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動画で学べるシリーズ!日本酒講座「原料編 酵母」

みなさんこんにちは❗️
今回の動画で学べるシリーズ第13回は「原料編 酵母」についてです!
動画だけでなく文字でも解説していくので、お好みの形式でお酒のことを学んでもらえればと思います🍶
コチラのチャンネルの動画をベースに解説を進めていきます!

今回はコチラの動画になります!
この動画では日本酒の原料のうち、酵母について解説しています!

1.酵母の役割
2.清酒酵母

今回はこの2つの項目で進めていきます!

1.酵母の役割

まずはお酒造りに欠かせない微生物である酵母について解説していきます。
酵母とはイースト菌とも呼ばれ、様々な発酵食品に関わる単細胞の微生物です。
微生物といっても、乳酸菌などの細菌類とは異なり、カビやきのこに近い仲間になります。
樹木や果実、土壌中など、自然界のどこにでもいるありふれた菌になります。
栄養を得るために主にアルコール発酵を行い、糖分からアルコールと二酸化炭素を作り出します。
お酒の発酵ではアルコールが目的に、パンの発酵では二酸化炭素、つまり、炭酸ガスが目的として使用されます。
また、アルコール発酵以外にも様々な成分を生成しており、お酒や発酵食品の香りや味にも大きな影響を与えています。

ここから、日本酒における酵母の役割について解説していきます。
先程言ったように、一番の役割はアルコールを生み出すことになります。
日本酒では原酒で18度前後まで発酵することが多く、醸造酒の中でもアルコール度数が高めです。
他の醸造酒ではワインが12度前後、ビールは5度前後になっています。
しかし、酵母の役割はアルコール発酵だけではありません。
ある意味こちらの役割が重要かもしれませんが、酵母が生成に関わるその他の成分が日本酒の香りと味を作り上げています。
香りの成分として代表的なものが、
・りんごなどに例えられる華やかな香りのカプロン酸エチル
・バナナなどに例えられる優雅な香りの酢酸イソアミル
が挙げられます。
これらの吟醸香という香りが日本酒のフルーティーな香りを醸し出しています。
味に関しては以前の動画でも触れていますが、コハク酸やリンゴ酸などの有機酸を生産するため、旨味や酸味に関わってきます。
コハク酸は貝類などに含まれる旨みを感じる有機酸で、リンゴ酸は爽やかでスッキリとした酸味が感じられる有機酸です。

特に香りの面では重要で、酵母が日本酒の香りを決めていると言ってもいいでしょう。
味の部分でもかなり大きな影響を与えていて、日本酒の香味の軸は酵母が決めていると言っても過言ではありません。
原料としての印象はあまりないかもしれませんが、このように、日本酒では酵母の役割がかなり重要となっています。

2.清酒酵母

では、ここから清酒酵母について解説していきます。
清酒酵母とは、日本酒の醸造に適している酵母のことになります。
実は、日本酒の醸造環境は酵母にとって過ごしにくい環境となっています。
もろみの中は低温で、低pH(酸性環境)であり、前半では糖濃度も高く、後半ではアルコール度数が高い環境となっています。
低温で微生物の活動が鈍るのはもちろん、乳酸などで作られた酸性環境は、他の雑菌を淘汰するため、低pH環境は微生物にとって過ごしにくい環境です。
糖は酵母のエネルギー源になるのですが、多すぎると微生物は生存できなくなってしまいます。
ジャムのような糖濃度が高いものが保存に向いているのもこれが原因になっています。
アルコールは言わずもがな、殺菌に利用されるものです。
酵母はアルコールを作り出すため、ある程度のアルコール耐性があるのですが、高濃度になると活動が鈍ってきてしまいます。

そのような一般的な酵母にとって過酷な環境で発酵が行われているため、清酒酵母にはそれに対する耐性が求められています。
特に日本酒はアルコール濃度が高くなるため、清酒酵母には特に高いアルコール耐性が求められます。
最低限これら環境に対する耐性を備えていて、初めて日本酒の製造に用いることができます。
その中でも特に香味が優れているものなどが選抜されて、協会酵母として日本醸造協会から配布されています。
それ以外にも清酒酵母は都道府県の酒造組合や、各酒蔵など、様々な所で保存されているのでかなりの数の清酒酵母が存在しています。
清酒酵母ごとに様々な特徴があるので、それらを各蔵で使い分けています。
例えば、先程解説した香り成分であるカプロン酸エチルを多く生成しやすく、華やかな酒質の日本酒を作りやすい酵母なども存在しています。

また、清酒酵母には泡あり酵母と泡なし酵母が存在しています。
元々は泡あり酵母が一般的でした。
泡あり酵母は日本酒の発酵中にもろみの表面に高泡と呼ばれる泡の層を形成します。
液面をタンクの口いっぱいにしていると溢れてしまうほどに泡を作り出すので、タンクに余裕を持たせたり、泡消し機を用いる場合もあります。
泡の部分には酵母が多く含まれているため、取り除くわけにもいかず、溢れてしまっては衛生的にも良くありません。
そのため、泡消し機などのなんらかの対策が必要になりますが、そもそも泡が発生しなければその対策が必要なくなります。
その泡の原因の研究を進めていくうちに、その泡が酵母が原因になっていることがわかり、高泡を形成しない泡なし酵母が育成されました。
対策が不要になるため、現代では泡なし酵母が普及し、一般的になっています。
しかし、高泡の状態で発酵具合を見極めることもできるため、現代でも泡あり酵母を好んで使っている酒蔵もあります。
これは一つの例になりますが、より扱いやすく、より美味しいお酒が作れるようにするために、日々清酒酵母が研究されています。

しかし、初めに解説したように酵母は自然界のどこにでも存在しています。
酒蔵にも存在していて、そこにいる酵母は清酒の醸造に適している酵母が多くなっています。
協会酵母などの培養・保存された酵母もその酵母が由来になっていたりします。
蔵によってはそこに存在する酵母を利用して、酵母無添加で日本酒を製造しているところもあります。
その酵母のことは蔵付き酵母と呼ばれていて、それぞれの酒蔵の伝統的な味わいはその酵母が由来していることもあります。
現代では、それ以外のところからも酵母を採取して、新しい特徴をもつ清酒酵母を探す研究も進んでおり、植物の花びらから採取した、花酵母と呼ばれる酵母も実用化されています。

このように、酵母は日本酒製造にとても大事な微生物で、日々研究が重ねられて進化してきています。
醸造技術の進歩だけでなく、酵母の進化も近年の日本酒の酒質の向上に大きな影響を与えています。
原料としてわかりやすく目に見えるものではないため、普段の生活で実感することはあまりないですが、麹菌よりも生活に根強く関わっている微生物です。
日本酒を楽しむ際に酵母に注目して選んでみることも面白いかもしれませんね。

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