SS5「とある初夏の夕暮れ」
僕は神社が好きだ。次第に「それらしい」気温となった6月下旬でもひんやりとした風が肌に心地良い。家から歩いて5分ほどの距離にあるこの寂れた神社は僕の隠れ家のような存在で学校の帰りには必ず寄ってから帰る。小さな鳥居をくぐると、名前もわからない大木に囲まれた、これまたこじんまりとした本堂がポツンと建っている。ただそれだけの場所。いや、正確にはそこに僕という存在。そのシンプルな穏やかさがとても心地良い。その日もいつものように学校が終わって神社に向かおうとしていた。でも途中で、
「なー