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動画で学べるシリーズ!日本酒講座「製法編 製麹」

みなさんこんにちは❗️
今回の動画で学べるシリーズ第4回は「製法編 製麹」についてです!
動画だけでなく文字でも解説していくので、お好みの形式でお酒のことを学んでもらえればと思います🍶
コチラのチャンネルの動画をベースに解説を進めていきます!

今回はコチラの動画になります!
この動画では日本酒の製法のうち、製麹について解説しています!
製麹とは米麹を作る工程のことです。

1.米麹の役割
2.製麴工程
3.様々な製麴

今回はこの3つの項目で進めていきます!

1.米麹の役割

麹の役割について説明していきますが、まずは醸造酒の発酵形式について触れておきます。
醸造酒とは発酵によって得られたアルコールをそのまま飲用するお酒の分類です。
醸造酒の中でも、発酵の形式により、単発酵と単行複発酵、そして並行複発酵の3つのタイプに分類されています。
それぞれに代表するのが、ワイン、ビール、日本酒となっています。
一番シンプルなのは、単発酵と呼ばれる形式で、果実など糖分が豊富に含まれる原料をアルコール発酵させてできる醸造酒です。
単行複発酵とは、原料のデンプンを先に糖化してから別行程でアルコール発酵を行う醸造酒です。
そして、並行複発酵というのが、デンプンの糖化とアルコール発酵を同じ行程で行う醸造酒のことを言います。
このように、酒造りは、デンプンの糖化アルコール発酵の2つのプロセスで構成されています。

日本酒において、米麹はデンプンの糖化を主な役割としています。
正確に表現するなら、麹菌が生産した酵素が糖化を行っています。
実際の仕込みタンクの中では、麹菌が働いているのではなく、製麴の段階で生み出された酵素がデンプンに作用しています。
製麴という工程は、この酵素の生産をコントロールしていく大事な工程です。
麹菌の生み出す酵素は糖化に関わるものだけではなく、タンパク質や脂質を分解する酵素も含まれます。
これらが日本酒の味わいに大きな影響を与えます。
日本酒造りには「一麹、二酛、三造り」という言葉があり、昔から最も重要な工程だと認識されています。

2.製麴工程

ここから、麹造り、製麴の各工程についてです。
ここでは手作りで行う製麴について説明していきます。
製麴は大きく分けると7つの工程からなっています。
前半が麹菌を増やしてお米に根付かせる期間。(黄)
後半が酵素の生成をコントロールする期間となっています。(緑)
では、それぞれの工程を順番にみていきましょう。

引き込み

まずは引き込みについてです。
蒸しあげたお米を35度前後まで冷却した後、麹室にそのお米を運び込む作業のことを引き込みと呼びます。
麹室は麹造りに適した環境を備えた場所で、室温が高く清潔に保たれています。
麹室の造りにより様々ですが、この時の室温は30〜35度です。
そこで一度お米をまとめてから広げるなどの作業をし、温度を均一にしてから、余分な水分を飛ばしていきます。
広げたお米を裏返したりして、均一に水分が飛ぶように手入れも行っていきます。
そして手触りなどでお米の状態を判断し、水分量や温度などが目標の状態になった場合、次の工程へ移っていきます。
目標の状態や手法によって変化しますが、ここまでで2時間ほどかけています。

種切り・床もみ

次の工程は種切り、床もみです。
種麹という麹菌の素になるものから胞子をお米に振りかけていくことを種切り、その胞子をお米一粒一粒に満遍なく馴染ませるようにしっかり混ぜ合わせていくことを床もみと言います。
胞子を振りかける量や振り方は、作り手や目的によってさまざまで、麹菌にもたくさんの種類があり、それを使い分けています。
胞子は大変軽いため、舞い上がってしまわないように麹室の空気の動きが最低限になるように作業を行います。
前回の原料加工の際に説明した、外硬内軟の状態だと床もみの作業の際にお米同士がくっつきにくく、胞子をしっかりと全体に行き渡らせやすくなります。
この時の温度は31度前後で、そこから温度や水分量が下がりすぎないように、全てのお米をひとまとめの状態にし、布や毛布でくるみ、麹菌が発芽していくのを待ちます。

切り返し

次の工程は切り返しです。
お米の塊を崩して混ぜていく作業になります。
ひとまとまりの塊の状態だと表面が乾燥し、中心部分の酸素が減少していきます
それを均一にするために行ないます。
この作業は複数回行う場合もあれば、盛りまで一度も行わない場合もあります。
かなり手間と労力のかかる作業であり、切り返し機などの機械で行う場合もあります。

盛り

次の工程は盛りです。
切り返しを行っていなかった場合、この段階で一度は行ない、塊をほぐします。
これまでひとまとまりで管理していたお米をほぐして、専用の容器や台に盛っていく作業です。
この時点で引き込みから約24時間になりますが、ここからさらに麹菌が繁殖していくため、温度が上昇していきます。
その温度上昇をコントロールするために行う作業になります。
見た目にも白くなる箇所が見え始め、麹菌が繁殖していることを確認できます。
お米の温度や水分量をみて、盛る厚さや形状を調整していきます。
この時点での温度は32度前後で、この状態で温度が上がっていくのを待ちます。

仲仕事

次の工程は仲仕事です。
麹米を攪拌し、更なる温度上昇に向けて厚みや形状などの盛り方を調整していきます。
この作業は温度や水分量を均一化し、全体に酸素を行き渡らせることを目的に行います。
この頃になると、麹菌が菌糸を伸ばし始め、麹米同士がくっつくので改めてほぐしていきます。
行うタイミングは36度前後になります。
ここまで到達するまでの時間や、仲仕事でどの程度温度を下げるかなどで酵素の生産量を調整していく技術や経験の必要な作業になってきます。
この温度帯では、タンパク質を分解する酵素が多く生産されます。

仕舞仕事

次の工程は仕舞仕事です。
こちらも作業としては仲仕事と同様に麹米を攪拌し、盛り方を調整していきます。
どんどん温度が上昇していくのですが、45度以上で麹菌の生育が停止してしまうと言われているので、上がりすぎないようにしていきます。
行うタイミングは40度前後です。
この温度帯でデンプンを糖化する酵素が多く生産されるので、40〜43度ほどでしっかり温度をキープできるように注意を払っていきます。
この後は基本的に手入れをして攪拌を行うことはないので、被せる布や、空気の流れなどで調整していきます。

出麹・枯らし

最後が出麹、枯らしです。
使用目的によって、出麹までの時間は異なりますが、麹菌が酵素を十分生産した後、菌糸を張り巡らせて固まった麹米をほぐして、麹室から出す作業になります。
麹米は栄養価と水分が多く、雑菌も繁殖しやすい条件になっています。
そのため、しっかりと麹米を乾燥させてから、冷やして使用の時まで保存します。
これを枯らしと呼びます。
麹菌の生育は止まりますが、麹米に蓄えられた酵素はそのまま維持されます。

以上が製麴の流れになります。
全てを終えるまでは2日以上の時間がかかります。
麹作りで全体を通じて重要なのが、温度管理です。
少しの変化でお酒の味わいに影響が出るので、しっかりと注意していくことが必要です。
温度の上がり方は条件によって様々なので、臨機応変に対処していかなくてはなりません。
そのために泊まり込みで作業する場合もあります。

3.様々な製麴

ここまでは、基本的な製麴について解説してきました。
製麴といっても規模や目的によって様々な方法があります。
ここからはそれを紹介していきます。
先ほど、盛りの工程で容器や台に移し替える作業をすると言いましたが、これにも様々な種類があります。
手作業で大量に麹を作る場合は、床麹法と呼ばれる大きな作業台で行われます。
一段階小さくなると箱麹法、さらに小さくなると蓋麹法と呼ばれています。
小さい規模の方が温度を細かく管理できるのですが、作業が増えるため、作り手の方針でどの方法を用いるかを決めています。
基本的に設備は木製でしたが、近年ではタライ型のプラスチック容器を用いたタライ麹も全国的に普及してきています。

こちらは水分の蒸発をコントロールしやすく、一定の品質の麹が作りやすいので、マニュアル化した現代の酒造りに適しています。
他の現代的なものになると、機械を用いた製麴になります。
盛りまでは手作業で行う機械や、全自動で麹を作れる機械も存在しています。

製麴の方法も様々ですが、出来上がる麹米にも種類があります。
目的の酒質に合わせて、それを使い分けていきます。
一つが総破精です。
お米全体に満遍なくしっかりと菌糸が覆っていて、かつ菌糸が内部まで繁殖している麹米です。
総破精の麹米は酵素がたくさん生産されるので酵素の力が強く、濃厚な味わいの日本酒を作ることに適しています。
ちなみに、「破精」というのは菌がお米に繁殖することを意味する言葉になります。

もう一つが突破精です。
こちらはお米の表面にまばらに繁殖しているが、菌糸が内部までしっかりと根を張っている麹米です。
比較的酵素の生産が少なく、酵素の力が弱めなため、爽やかな味わいの日本酒を作ることに適しています。
先ほどのタライ麹を用いた製法ではこの突破精の麹米が作りやすいと言われています。

反対によくない麹とされているのが、表面だけで奥まで繁殖しなかった塗り破精、菌糸が繁殖しすぎたバカ破精、菌糸が繁殖しなかった破精落ちです。
いい麹米の条件としては、菌糸がお米の内部までしっかりと繁殖していることになります。
この条件を満たしやすくするためにお米を蒸す際は、外硬内軟を目指しています。
外側が乾いていて、内側に水分が多いと、菌糸が水分を得ようと内側へどんどん食い込んでいくからです。
酒造りは蒸す段階から重要なことが改めてわかります。

今回は製麴というテーマで講義を進めてきました。
一麹、二酛、三造り、という言葉で一番大切と言われている項目を終えましたが、ここからの工程も負けず劣らず、酒造りには大切です。

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