう。

そして、これまでの決意を彼に伝えた。

「住宅公団が当たったんだけど、
婚姻関係にないと入れないそうだ。

たとえば、ダブルの収入で家賃を払い続ければ、
今の家賃の3分の2で良くなるみたい。
部屋の広さは、今の4倍以上になる。
しかも新築….」

彼は考えていた。

すぐに返事はあるとは思わなかったけど、
比較的早く決断したようだ。

「入居する」と。

「ということは"結婚"ということだけど、
了承いただけるだろうか?」

私は聞き返した。

「はい」

返事はもらったものの、
嬉しさより、彼と一緒にどんな仕事ができるか、
私が彼の仕事においてどんなバックアップができるか。
そんなことを考えていた。

これから、いろいろなことをやらなければならない。
まずは、入居までに婚姻届を出さなければいけない。

その前に、お互いの両親と顔合わせをしないといけない。
いろいろと段取りが必要だ。


結婚の約束から数週間後、彼に両親を紹介しなければならないと話をした。
すると、彼はまだ両親に伝えていなかったらしく、
自分のおもったペースで事は進んでいなかった。

そんなこんなで、第一歩を踏み出すまでに時間はかかったけど、
ようやく私は夫となる彼の両親へ挨拶にいった。

東京から約3時間のところにある。
3本の電車をのりついでようやく到着した。

玄関に到着し、はじめて義母、義父となるご両親に挨拶をした。

あまり緊張はしていなかったけど、
いろいろな質問に少しびっくりしていた。

・履歴書とプレゼン資料はないか?
・どこの大学を出られたのか?
・これからのビジョンは?

どうやら、私は面接に来たようだ。

まぁ、そんな家庭もあるのかと思った。

義母は、先日猫を拾ってきたそうだが、
その日に、彼から結婚の連絡を聞いたとのこと。

猫と一緒に嫁を拾ってきたと
笑っておられましたが、
大学も出ていない、名も無い会社で
デザインを仕事にしている人間なんて、
そんな扱いになるのか〜と思った。

彼の”死にたい理由”を垣間見た面接となりました。


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